※本記事はプロモーションを含みます。
自動車メーカーの求人票って、職種名がやたらかっこいいんですよ。
「パワートレイン開発」
「先行技術開発」
「車両実験」
強そう!
で、この手の職種名で入社した筆者が3年間やってきた仕事はというと・・・
データ入力。
はい。
職種名と、実際にやる仕事は、まったく別物です。
ということで今回は、日本のどこかの自動車メーカーで開発をしてる筆者が、
完成車メーカーの職種を一覧にして、
① 求人票にはこう書いてある
② 中では実際こういう仕事
③ その経験は、外でいくらの値札が付くか
の3点セットで全部さらしていきます。
先に正直に書いておくと、筆者がいるのは開発の島です。
他の部署については、外から見える構造の話として書きます。
そこは割り引いて読んでください。
③の「外での値札」が、この記事のいちばん大事なところ。転職を考えてる人はそこだけ見てもOK。
- 先に全体像:自動車メーカーの職種は、大きく5つの島に分かれてます
- 企画の島:商品企画・デザイン
- 開発の島:設計・先行開発・実験
- 作る島:生産技術・製造・生産管理
- 支える島:品質保証・購買
- 売る島:営業・マーケティング
- 【まとめ表】外で高く売れる職種ランキング
- 自分の職種にいくらの値札が付くか、確認する方法
- まとめ:職種名じゃなくて、外に同じ仕事があるかで選べ
先に全体像:自動車メーカーの職種は、大きく5つの島に分かれてます
細かい職種名の前に、地図を出します。
1. 企画の島:商品企画、デザイン
2. 開発の島:設計、先行開発、実験・評価
3. 作る島:生産技術、製造、生産管理
4. 支える島:品質保証、購買・調達
5. 売る島:営業、マーケティング、サービス
で、この記事の結論を先に言うと、
外で高く売れるのは「作る島」と「開発の島の一部」
です。
理由は最後に書きます。まず1つずつ。
企画の島:商品企画・デザイン
商品企画
求人票:次世代モビリティのコンセプトを立案し、商品の方向性を決める
実際:社内の各部署と偉い人の間を、資料を持って何往復もする仕事
外での値札:△(社内調整力は外に持っていけない)
クルマ好きが一番やりたがるやつです。
気持ちはめちゃくちゃ分かる。自分の考えたクルマが世に出るんですよ。
ただ、大企業の商品企画の実務の大半は、調整です。
誰かのアイデアを、誰かの承認に通す作業。
で、承認の途中で角が全部取れて、無難なクルマが出てくる。
これ、外に転職するときに職務経歴書に書けることが意外と少ない職種でもあります。
「Aさんを説得しました」は、他社では1円にもならないので。
デザイン
求人票:エクステリア/インテリアデザイン
実際:狭き門。中途採用はほぼ出ない
外での値札:◎(作品が残る職種は強い)
ここは完全に専門職なので、転職記事的にはあまり語ることがありません。
ただ1つだけ。
デザイナーは成果物が世の中に残るので、この記事に出てくる職種の中で一番強いです。
クルマが道を走ってる限り、実績が消えないので。
開発の島:設計・先行開発・実験
設計(車体・シャシー・パワートレイン・電装)
求人票:次世代車両の◯◯システム設計
実際:1台のクルマを何千個に割ったうちの1個を、何年も担当する
外での値札:○(部品の種類による。エンジン系はいま風向きが厳しい)
ここが自動車メーカーの人数のかたまりです。
で、クルマ好きが一番ガッカリしやすい場所でもある。
「クルマを作る仕事」を想像して入ると、実際に任されるのはネジ1本とかブラケット1個だったりします。
分業がそれだけ細かい。
これ自体は悪いことじゃなくて、そうしないと年に何百万台も作れないので。
ただ、自分が何を作れる人間なのかを説明しづらくなるという副作用があります。
転職市場で効くのは「担当した部品」じゃなくて、
「量産に耐える設計をやり切った経験」のほうです。ここは覚えておいてください。
先行開発・先進技術(EV/自動運転/コネクテッド)
求人票:電動化・自動運転・コネクテッド領域の研究開発
実際:会社の未来を背負ってる島。忙しい
外での値札:◎◎(業界で最強。転職サイトで1.5倍のオファーが出る)
この記事でいちばん大事な行がここです。
同じ年に入社した2人がいて、
片方がエンジン開発、片方が自動運転開発に配属されたとします。
この2人、社内では5年経っても給料がほぼ同じ。
ところが転職サイトに登録してみると、
自動運転の人にだけ、いまの1.5倍のオファーが来る。
社内の値段と、外の値段が完全にぶっ壊れてます。
この矛盾に丸ごと1本使って怒ってる記事。「EV部署は1年目から年収1000万にしろ」と本気で書いてます。
この島にいる人は、いま自分がいくらなのかを知らないままでいるのが一番もったいないです。
実験・評価
求人票:車両性能評価、テストコースでの走行試験
実際:試験の準備と、データの記録と、報告書。走ってる時間は一部
外での値札:○(評価・試験の経験は他の製造業でも通じる)
クルマ好きの憧れ職種その2。
実際、テストコースでクルマに乗れる機会はあります。あるんですが、
仕事の大半はその前後の段取りとデータ処理です。
ちなみにこの系統の仕事には、こういうデータ入力が山ほどぶら下がってます。
筆者の「データ入力3年」も、その山のどこかです。
数字を、右から左へ、入れる。
クルマは1ミリも作ってない。
その3年のあと、26歳の筆者が「自分は転職できない」と気づく記事です。
作る島:生産技術・製造・生産管理
生産技術
求人票:生産ラインの設計・立ち上げ、工程改善
実際:設計図を「本当に量産できる形」に翻訳する仕事
外での値札:◎(この記事でいちばん推したい職種)
地味です。求人票も地味。学生にも人気がない。
でも、転職市場でいちばん強いのはたぶんここだと筆者は思ってます。
理由は単純で、
試作品を1個作れる人はたくさんいるのに、
それを10万個作れる形にできる人は、どの業界でも足りてないらしいから。
電機、重工、航空、半導体、食品。どこでも欲しがられます。
クルマの会社を出ても仕事に困らない、数少ない職種です。
製造(工場・組立)
求人票:車両組立、設備オペレーション
実際:交替勤務が入る。未経験からいちばん入りやすい入口でもある
外での値札:○(現場改善の経験は他業界でも通じる。ただし説明の仕方が要る)
未経験で自動車業界に入りたい人にとって、現実的な入口はここです。
正直に書くと、体力的にはきつい。交替勤務もあります。
ただ、この島には他の業界にはない財産が1つあります。
「工程を改善する」という考え方が、全員に染み込んでいること。
これ、外に出るときはちゃんと言葉にして持っていってください。
生産管理・SCM
求人票:生産計画立案、サプライチェーンマネジメント
実際:何万点の部品を、遅れず、余らせずに集め続ける仕事
外での値札:◎(物流・小売・EC まで持っていける)
1台のクルマは、だいたい3万点近い部品でできてます。
それを1つも欠かさず集めて、毎日ラインを止めずに流す。
これを何年もやってきた人は、正直かなり潰しが効きます。
支える島:品質保証・購買
品質保証
求人票:品質管理体制の構築、不具合対応
実際:問題が起きたときに矢面に立つ。平時は地味、有事は地獄
外での値札:◎(自動車の品質基準は、他業界から見ると異常に高い)
自動車業界の品質へのしつこさって、外から見ると相当おかしいレベルらしいです。
そりゃそうで、不具合が出たら人が死ぬ製品を、年に何百万台も作ってるので。
その基準で育った人は、他の製造業に行くと基準がひとつ上の人として扱われます。
きつい職種ですが、値札はちゃんと付きます。
購買・調達
求人票:サプライヤー選定、コスト企画
実際:値下げをお願いし続ける仕事。相手の会社の人生も背負う
外での値札:○(コスト交渉の経験は評価される)
ここは筆者の島から一番遠いので、短く書きます。
ただ1つだけ言っておきたいことがあって、
この業界の「下請けほどキツい」構造を、実際に作動させてる立場がここです。
そこに耐えられるかどうかは、スキルの話じゃなくて性格の話だと思います。
売る島:営業・マーケティング
求人票:国内外の販売戦略、ディーラー支援
実際:メーカーの営業は「売る」より「売らせる」仕事
外での値札:○(数字を持った経験がある人は強い)
ここで1つ、混同されがちな話を整理しておきます。
ディーラーの営業とメーカーの営業は、まったく別の仕事です。
お客さんにクルマを売るのがディーラー、そのディーラーを支えるのがメーカー。
求人を見るときは、そこが完成車メーカーの募集なのか販売会社の募集なのか、必ず見てください。
同じ「自動車業界の営業」でも、働き方も年収も全然違います。
【まとめ表】外で高く売れる職種ランキング
で、この記事の結論です。
◎ 外でも強い:先行開発(EV・自動運転・コネクテッド)/生産技術/品質保証/生産管理/デザイン
○ 説明の仕方しだい:設計/実験・評価/購買/営業/製造
△ 社内でしか効かない:社内調整がメインになってる仕事全般
で、この◎と△を分けてるものは何かというと、
その仕事が「会社の外にも存在するか」
これだけです。
量産も、品質も、部品を集めることも、よその業界にもあります。だから売れる。
うちの会社の稟議の通し方は、よそに存在しません。だから売れない。
ここを間違えると、10年やってきた仕事に値札が付かない、ということが普通に起きます。
お前、その△の代表みたいな3年間を過ごしてたよな?
はい。返す言葉もありません。
自分の職種にいくらの値札が付くか、確認する方法
ここまで読んで「自分の職種、○か△かも」と思った人へ。
いちばん確実なのは、実際に値段を出してもらうことです。
筆者は26歳のとき、それをやらないまま第二新卒カードを失いました。
毎日ブログに「辞めたい」と書きながら、1回も動かずに期限だけ切れた。
辞めろとは言いません。筆者も辞めてないので。
ただ、値段を見に行くのはタダです。
条件だけ先に書いておきます。対象外の人が門前払いされるのは時間の無駄なので。
転職エージェントナビ(登録無料)
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筆者は「転職会社のカモにされるだけ」とも書いた人間です。だから使うなら20代の無料の範囲だけ、が結論。
まとめ:職種名じゃなくて、外に同じ仕事があるかで選べ
ということで!
自動車メーカーの職種を、中の景色つきで一覧にしました。
最後にもう一度だけ。
求人票の職種名は、何も教えてくれません。
「先行技術開発」でもデータ入力の可能性はあるし、
地味な「生産技術」が、10年後にいちばん自由な立場かもしれない。
選ぶ基準は職種名のかっこよさじゃなくて、
その仕事が会社の外にも存在するかどうか。
これから入る人も、いま中にいる人も、そこだけは見ておいてください。
クルマは最高です。会社の仕組みが最悪なだけで。
読んでくれてありがとう!転職の話は、入る側と出る側でそれぞれ1本ずつ書いてるよ!
自動車メーカーへの転職はやめとけ?中の人間が7つの現実を書いた記事です。
自動車業界から出る側の記事。出口5つと、持ってると売れるもの3つ。