不人気な車、中古車市場では予想外にお得に買えてしまったり、どんな不人気車でも一定の需要はあるものですが、それにも限度がある。世の中にはわずか数百台で生産が打ち切りになってしまうという、幻レベルの不人気車も存在します。ということで、日本の自動車史に残る不人気車をまとめてみたので紹介します!
【大ゴケ】びっくりするほど売れなかった!不人気な車ランキング
トヨタ・セラ
1990年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカーがそのまま市販された異例な車。
日本車としては異例のガルウイングが装備されている。
今見てもかっこいいデザインだが、ボディ上部がほぼ全てガラスで車内から全ての風景を見渡せるなど、あまりにも時代を先取りし過ぎたため、1990年代は評価されず4年間でわずか1万5800台生産という屈指の不人気車として終わった。
また実用性についても、ガラスの多用が様々な問題を引き起こしており、
・ガラスの重さで燃費がすこぶる悪い
・上部がガラスなので太陽光が直接車内に差し込みすごく暑い
・全面ガラスなので車内が丸見えでジロジロ見られて恥ずかしい
など売れないことがまるで必然だったと言ってもいいかも。
スバル・アルシオーネSVX
不人気車だった先代モデルの反省を活かし、イタリアのジウジアーロっていうすごいデザイナーにデザインをお願いしたが、結局また不人気車で終わった車。
ミッションが異常に弱く壊れやすいなど致命的な欠点はあったが、売れなかった一番の理由は当時のスバルのイメージがあまり良くなく、「スバルが作った高級車なんて・・・」てなイメージが世間にあったこと。
5年間で6000台生産という記録的な不人気車で終わった。
マツダ・AZ-1
軽自動車スポーツカー。見た目がすごいことは見れば分かるが、走行性能も本格的。
ただあまりにもマニアック過ぎて発売から8ヶ月で生産打ち切り、わずか5000台の生産台数に終わった。
が!このAZ-1、そのマニアックぶりから中古市場で再評価され、不人気車から一転、30年後の現在大人気、高値が安定の車に変身した。
スズキ・X-90
スポーツカーっぽい見た目をしているが、ライトクロカン4WDをベースにしたオフロード車。
リアルチョロQみたいな、もう二度とこんな車は世に出ないと言える屈指の迷車。
2年で生産台数1300台というトップオブ不人気車レベルの記録を樹立しており、むしろ希少価値が高い車となっている。
日産・NXクーペ
「タイムマシンかもしれない」というテレビCMが印象深い車。
わずか100万円でそこそこかっこいい車ということで、若者のデートカーをコンセプトに作られた。ドアに傘を収納できるなど、ロールス・ロイスと日産どっちが先に思いついたのかよくわからないような仕組みが取り入れられている。
しかし、ベースが大衆車のサニーなので、走行性能や乗り心地はすこぶる普通。「小さなフェアレディZ」とかまた余計なこと言って宣伝するから、Zとのあまりの落差が目立ち不人気車になってしまった。
しかし100万円でこのデザインはかなりすごい。今見ても古臭さを感じないデザインは、本当にタイムマシンだったのかもしれない。
ホンダ・インサイト
ホンダがプリウスに真っ向から立ち向かうべく作ったハイブリッドカー。
結果、プリウスにボコボコに倒され、撤退した。
先代の「究極の低燃費」や「未来」を意識したコンセプトをあっさりと捨て、5人乗り5ドア、プリウスそっくりの見た目という明らかにプリウスを意識して路線変更したインサイト。
結局、プリウスの下位互換と市場から評価されてしまい、徹底的にプリウスに負けることになってしまった。
三菱・デボネア
まだ色々と問題を起こす前の三菱、当時は日本を代表する自動車メーカーの一つであったはずなのに、なぜか韓国のヒュンダイと共同開発した車。
で、現在はメルセデスベンツの専属チューニングブランドになったAMG、当時は独立メーカーであったため、上位モデルにはデボネアAMGなるものが存在した。
てなわけで色々と迷走しているデボネア、街を走っていると、「あれは絶対三菱の役員だ!」と指を指されるほど、不人気を通り越して幻レベルに珍しい車。
トヨタ・Willサイファ
未来的なデザインをイメージして作った車。
「宇宙人のヘルメット」をモチーフにしてデザインした車という、真面目なのかふざけているのかよくわからない生い立ち。
何よりもデザイン優先だったので、後席がやたらと狭くトランクも荷物が全然積めないというぶっ飛んだ車。
走行距離に応じて車の利用料を払うという、これまでの車のあり方を変えそうな革新的な取り組みをしたが、そもそも車が売れず採算が全然取れなかったので即行でサービス終了した。
トヨタ・アレックス
前述のWillサイファとは真逆に、シンプルに良い車をコンセプトに作った車。
とても速そうには見えない見た目とは対照的に、現代のスポーツカー「86」とほぼ同等の最高出力190馬力の1.8リッターエンジンを積んでいる。
また荷物たくさん積める実用性と居住性を優先したため、余計なデザインを省き、ひたすらシンプルな見た目となった。
性能も装備もトップクラスだったが、シンプルすぎる見た目が評価されず、不人気車として終わった。
しかし同時期に、「何よりデザイン優先の」Willサイファ、「何より実用性重視の」アレックスと真逆のコンセプトの車を世に送り出すトヨタはやっぱりすごい。
ホンダ・エアウェイブ
「いつでも青空や星空が見れる開放感ある車」をコンセプトに作られた車。
前席から後席まで広がるかなり大きなサンルーフである「スカイルーフ」が特徴の車。
50km/hで側面衝突を受けても割れないスカイルーフという非常に高度な技術が使われたが、フィットをベースにした安っぽい乗り心地と、そもそも見た目がかっこ悪いということで売れなかった。
いすゞ・ビークロス
1993年の東京モーターショーに出展したコンセプトカー「ヴィークロス(誤字じゃないよ)」が好評だったため、急遽開発され、4年後に市販化された車。
受注生産に近い形で作られ、いすゞ側ももともと売る気も無かったようなやる気の無さだが、やっぱり売れなかった。
というのも、話題になったモーターショーから既に4年も経過しており、世間の熱はとっくに冷めてしまっていた。やっぱり鉄は熱いうちに打たないとダメだ。
日産・ラシーン
前述のビークロスと同じく、1993年の東京モーターショーに出展したプロトタイプが好評だったので、量産化された車。こっちはいすゞとは違い、1年後の94年に販売を開始した。
立体駐車場にも入れるよう、平面で構成されたボディはどこかレトロさがあり、現代のクロスオーバーSUVにもありそうなかっこいいデザイン。
だったが、当時は時代を先取りし過ぎたようで、現在になって人気が復活してきた車。
トヨタ・iQ
「軽自動車よりも40cm近く短いサイズなのに4人乗れる」をコンセプトに作ったとにかく小さい車。
この大きさで4人乗せるために、かなり高度なパッケージング技術が開発されたり、小さい車体ながら乗員を守るために全方向エアバッグが採用されたり、当時のトヨタの技術の粋が集められた。
ということで、2008-2009年日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。評論家からは高い評価を受けた。
しかし、「軽自動車より高いくせに全然荷物積めない」と市場からは口を揃えたように文句が噴出し、結局不人気車で終わった。
トヨタ・ヴェロッサ
「華と情感に満ち溢れたイタリアンスタイル」をコンセプトに作られた車。
これまでの保守的なトヨタのセダンのイメージを払拭するために開発したらしく、よく言えば、アルファロメオやミツオカ・オロチのような大胆で個性的なデザイン。
悪く言うと、トヨタが作っただけあって本物のイタリア車には叶わない「なんちゃってイタリアン」な見た目。
好き嫌いがはっきりと別れるフロントデザインにより、結局不人気車に終わった。
トヨタ・オーパ
ミニバンでもない乗用車でもない次世代の形の車としてトヨタが2000年に世に送り出した車。
ポルトガル語で「驚き!」という意味からオーパという名前が取られたが、本当にびっくりするぐらい売れなかった。
セダン並みの走行性能を持ちながら、ミニバン並みに広い室内空間ということで幅広いユーザーを獲得できる!と意気込んで世に送り出したトヨタだったが、結局市場からはどっちつかずの中途半端な車と評価され、5年間で生産台数7万8000台という不人気ぶりに終わった。
現在では一般的なCVTをトヨタで初めて搭載した技術的にも革新的な車だったが、前後のシートの色を別色にするなどおかしなことも色々していたのが仇となった。
ダイハツ・パイザー
前述のトヨタ・オーパと同じく、ミニバンとセダンの良いとこどりを目指した中途半端な車。
車名のパイザーはモンゴル帝国時代のシルクロードの通行許可証である「牌子」から取られている。
しかしこの車の一番ヤバいポイントは、グラビアアイドルをイメージキャラクターに起用し、「おっ、パイザー!」というまじでヤバいキャッチコピーで宣伝したところ。全然面白くないし、完全にセクハラまがい、このキャッチコピーを考えたのは間違いなく中年オヤジだと誰もが分かる寒さ。
まとめ
売れない不人気な車というと、性能が低かったりかっこ悪かったりとマイナスなイメージがあるかと思いますが、そんなことはない!たいていはメーカーが本気を出し過ぎて作った超個性的な車ばかり。ということで、アンチも多いけど熱狂的なファンが多い車も、今回紹介した中には少なくありません。世間的には不人気と一括りにされているけど、今回見た中で気に入った車があった方は掘り出し物のチャンスかもしれませんよ!