結論|駒ヶ岳ってどんなウイスキー?
日本のウイスキーが死にかけた「冬の時代」を、貯蔵庫で黙々と寝続けて生き残った本坊酒造のジャパニーズシングルモルト。
柿・杏・和菓子の甘み。スコッチでは絶対に出ない「和」のフルーティーさが最大の武器。
ラインナップはほぼ全部限定品。生産本数は619本〜6万本とバラバラで、見つけた瞬間に確保するのが正解。

このウイスキー、コンビニには絶対置いてない。
酒屋の棚でもめちゃくちゃ目立たないラベルでひっそり並んでる。
で、ほとんどの人は気づかずにスルーしていく。
でも知ってる人だけは、「お、駒ヶ岳あるじゃん」ってサッと手が伸びる。
今からその「手が伸びる側」に、君を引き込む。
駒ヶ岳。
このウイスキー、知ってる人めちゃくちゃ少ない。
で、知ってる人でも「あー、なんか日本のやつでしょ?」で止まってる場合が多い。
ぶっちゃけ、それじゃもったいない。
めちゃくちゃ、もったいない。
駒ヶ岳は、ジャパニーズウイスキーの「冬の時代」を生き抜いた数少ないシングルモルト。
長野県の山奥。
マルス信州蒸溜所で造られている本坊酒造のモルトウイスキー。
ラインナップはほぼ全部限定品。
毎年エディションが変わって、生産本数も619本〜6万本とかなりバラバラ。
・・・もう、追いかける気が失せる仕様。
てことで!
この記事では、駒ヶ岳の種類・味わい・歴史・おすすめの飲み方を245本のウイスキーをレビューしてきた筆者が徹底解説していく。
これ読み終わる頃には、駒ヶ岳のラインナップを全部把握できる状態になる。
「駒ヶ岳ってどれ買えばいいの?」って迷ってる人、安心していい。この記事1本で全11銘柄の違いが分かるようにまとめたから、最後まで読めばもう迷わない。
この記事でわかること
① 駒ヶ岳の正体:マルス信州蒸溜所と本坊酒造が造る希少ジャパニーズモルト
② 「冬の時代」を生き抜いた歴史:1990〜2000年代の蒸留休止と2010年代の再評価
③ 3つの熟成庫の使い分け:信州・津貫・屋久島での味の違い
④ 全11銘柄のラインナップ:年次エディション・屋久島/津貫エージング・30年超希少ボトルまで
⑤ おすすめの飲み方:ストレートとトワイスアップ、なぜハイボールは「もったいない」のか
駒ヶ岳って、知らない間に通り過ぎちゃってる人が多いウイスキーだと思う。
でもこれ、知っとくとジャパニーズウイスキーの世界が一段深く見える銘柄。
ウイスキー駒ヶ岳とは?マルス信州蒸溜所が生んだ希少なジャパニーズモルト
で、まず駒ヶ岳の基本情報から。
ウイスキー駒ヶ岳の基本データ
蒸溜所:マルス信州蒸溜所(長野県上伊那郡宮田村)
製造元:本坊酒造(鹿児島県)
種類:ジャパニーズシングルモルト/ピュアモルト
特徴:柿や杏のような和の果実を思わせるフルーティーさ
ラインナップ:ほぼ全部限定品(年1〜数回リリース)
駒ヶ岳という名前は、中央アルプスの名峰「木曽駒ヶ岳」から取ってる。
マルス信州蒸溜所がそのふもとに建ってる。
だから地名そのまま。
シンプル。

画像:Hajime NAKANO / Wikimedia Commons / CC BY 2.0
味わいは、熟した柿、杏、アップルティー、青リンゴみたいな日本の果実っぽいフルーティーさが中心。
スコッチで言うとスペイサイドモルトに近いんだけど、「和」のニュアンスが乗ってくる。
柿、和菓子の甘み、ほのかな抹茶感。
言われてみると確かに、これスコッチでは出ない味。
なんかこう、日本のウイスキーだなあ・・・っていう感じ。
駒ヶ岳は基本的に限定品だから、「飲みたい!」と思った時にはもう売り切れてることが多い。気になるエディションがあったら、見つけた瞬間に確保するのが正解。迷ったら負け。
用途別|駒ヶ岳どれ飲めばいい?早見表
| こんな人 | おすすめエディション |
|---|---|
| 駒ヶ岳が初めて | シングルモルト駒ヶ岳 2022/2021エディション(生産数多めで入手しやすい) |
| シェリー樽の濃厚さ好き | シングルモルト駒ヶ岳 リミテッドエディション2020(シェリー主体) |
| 南国系のピート&塩気が好み | シングルモルト駒ヶ岳 屋久島エージング |
| 変化球を試したい | シングルモルト駒ヶ岳 IPAカスクフィニッシュ 2020 |
| 普段使いしたい | モルテージ駒ヶ岳 ピュアモルトウイスキー10年(限定じゃない) |
| 一生に一度の最高峰 | シングルモルト駒ヶ岳1986 30年シェリーカスク(619本のみ) |
ウイスキー駒ヶ岳の歴史|冬の時代を生き抜いた本坊酒造のシングルモルト
画像:Opqr / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0
駒ヶ岳の歴史は、「日本のウイスキーが死にかけた時代」とほぼ重なってる。
これ、知ってると駒ヶ岳の希少性の意味が分かる。
本坊酒造の創業は1872年(明治5年)、鹿児島で。
もともとは焼酎・梅酒・ワインを造る蔵元で、ウイスキー製造に本格参入したのは戦後の話。
1980年代までは「マルスウイスキー」が日本の地ウイスキーを代表する銘柄として知られてた。
しかしここから地獄の時代が始まる。
1990年代〜2000年代、日本のウイスキー市場は崩壊した。
焼酎ブーム。
ハイボール以前の暗黒期。
若者のウイスキー離れ。
大手メーカーですら蒸溜量を絞っていた時代。
地ウイスキーなんて、もっと厳しい。
本坊酒造もマルス信州蒸溜所のウイスキー蒸留を停止することになる。
稼働を止めて、貯蔵庫で眠っているウイスキーを地味に売っていく状態に。
稼働停止。地獄である。
この、「貯蔵庫で静かに眠っていたウイスキー」の中から生まれたのが、シングルモルト駒ヶ岳の原型。
ジャパニーズウイスキーのシングルモルトという概念がまだ一般的じゃなかった時代。
ひっそりと、限定リリースされてた。
蒸留が止まっても、貯蔵庫の中で原酒だけは黙々と熟成し続けてた。
市場が完全に冷え切った時代に、後から評価される日が来ると信じて樽を寝かせ続けたのが本坊酒造。
いや、これマジで根性。
そして2010年代のジャパニーズウイスキーブームが来る。
山崎・白州・響が世界の品評会で賞を獲りまくり、世界中から日本のウイスキーが注目される時代に。
このタイミングで、貯蔵庫に眠っていた駒ヶ岳の原酒も一気に再評価される。
ただ!
耐えてた者だけが報われたって話。
同じ時期、地ウイスキーの蒸溜所は結構な数が消えていった。
閉鎖、撤退、ライセンス売却。
そんな中、本坊酒造だけは「いつか必ず日が来る」って樽の番人を続けた。
蒸留釜は止まってる。
でも、貯蔵庫の樽だけは静かに呼吸してる。
これ、ジャパニーズウイスキー史で一番ロックな部分だと思う。
その後、本坊酒造は信州蒸溜所のウイスキー蒸留を再開。
さらに2016年には鹿児島県南さつま市にマルス津貫蒸溜所を新設して、現在は2蒸溜所体制でウイスキーを造っている。
サントリー、ニッカウヰスキーに次いで、国内で2つ以上の蒸溜所を持つ3社目。
これ、結構すごい話。
冬の時代を耐え抜いた本坊酒造!
で、ちなみに駒ヶ岳の蒸留釜(ポットスチル)は、岩井喜一郎氏が設計した「岩井式」と呼ばれるもの。
この岩井氏、実はニッカの竹鶴政孝のスコットランド留学レポートを受け取った人物でもある。
つまり日本のウイスキー史において、裏の主役と言ってもいい人。
マルス信州蒸溜所のポットスチルは、岩井式の設計思想を引き継いで造られている。
・・・なんかもう、登場人物のスケールが大きい。
ウイスキー駒ヶ岳の製造方法|信州・津貫・屋久島の3つの熟成庫
駒ヶ岳の製造で、他の蒸溜所と決定的に違うポイントがここ。
本坊酒造は、原酒を3つの異なる場所で熟成させてる。
3つ。
そう、3つ。
本坊酒造の3つの熟成庫
① マルス信州蒸溜所(長野県):標高約800m。冬はマイナス15度。冷涼な環境でゆっくり熟成。
② マルス津貫蒸溜所(鹿児島県南さつま市):盆地。寒暖差が激しい。
③ 屋久島エージングセラー(鹿児島県屋久島):世界自然遺産の島。高温多湿。

同じ日本でも、北の冷涼な信州と南の亜熱帯の屋久島では、ウイスキーの熟成スピードが全然違う。
これを表す数字が「エンジェルズシェア(天使の分け前)」。
樽の中のウイスキーが、年間で何%蒸発するかを表す指標。
名前がもうロマン。
3つの熟成庫のエンジェルズシェア(年間)
屋久島:約8%(多い)
津貫:約6%
信州:約2〜3%(少ない)
屋久島は信州の3倍以上のスピードで蒸発してる計算。
これだけ違うと、当然熟成の進み方も味わいも別物になる。
同じ原酒なのに、別物。
本坊酒造はこの違いをあえて活かして、場所ごとに性格の違うラインナップを造り分けている。
気候の違う3拠点で原酒を熟成させてる蒸溜所って、世界的に見てもめちゃくちゃ珍しい。
スコットランドのほとんどの蒸溜所は、自分とこの貯蔵庫で完結する。
本坊酒造は地形と気候の違いを「素材」にしちゃってる。
これ、発想が完全にぶっ飛んでる。
3つの熟成庫の比較表
| 熟成庫 | 気候 | 蒸発率 | 味わい傾向 |
|---|---|---|---|
| 信州(長野) | 標高800m・冷涼 | 約2〜3% | 柿・杏のフルーティーさ/じっくり熟成 |
| 津貫(鹿児島) | 盆地・寒暖差大 | 約6% | 和菓子のコク/りんごの甘み |
| 屋久島 | 高温多湿+海風 | 約8% | バナナ・潮風の塩気/南国系ピート |
駒ヶ岳のラインナップを見るときは、「どこで熟成されたか」をチェックすると、そのボトルの個性が読めるようになる。屋久島エージングは温暖な熟成、津貫エージングは寒暖差熟成、それ以外は基本的に信州熟成。これだけ覚えればOK。
ウイスキー駒ヶ岳の種類と味わい|限定リリース全種類を徹底解説

駒ヶ岳のラインナップはほぼ全部限定品。
これ、本当に全部限定。
スタンダードボトル、なし。
定番品(スタンダードボトル)にあたる位置のものでも、「リミテッドエディション」として毎年異なる原酒構成でリリースされてる。
こだわりが、強い。
ただ!
そのおかげで、毎年違う表情の駒ヶ岳が楽しめるっていう旨味もある。
で、ここから主要なラインナップを年代順・カテゴリ別に紹介していく。
言っておく。
駒ヶ岳のラインナップ、追いかけ始めると沼。
全部集めようとしたら普通に破産する。
「気になった年だけ買う」が正解。
覚悟ある人だけ、この先進んで。
シングルモルト駒ヶ岳 2022エディション
2022年リリースのリミテッドエディション。
原酒構成は、バーボン樽熟成原酒を主体に、シェリー樽とポートワイン樽の熟成原酒をアクセントとして加えてる。
これによって、香りに重なりが出てくる構成になってる。
ポートワイン樽が入ってる年は、わずかにベリー系のニュアンスが乗ってきておもしろい。
生産本数は約60,000本と、駒ヶ岳の中では多めの方。
「駒ヶ岳を初めて飲んでみたい」って人は、近年のリミテッドエディションが入手しやすくておすすめ。
入門編としてちょうどいい。

引用元:本坊酒造公式サイト「シングルモルト駒ヶ岳 2022エディション」
シングルモルト駒ヶ岳 2021エディション
2021年版のリミテッドエディション。
こちらはバーボン樽中心、シェリー樽の熟成原酒をヴァッティングした構成。
このボトル、地味にすごい受賞歴を持ってる。
SFWSC2022(サンフランシスコ ワールド スピリッツ コンペティション)で最優秀金賞を受賞。
世界的なスピリッツの大会で、ジャパニーズウイスキーの実力をしっかり証明したエディション。
生産本数は約50,000本だけど、受賞の影響で品薄化が進んだ。
見つけたら確保推奨。

引用元:本坊酒造公式サイト「シングルモルト駒ヶ岳 2021エディション」
シングルモルト駒ヶ岳 リミテッドエディション2020
2020年版。
このエディションはシェリー樽熟成原酒を中心に、アメリカンホワイトオーク樽の原酒をヴァッティング。
シェリー主体なので、レーズンやチョコレート系の濃厚な甘みが主役になってる。
こちらも受賞歴あり。
TWSC 2021(東京ウイスキー&スピリッツコンペティション)で金賞受賞。
生産本数は15,000本と、2021年と比べて1/3以下に絞られてる。
そのぶん希少性が高い。
シェリー系が好きならここを狙いたいエディション。

引用元:本坊酒造公式サイト「シングルモルト駒ヶ岳 リミテッドエディション2020」
シングルモルト駒ヶ岳 リミテッドエディション2019
2019年版。
原酒構成はバーボン樽中心+アメリカンホワイトオーク樽。
テイスティングノートには「杏とオレンジマーマレードの香り、メロンを思わせるとろっとした味わい」と表現されることが多い。
果実感が前に出てるエディション。
生産本数は11,497本。
細かい数字まで公開されてる。
小規模な蒸溜所ならではの誠実さを感じる。

引用元:本坊酒造公式サイト「シングルモルト駒ヶ岳 リミテッドエディション2019」
シングルモルト駒ヶ岳 リミテッドエディション2018
蒸留再開後の駒ヶ岳の「原点」と言える2018年版。
マルス信州蒸溜所の蒸留が再開されてから、新たに発売されたシングルモルト駒ヶ岳の第1弾。
バーボン樽を中心にアメリカンホワイトオーク樽の原酒をヴァッティング。
テイスティングノートとしては、熟したプラム、レーズン、フローラルな花の香り、やさしいピート。
生産本数は10,000本。
2020年以降のエディションと比べると本数が制限されてる。
シングルモルト駒ヶ岳 アサギマダラの里 2021
これ、ぶっちゃけストーリーが熱いエディション。
マルス信州蒸溜所がある長野県宮田村には、毎年9月後半になると「アサギマダラ」という渡りの蝶が訪れる。
春と秋に海を渡って2,000kmを超える距離を移動する蝶。
蝶が、海を、2,000km。
もう、なんかすごい。

画像:Σ64 / Wikimedia Commons / CC BY 3.0
この村にあるアサギマダラの里では、毎年フォトコンテストが開催されてる。
で、2021年の受賞作『浅葱映え』(池田裕助さん撮影)が、このボトルのラベルデザインに使われてる。
地域とウイスキーがリンクしてるエディションで、生産本数はわずか1,550本。
ボトルデザインが美しく、コレクション性が高い限定銘柄。
飾るだけで絵になる。
シングルモルト駒ヶ岳 屋久島エージング 2021

引用元:本坊酒造公式サイト「シングルモルト駒ヶ岳 屋久島エージング 2021」
名前の通り、屋久島の熟成庫で寝かせた原酒のみを使用したシングルモルト駒ヶ岳。
2014年・2019年・2020年・2021年に発売されてて、リリース年度ごとに微妙に味わいが違う。
屋久島の熟成環境は、高温多湿+海風。
これがウイスキーにピート由来の風味と潮風のような塩気を加える。
さらにバナナの濃厚な果実香が乗ってきて、南国系のジャパニーズシングルモルトに仕上がってる。
なんか、日焼けして帰ってきた駒ヶ岳みたいな印象。
2021年の生産本数は5,201本。
通常のシングルモルト駒ヶ岳シリーズと比べて希少性が高い。
シングルモルト駒ヶ岳 津貫エージング 2019

引用元:本坊酒造公式サイト「シングルモルト駒ヶ岳 津貫エイジング」
名前で勘違いしやすいんだけど、これ「津貫蒸溜所のシングルモルト」じゃない。
ここ、マジで重要。
名前だけで判断すると、絶対に間違える!
正確には、マルス信州蒸溜所で蒸留した原酒を、マルス津貫蒸溜所の熟成庫で寝かせたシングルモルト駒ヶ岳。
蒸留場所は信州、熟成場所が津貫。
味わいはりんごのフルーティーな甘みに、和菓子のような深い甘味が広がる。
津貫の寒暖差が激しい盆地気候が、原酒に独特のコクを加えてる。
2019年の生産本数は2,382本と希少。
TWSC 2020で金賞受賞。
ちなみに「津貫蒸溜所のシングルモルト」が飲みたい場合は、「シングルモルト津貫 THE FIRST」という別ブランドが2020年から販売されてる。
こっちは津貫蒸溜所で蒸留・熟成された純粋な津貫モルト。
正直、ややこしい。
ややこしいんだけど、飲み比べるとめちゃくちゃおもしろい。
津貫蒸溜所のシングルモルトが気になる方はこちら!
シングルモルト駒ヶ岳 IPAカスクフィニッシュ 2020
これは、完全に変化球エディション。
「IPAカスク」というのは、インディア・ペールエール(IPA)というクラフトビールを熟成させた樽のこと。
このIPA樽でフィニッシュ熟成(後熟)させたシングルモルト駒ヶ岳。
2020年のボトルは、ラベルに「駒ヶ岳」より「IPA」が大きく表記されてる珍しいデザイン。
主役、IPA。
味わいは軽やかなシトラスの香りと、柑橘系の果実を感じる爽やかな甘みが特徴。
IPA好きなら絶対試してほしいエディション。
2020年の生産本数は2,688本。
そもそも「ビールを熟成させた樽でウイスキーを寝かせる」って発想が変だと思う。
でも飲んでみると、その変な発想がちゃんと成立してる。
不思議。

引用元:本坊酒造公式サイト「シングルモルト駒ヶ岳 IPAカスクフィニッシュ 2020」
シングルモルト駒ヶ岳1986 AGED 30 YEARS シェリーカスク
駒ヶ岳ラインナップの最高峰。
1986年蒸留の駒ヶ岳を、シェリー樽で30年熟成させた超希少ボトル。
マルス信州蒸溜所の創業翌年に蒸留された原酒。
いわば蒸溜所の歴史そのものみたいな1本。
テイスティングノートは、華やかで濃厚な香り、熟したプラムのような濃密な甘み。
30年という長期熟成だからこそ出せる風味。
生産本数は619本のみ。
定価でも相当な金額、二次流通だと…まあ、ぶっちゃけ普通には手が出ない。
「いつかバーで飲めたらいいな」枠のボトル。
モルテージ駒ヶ岳 ピュアモルトウイスキー 10年
このボトルはシングルモルトじゃない。
表記が「ピュアモルト」になってる。
使用されてる原酒は、マルス信州蒸溜所の原酒+他社のモルト原酒をヴァッティング。
「他社」がどこかは企業秘密で公開されてない。
ジャパニーズウイスキー界隈ではこういう原酒交換の話、よくある。
大人の事情。
味わいはアンズや洋ナシの甘み、スコーンのようなモルトの香ばしさ、奥にほのかなスモーク。
フルーティさと品のあるシェリー感が、うまい具合に同居してる。
限定エディションよりは入手しやすいので、「駒ヶ岳の名前を冠したウイスキーをまずは試したい」って人にちょうどいい1本。

シングルモルト駒ヶ岳 ダブルセラーズ
「ダブルセラーズ」というシリーズ名の通り、2つの異なる熟成庫で寝かせた原酒をヴァッティングするコンセプトのエディション。
第1弾の2018年版(限定3,800本)は、信州蒸溜所と津貫蒸溜所の2か所で熟成された原酒を組み合わせたボトル。
使用樽はバーボンバレルとアメリカンホワイトオーク新樽の主体構成。
第2弾の2019年版は、信州蒸溜所と屋久島エージングセラーの2か所で熟成された原酒をヴァッティング。
使用樽は信州側がアメリカンホワイトオーク・バーボン・シェリー、屋久島側がバーボンバレル。
気候の異なる場所で熟成させた原酒を掛け合わせることで、1本の中で複数の表情を楽しめるのがこのシリーズの面白いところ。
本坊酒造が3つのウェアハウスを持ってるからこそ作れる、ある意味本坊にしか作れないエディション。
駒ヶ岳のラインナップは多すぎて全部追いかけるのは無理。最新のリミテッドエディションを1本、屋久島か津貫のエージング系を1本、ぐらいで十分駒ヶ岳の世界観を味わえる。全部集める必要はない。コレクター沼に注意。
ウイスキー駒ヶ岳のおすすめの飲み方|ストレートとトワイスアップ
駒ヶ岳のおすすめの飲み方は、ぶっちゃけ2択でいい。
2択。
① ストレート ② トワイスアップ
もう、これだけでいい。
ハイボールとか水割りとか、できなくはないんだけど、限定品でこれをやるのはちょっともったいない。
駒ヶ岳の軽やかなフルーティーさが、炭酸とか氷で隠れちゃう。
せっかくの和の果実感が・・・もったいない。
たとえばの話。
1万円超のリミテッドエディションに、ウィルキンソン突っ込んでハイボール。
これ、軽くテロ。
本坊酒造の中の人が見たら、たぶん泣く。
ハイボールが飲みたいなら、角でいい。
駒ヶ岳は、ストレートグラスでちびちびやるのが一番の正解。
① ストレート
駒ヶ岳の本気の味わいを楽しむならストレート一択。
限定品が多いラインナップだからこそ、原酒本来の風味をそのまま味わうのが正解。
柿、杏、青リンゴ、和菓子の甘み。
これらは加水したり氷を入れたりすると、輪郭がぼやけてしまう。
ただし、駒ヶ岳のリミテッドエディションはアルコール度数が48〜50%とやや高め。
そのままだとアルコールがきつく感じる場合がある。
だから水か炭酸水のチェイサーは必須。
これがあるとないでは、舌の感度が全然違う。

画像:Eva Bronzini / Pexels
② トワイスアップ
「ストレートはちょっとアルコールがきつい」って人は、トワイスアップがおすすめ。
トワイスアップというのは、常温の水をウイスキーと1:1で割る飲み方。
氷を入れない。
ストレートの香りはそのままに、アルコール度数だけを下げる飲み方になる。
これで駒ヶ岳の香りがふわっと開く。
ウイスキー初心者でも飲みやすくなって、それでも風味は損なわれない。
むしろ、ストレートよりトワイスアップの方が香りが取りやすいって人もいる。

画像:Zeynep Sude Emek / Pexels
駒ヶ岳はストレートかトワイスアップ!ハイボールはもったいない!
もっと深く知りたい人へ|駒ヶ岳の周辺豆知識
で、ここからは、駒ヶ岳をより深く楽しむための周辺知識。
「ウイスキー仲間にちょっとドヤれる小ネタ」枠。
岩井式蒸留器とは?竹鶴のレポートを受け取った男・岩井喜一郎
マルス信州蒸溜所のポットスチルは、「岩井式」と呼ばれる特殊な形をしてる。
これを設計したのが岩井喜一郎という人物。
そう、ニッカの竹鶴政孝が留学先のスコットランドから送った「ウイスキー製造のレポート」を受け取った人。
歴史の交差点にいる人。
つまり、岩井氏は日本のウイスキー製造の最初期に「設計図を持っていた数少ない人物」のひとり。
岩井式ポットスチルは、ストレート型で背が高め。
軽やかでフルーティーな酒質になりやすい設計。
駒ヶ岳の和の果実感は、この設計思想の延長線上にある。

駒ヶ岳の味のルーツは、竹鶴のレポートを受け取った岩井式!
ジャパニーズウイスキーにおける駒ヶ岳の立ち位置
ジャパニーズウイスキーといえば、まずサントリー(山崎・白州・響)とニッカ(余市・宮城峡・竹鶴)。
この2強が市場のほぼ全部を握ってる。
駒ヶ岳はそこに食い込んでいる「3社目」のシングルモルト。
2010年代のジャパニーズウイスキーブームで、山崎や響の入手が困難になった時代。
「サントリー・ニッカが手に入らないなら駒ヶ岳がある」って選択肢を提示できたのは大きい。
派手さはない。
でも、ジャパニーズシングルモルトの第三勢力として確実に存在感を出してる。
シングルモルトとピュアモルトの違い
駒ヶ岳のラインナップを見ていると、「シングルモルト」と「ピュアモルト」の2種類が混ざってることに気づく。
これ、原酒の出どころが違う。
シングルモルト:1つの蒸溜所のモルト原酒のみで造ったウイスキー
ピュアモルト:複数の蒸溜所のモルト原酒をブレンド(ヴァッテッドモルト)
「シングルモルト駒ヶ岳」はマルス信州蒸溜所の原酒のみ。
「モルテージ駒ヶ岳」はマルス信州+他社のモルト原酒のヴァッティングで、こっちはピュアモルト表記。
同じ「駒ヶ岳」の名を冠してても、シングルモルトの方が原酒の純度は高い。
ここはちゃんと押さえとくと、買う時に迷わない。
駒ヶ岳は誰におすすめ?買っていい人・合わない人
駒ヶ岳は限定品が多いだけに、「とりあえず買う」には少しハードルが高い銘柄でもある。
合う人と合わない人をはっきりさせとく。
こんな人にはおすすめ
- 柿・杏・和菓子みたいな「和のフルーティーさ」に魅力を感じる
- 山崎・白州・響を飲みすぎて、ジャパニーズの「次の引き出し」を探してる
- 3拠点(信州・津貫・屋久島)の熟成違いを飲み比べたい
- 限定品を見つけたら買う「コレクター気質」がある
- ジャパニーズウイスキーの歴史に興味がある
こんな人には合わないかも
- 明確なスモーキー・ピート好き(駒ヶ岳はピーテッドが少ない)
- 毎日のデイリーボトルを探してる(限定品が多くリピート困難)
- とにかく安く5,000円以下のボトルを探してる
- ハイボールでガブガブ飲みたい派
駒ヶ岳は「飲みやすさ」より「個性」を楽しむウイスキー。万能型じゃないから、合う人にはハマるけど、ハイボール用に1本欲しいだけって人には正直オーバースペック。
駒ヶ岳のよくある質問|FAQ
駒ヶ岳って、結局いくらするの?どこで買えるの?読者がよく聞くやつをまとめて答えていくよ!
Q1. 駒ヶ岳の定価はいくら?
シングルモルト駒ヶ岳のリミテッドエディション(700ml)の定価は、おおむね10,000円〜15,000円のレンジ。
ただし、定価で買えるのは抽選販売や蒸溜所直販に当たった場合のみ。
二次流通だと定価の1.5〜3倍になることが多い。
1986 30年シェリーカスクは桁が変わって30万円超。
これはもう「飲み物」じゃなくてコレクション。
Q2. 駒ヶ岳はどこで買える?
主な入手ルートは3つ。
- マルス信州蒸溜所の公式オンラインショップ(抽選販売が多い)
- 大手酒販店・百貨店(リカーマウンテン、はせがわ酒店など)
- Amazon・楽天・Yahoo!ショッピング(プレ値多め)
ぶっちゃけ、定価買いは抽選を地道に申し込み続けるのが一番現実的。
根気勝負。
Q3. 山崎・白州・響との違いは?
方向性が違う。
山崎・響はシェリー&ミズナラの濃厚系、白州は森の若々しい青さが特徴。
駒ヶ岳は柿・杏・和菓子の甘みみたいな、和の果実感が中心。
サントリーの2強と比べると、駒ヶ岳の方が「ライトで親しみやすい」方向。
濃厚系を求めるなら山崎、爽やかさを求めるなら白州、和の果実感なら駒ヶ岳。
で住み分けできる。
Q4. 「マルス駒ヶ岳」と「シングルモルト駒ヶ岳」は同じ?
基本的に同じものを指す。
「マルス」はブランド名(本坊酒造のウイスキー部門)、「駒ヶ岳」は蒸溜所名・銘柄名。
商品名としては「シングルモルト駒ヶ岳」「モルテージ駒ヶ岳」など、カテゴリ+駒ヶ岳の形で表記される。
「マルス駒ヶ岳」は通称で、ボトルラベルにこの表記はない。
Q5. ウイスキー初心者でも美味しく飲める?
結論、かなり飲みやすい。
駒ヶ岳のリミテッドエディションは、柿や杏のフルーティーさが前面に出てるから、ウイスキー特有の重さが少ない。
スコッチの強烈なピートやシェリーが苦手な人でも、駒ヶ岳なら飲めるってパターンは多い。
ただ!
アルコール度数は48〜50%とやや高めなので、水・炭酸水のチェイサーは必須。
Q6. 終売した駒ヶ岳はある?
駒ヶ岳のリミテッドエディションは毎年新作がリリースされる仕様。
過去年のエディションは順次「実質終売」状態になる。
例:2018年エディションは現在、新規生産なし。流通在庫のみ。
「気になる年があったら、その年のうちに確保」が鉄則。
まとめ|駒ヶ岳は今飲むべき希少なジャパニーズモルト
てことで、ここまでの内容をざっとまとめる。
この記事のまとめ
① 駒ヶ岳とは:本坊酒造のマルス信州蒸溜所が造るジャパニーズシングルモルト
② 歴史:日本のウイスキー冬の時代を耐え抜いた、ジャパニーズシングルモルトの先駆者
③ 製造の特徴:信州・津貫・屋久島の3つの異なる熟成庫を使い分け
④ ラインナップ:ほぼ全部限定品。2018年〜の年次リミテッドエディションが入手しやすい
⑤ おすすめの飲み方:ストレート or トワイスアップ。チェイサー必須
駒ヶ岳は、限定品が多いから飲むタイミングを逃すと再入手できない系のウイスキー。
毎年シングルモルト駒ヶ岳のリミテッドエディションは出るから、シリーズ自体は飲める。
でも、「アサギマダラの里」みたいな超限定エディションは、その年を逃したら終わり。
マジで終わり。
もし「駒ヶ岳ってどんな味なんだろう」って気になってるなら、最新のシングルモルト駒ヶ岳エディションを1本買って、ストレートで試すのがおすすめ。
柿や杏の和の果実感を、しっかり味わえる。
ジャパニーズウイスキーは山崎・響・白州ばっかり注目されがちだけど、
駒ヶ岳みたいに「派手じゃないけど飲むとちゃんと残る」銘柄こそ、もっと知られていい。
今飲まないと、二度と飲めない。
限定品の宿命として、「あの年の駒ヶ岳をもう一度」は永遠に叶わない。
気になるエディションを見つけたら、迷わず手に取るのが正解。
迷ったら、終わり。
個人的にはもう、本坊酒造のこの執念がすごく好き。
派手さじゃなくて、地道さで世界に出てきた蒸溜所。
蒸留が止まっても、樽だけは黙々と寝かせ続けた。
そんな酒、他にない。
結局、駒ヶ岳って「冬を耐えた者が春を知る」の体現みたいなウイスキー。
だからこそ、見つけたら一度は飲んでみてほしい。
駒ヶ岳は「冬の時代を生き抜いた本坊酒造の魂」みたいなウイスキー。ジャパニーズウイスキーが世界的ブームになる前から、地道に蒸留を続けてきた蒸溜所のリリース。歴史を知って飲むと、より味わい深い1本になる。
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