最近の車って、メーカーごとに似たような顔の車が多いですよね。一昔前だと、BMWとポルシェぐらいだったのに、ここ最近は、レクサス、日産など日本のメーカーも似たような顔つきにして、メーカーの特徴を持たせています。
ということで今回はそんなクルマのフロントフェイスのグリルについて、各メーカーごとの特徴を紹介します!
フロントグリル一覧!世界中の特徴的な車メーカーを紹介!
BMW・キドニーグリル
おそらく世界で一番有名なクルマのグリルはこれ!
BMWのキドニーグリル!
実は、1930年代から使われている、BMW伝統の紋章であるキドニーグリル。
1933年に発表されたBMW・M303でキドニーグリルを初めて採用し、約80年に渡って、ほとんどのBMWのモデルに使われてきたキドニーグリル。最初は縦に高さのあるデザインだったが、時代が進むにつれて、どんどん横に伸びていき、高さがなくなりました。
キドニーとは英語で「腎臓」という意味で、2つ対称に並んだグリルが、まるで腎臓みたいであることから名付けられました。決して「豚の鼻」ではありません!
ちなみにこのキドニーグリル、BMWに興味のない人には全部同じただの「空洞」に見えるかもしれないけど、実は車種ごとに大きな違いがあったりする・・・。
代表的なのが、2015年に発売されたフラッグシップである7シリーズ。このキドニーグリルには、必要な時だけ開く機能が搭載されています。普段は極力空気抵抗を抑えて、エンジンの冷却が必要になったら、グリルが開く仕組みです。
また、そもそもエンジン冷却の必要がないEVに関しては、一応キドニーグリルがついてはいるものの、よく見ると、完全に塞がれたクローズドタイプが採用されています。
レクサス・スピンドルグリル
日本人になじみの深いグリルといったらやっぱりこれ!
レクサスのスピンドルグリル!
日本ではかなり好き嫌いの分かれるグリルですが、筆者はむっちゃ好き!やっぱアクの強いドイツ勢に立ち向かうには、これぐらい強い存在感あった方がよくないですか??
そんなレクサスのスピンドルグリル、はじまりは意外と最近で、2012年にレクサスのミドルセダンであるGSに採用されたのが最初。
その後、レクサスの全車種がスピンドルグリルで統一されるようになり、レクサスブランドのイメージ向上に貢献しています。
ちなみにスピンドルグリルの由来は、紡績機の糸を巻き取るための紡錘。で、ちょっとトヨタの歴史に詳しい人なら、「トヨタのはじまりの自動織機をモチーフにしているんだな・・・」なんて思うかもしれませんが、2012年に自動車雑誌「レスポンス」の記事でレクサスが公式に否定しています。
レクサスの回答としては、「より多くの空気をフロント下部から取り込むために、台形を発展させたらこの形になった」とのことです。
スピンドルグリル登場前のレクサス車で、日本の歴史に残るスーパーカーである、レクサス・LFAもよく見ると、フロント下部に台形を広げたエアインテークが採用されています。
トヨタ・キーンルック
「なんか最近トヨタ似たような車ばかりだなぁ・・・」と思う人!それもそのはず!他のメーカーのグリルほど統一感はないけど、一応トヨタも「キーンルック」というデザインコンセプトでフロントにこだわっています。
キーンルックのキーンは英語で「鋭い」を意味し、V字に反ったグリルと細めのヘッドライトが特徴です。
ちなみになんとなくデザインがかっこいいから採用している訳ではなく、キーンルックは空力性能・冷却効率・歩行者保護全てを満たす目的もあり、グリル下部の押出しの強いデザインは、いざと言う時に歩行者を守る目的もあります。さすがトヨタです。
アルファロメオ ・盾グリル
車好きがBMWのキドニーグリルの次に思い浮かべるグリルといったらこれ!盾型でおなじみのアルファロメオのグリル!
「蛇に飲み込まれて助けを求める人」のアルファロメオエンブレムを中心にデザインされる盾型のグリルはどこか神々しさを感じるほどのかっこよさ!
スーパースポーツの4Cからかわいいコンパクトカーのミトまでアルファロメオの全車種にほぼ同じ形のグリルが採用されているので、街で見かけるとすぐに「アルファロメオだ!」と認識でき、アルファロメオブランドの構築に大いに貢献しています。
ちなみに歴史は意外と古く、1937年の8C 2900がはじまり。
こんなに派手なグリルのメーカーって日本ではなかなか見かけることがないので、人によっては「なんかちょっと・・・」って思うみたいですが、1日眺めていると不思議とかっこよく見えてくるのがアルファロメオの魔法。日本ではマイナーだけど、多くの自動車評論家から「世界で一番美しい車はアルファロメオ」と言われる名門ブランドです。
ロールスロイス・パルテノングリル
一般庶民には縁がなさすぎて、「なにこのメーカー?」って人もいるかもしれないのがロールスロイス。
実は採用されるパルテノングリル、BMWのキドニーグリル並みに歴史があり、戦前からロールスロイス車に代々使われる伝統デザイン。
名前の通り、パルテノン神殿をモチーフにしており、ロールスロイスのただならぬ雰囲気を象徴するデザインとなっています。
世界有数のお金持ちの中でもさらに限られた一部しか買わない車なので、あまり情報が公開されておらず、「パルテノン神殿をモチーフ」ぐらいしか分かりません。
乗り心地のために人工衛星と情報共有して、通過する交差点やコーナーを予想する技術が搭載されているぐらいなので、きっとロールスロイスのグリルにも何かすごい秘密が隠されているはずです・・・。
ボルボ・アイアンマークグリル
意外と日本でなじみのあるグリルがこれ!超特徴的な見た目をしているので、車に興味ない人でも知っている人が多いのでは?
「スラッシュ / 」みたいな左右非対称のボルボのフロント、一般にクルマのデザインって左右対称が基本なので、実はかなり珍しいデザインをしたグリル。
ちなみにグリルをよく見てると、ボルボのエンブレムである「アイアンマーク」から矢印が伸びており、その矢印と一直線になるようにデザインされています。
この「♂」みたいな矢印マーク、ボルボが作られるスウェーデンでは「製鉄」を表すアイコンであり、古くからスウェーデン製の鉄は頑丈で信頼性が高いというイメージにあやかり、デザインされました。
ジープ ・7スロットグリル
「え。ジープってクルマの形じゃなくてメーカーなの?」と思う人も多いかもしれませんが、実はれっきとしたアメリカの自動車メーカー。第二次世界大戦でアメリカを勝利に導いた車とも言われており、ありえないぐらいの耐久性と悪路走破性に定評があります。
現在でも大戦中に活躍したジープの象徴である、丸型ヘッドライトと縦7本のスリットの入ったグリルを踏襲しており、一目でジープだと分かるデザインになっています。
ちなみにこのデザイン、著作権で固く守られており、ジープの後継車両をアメリカ陸軍に提供したフォードは、なるべくジープに似ていないデザインということで、グリルを横格子にしたぐらい、アメリカでは偉大なメーカーとして知られています。
日産・Vモーショングリル
最近、日産が取り入れいているのがVモーショングリル。実は2010年ぐらいから始まっていたが、当初はかなり控えめに「V」字型メッキを入れていたので、誰もこれが日産の象徴だとは気付かなかった・・・。
ということで、次第に大型化していったVモーショングリル。現在では、ちょこんとかわいいVモーションから、これでもか!ってぐらいどデカいVモーションまで、車種ごとに様々なデザインが取り入れられています。
マツダ・5ポイントグリル(魂動デザイン)
コンパクトカーから大型SUVまで、日本で同じ顔の車をいち早く取り入れたのがマツダ!グリル自体は、よーく見てみると特に凝ったデザインでもないのに、なぜかかっこよく見える不思議なデザイン。
「クルマはアート」と聞いているこっちが恥ずかしくなるような広告を掲げているマツダ、だけど実はボディのラインが波打ってたり、とにかくクルマが一番かっこよく見えるよう、細部まで緻密に計算されているデザインはさすがマツダ。
スバル・ヘキサゴングリル
ヘキサゴン(六角形)をモチーフにしたのがスバルのグリル。スバルのシンボルである「スバル=六連星」と掛け合わせており、なかなか気の利いたデザイン!
一昔前は、スバルのルーツである飛行機をモチーフにしたスプレッドウィングスグリルを採用していましたが、4代目レガシィが好評だったことから、思い切ってレガシィのデザインを踏襲した「ヘキサゴングリル」をスバルのアイコンとすることにしたのが誕生の経緯。
かつてスバルが活躍したラリーカーを彷彿とさせる力強さや武骨感がイメージで、スバルの歴史と思いが詰まったデザイン。
三菱・ダイナミックシールド
登場こそ後発だけど、ここ最近かなり大人気なのが三菱のダイナミックシールド。
かつての三菱の名車であるパジェロとランサーエボリューションを組み合わせてデザインしたらしく、登場してから日が浅いにも関わらず、市場からは高評価を得ています。まだまだデザイン向上段階なので、三菱それぞれのクルマが似ている印象はあまりありません。
ホンダ・ソリッド・ウイング・フェイス
べちゃって潰されたようなデザインが特徴のホンダ・ソリッド・ウイング・フェイス。名前はとてもかっこいい。
フィット、NSX、S660と意欲的に採用されていましたが、どうも不評だったのか、ついに2020年発売の新型フィットではソリッド・ウイング・フェイスの採用をやめてしまいました。
同様にソリッド・ウイング・フェイスを採用していないN-BOXが日本で一番売れている乗用車になったりと、多分そのうち静かに消えるデザインになると思います。
アウディ・シングルフレームグリル
なにかと自動車業界の流行を生み出す発起人であるアウディ。実はフロントグリル統一化を世界中の自動車メーカーに流行らせたのもアウディだったりする。
というのも2004年に登場した3代目アウディ・A6のフロントグリル、今では世界中の自動車メーカーで見慣れた上下が分割されていない大型グリルだが、当時は超珍しかった!で、これまでにない!すごく斬新!って好評価だったので、それ以降の車には2000万円超のスーパーカーから300万円のコンパクトカーまで全てこのグリルを採用し、「シングルフレームグリル」と名付けて育てたアウディ。
結果として、「シングルフレームグリル」はアウディブランドを象徴するアイコンとなり、これに目を付けた他のメーカーがどんどんアウディに続いたのが、現在のフロントグリル統一化の流れ。
ということで90年前からBMWやアルファロメオ 、ロールスロイスがやっていたことだが、実は流行を作り出したのはアウディ。LEDヘッドライトや睨み付けるようなフロントデザインなど、いち早く他のメーカーがやっていないことに手を付けるアウディ。次はどんなクルマの流行を作り出すのか目が離せません!
おまけ:テスラ
アメリカのEVメーカーであるテスラ。世界各国のメーカーがどんどんドデカくて迫力あるフロントグリルを作り出している中、あえてフロントデザインをなくしてスッキリさせているのがテスラ。
ちなみに自動車のフロントグリルの目的って、エンジンを冷却するために空気を取り入れること。ということで、エンジンが搭載されていない電気自動車には不要な装置であり、「うちのクルマ、エンジン積んでませんよー^^!」ってこれでもかとアピールするための作戦かも?
さすが天才集団テスラ!
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まとめ
どの自動車メーカーも、自社のブランドイメージをフロントマスクに込めて表現しています。そしてそのフロントデザインで一番重要な役割を担うのがグリル。
もしかしたら今後は電気自動車の普及でフロントグリルという概念がなくなってしまうかもしれませんが、空いたフロントグリルスペースに何か面白い仕組みを搭載するメーカーが現れるかもしれませんね!