頭文字Dの峠を17箇所ぜんぶ記事にまとめて、MFゴーストと湾岸ミッドナイトの車も全部まとめた筆者が、次に手を出した漫画は・・・
そう!
よろしくメカドック
1982年から週刊少年ジャンプで連載された、次原隆二先生の「国産チューニング漫画」の原点です。
主人公は走り屋ではなく、チューニングショップ「メカドック」のメカニック。
つまり峠で勝負する漫画ではなく、車を作って勝負する漫画なんですよね。
頭文字Dが「走る側」の漫画なら、メカドックは「作る側」の漫画ってこと!
筆者は自動車メーカーの開発職なので、正直この漫画が一番「仕事に近い」です。
ということで今回は、よろしくメカドックに登場する車を、キャラクター別に型式つきで全部まとめました!
各車には、劇中でどんなチューニングをしたかと、開発側から見た見どころを添えています。
【早見表】よろしくメカドック登場車・キャラクター別
風見潤:トヨタ セリカXX 2800GT(MA61)
風見潤:ホンダ バラードスポーツCR-X「CR-Xミッド」
風見潤:日産 フェアレディZ 300ZX「グレーサーZ」(Z31)
那智渡:マツダ サバンナRX-7(SA22C)※3段階で進化
那智徹:日産 シルビア(S110)チューニングパトカー
渡辺俊光:日産 フェアレディ240Z(S30)
東條誠:いすゞ ピアッツァ(ツインエンジン)
東條誠:トヨタ MR2(AW11)
二階堂:日産 スカイライン2000GT-R(KPGC110)
紫電改(池田奏):トヨタ ソアラ「ハイパーソアラ」(Z10系)
デッド・スクランブル:三菱 スタリオン
中村一路:ホンダ シティターボII「ブルドッグ」
小野麗子:トヨタ スポーツ800(UP15)
小野麗子:トヨタ 2000GT(MF10)
南条久子:フェラーリ 308GTB
松桐坊主:トヨタ セリカ1600GTV(TA22)
早坂優:スズキ セルボ(SS20)ミニパト/ホンダ S800
兵藤千里:夢幻RX-7(オリジナル車)
伊宝貴志:日産 パルサーEXA(N12)
メカドック:スバル 360(アニメ版マスコット)
登場車は、複数の資料で一致が取れたものだけを載せています。
資料ごとに世代や型式が割れている車は、割れていない部分だけを書きました。
頭文字Dの登場車が知りたい人は、こっちの記事が担当!
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頭文字Dの続編、MFゴーストの車はこっち!
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よろしくメカドックは「作る側」から見たクルマ漫画だった
連載は1982年から1985年、単行本は全12巻。
1984年にはフジテレビ系でアニメも放送されました。
物語は大きく3つのレースで進みます。
キャノンボール・トライアル → ゼロヨングランプリ → 東日本サーキットGP
公道ラリー、直線加速、そしてサーキット。
レースの性格が毎回変わるので、同じ車が編ごとに作り直されるのがこの漫画の面白さです。
この記事もレースの順に並べています。
じゃあ最初のレース、キャノンボール・トライアルの車から!
【キャノンボール編】風見潤|トヨタ セリカXX 2800GT(MA61)
主人公にして、メカドックのエースメカニック。
最初のマシンは、解体屋から仕入れた事故車のセリカXXです。
2.8リッター直6の5M-GEU型は、カタログで170馬力。
これにツインターボを組み、ボアアップし、さらにナイトラス(NOS)まで載せます。
足し算でできることを、全部足した車です。
【開発職の見どころ】
ターボもボアアップもナイトラスも、やることは全部「筒の中で燃やす量を増やす」こと。
燃やす量を増やすと、必ず熱が増えます。
この車のメニューに、吸気を冷やすインタークーラーが入っていないのがポイント。
2年後に同じ風見が作るグレーサーZでは、ちゃんと入ってきます。
作中でも「熱は後から気づく」という順番になっているのが、開発職としては妙にリアルです。
【キャノンボール編】那智渡|マツダ サバンナRX-7(SA22C)・第1形態
風見の最大のライバル、那智渡。
愛車は初代RX-7。
この漫画で一番「進化する」車で、レースごとに3段階で作り直されます。
キャノンボール編では、12A型ロータリーを13B型へ載せ替え。
さらに吸気ポートをペリフェラルポートに加工し、こちらもNOS付き。
【開発職の見どころ】
12Aと13Bは同じ2ローターで、ローター1つあたりの容積が573ccから654ccに増えた兄弟です。
形がほぼ同じだから、載せ替えが現実的な選択肢になる。
ロータリーは同じ馬力のレシプロと比べて小さく軽いので、前後の重さの配分を崩しにくい。
「エンジンを大きくしたのに鼻先が重くならない」が、この換装の一番の旨味です。
【キャノンボール編】東條誠|いすゞ ピアッツァ(ツインエンジン)
チーム「ハイギャード」の東條誠。
この人のピアッツァは、この漫画で一番ぶっ飛んでいます。
エンジンを2基積んでいる。
直線では圧倒的に速いのですが、結果はリタイア。
作中での敗因は、車が重くなったのにブレーキを強化しなかったこと。
【開発職の見どころ】
実は前後に2基エンジンを積んだ市販車は実在します。
シトロエン2CVの「サハラ」という4WD仕様で、700台弱が作られました。
だから「ツインエンジン」自体は絵空事ではない。
ただ、開発では「速くする」より「止める」の方が先に壁になります。
この敗因の描き方は、1980年代の漫画とは思えないほど正確です。
「馬力を上げたらまずブレーキ」の話は、改造入門の記事で書いてるよ!
【キャノンボール編】二階堂|日産 スカイライン2000GT-R(KPGC110)
チームGT-Rを率いる二階堂。
3台のケンメリGT-Rでフォーメーションを組んで走る、集団戦のチームです。
作中のGT-Rは、S20型からL28型へエンジンを載せ替え、排気量を3.5リッターまで拡大。
キャブはツインSUです。
【開発職の見どころ】
ケンメリGT-Rの本物は、生産台数197台。
それを3台も並べてレースに出す時点で、現実なら博物館案件です(真顔)。
S20は2リッターで160馬力の名機ですが、当時のチューニングの常道は「L型に載せ替えて排気量で稼ぐ」でした。
漫画がその時代の空気をそのまま写しています。
【キャノンボール編】那智徹|日産 シルビア(S110)チューニングパトカー
那智渡の双子の弟で、神奈川県警の警察官。
兄が走り屋で、弟が取り締まる側という設定です。
乗るのはS110型シルビアのパトカーで、圧縮比を上げたチューニング仕様。
原作だけに登場するエピソードです。
【開発職の見どころ】
圧縮比アップは、部品を足さずに出力を上げる一番古典的な手。
ただし上げすぎるとノッキングが出るので、燃料のオクタン価と点火時期で釣り合いを取ります。
「パトカーに公費でやっていいのか」は、考えないことにしましょう。
【キャノンボール編】伊宝貴志|日産 パルサーEXA(N12)
アニメ版でこの名前がつく、パルサーEXAのドライバー。
ベースは1.5リッターターボのFF車で、カタログは115馬力。
改造の中身は資料によって記述が割れているので、ここでは書きません。
【開発職の見どころ】
EXAは車重が800kg前後しかありません。
この時代の日産の小型車は、とにかく軽い。
軽さは全部の性能に効くので、大排気量勢に混じって走れる理屈はちゃんとあります。
【キャノンボール編】小野麗子|トヨタ スポーツ800(UP15)
ヒロインの小野麗子。
愛車は「ヨタハチ」の愛称で知られる、トヨタ スポーツ800。
790ccの空冷水平対向2気筒で45馬力、車重はわずか580kg。
日常編からキャノンボール編にかけて登場します。
【開発職の見どころ】
45馬力で最高速155km/hを出せたのは、空気抵抗係数が0.35と当時としては異様に低かったから。
馬力ではなく形で速さを作った車で、ヒロインの愛車としてこれを選ぶ作者のセンスが光ります。
ヨタハチとかエスハチとか、車の名前の由来はこの記事でまとめてるよ!
【ゼロヨン編】那智渡|マツダ サバンナRX-7(SA22C)・第2形態
舞台は直線加速だけで勝負するゼロヨングランプリへ。
那智のRX-7は、ここで別物になります。
トリプルローター化、そしてトリプルターボ。
さらにエンジンを後ろへ下げる、フロントミッドシップ化まで施されています。
ターボが付くのはメカドック戦の直前で、それまでは自然吸気で走っていました。
【開発職の見どころ】
3ローターのロータリーは、後にユーノスコスモで本当に市販されます。
連載当時の漫画が、のちの量産車を先取りしていたわけです。
ロータリーは小さいのでエンジンの置き場所の自由度が高い。
フロントミッドシップ化が「できる」のは、この特徴があってこそです。
【ゼロヨン編】渡辺俊光|日産 フェアレディ240Z(S30)
チューナーの渡辺俊光。
モデルは実在のチューナー、RE雨宮の雨宮勇美さんだとされています。
ゼロヨン仕様の240Zは、ヘッドライトを外し、ボディをパイプフレームとFRPカウルに置き換えた車。
ホイールベースとトレッドを広げ、重心も下げています。
【開発職の見どころ】
240Zの上位仕様、240ZGの数字で見ると、2.4リッター直6で150馬力、車重1,010kg。
パイプフレーム化は「車の骨格を捨てて作り直す」ことなので、もう改造ではなく製作です。
直線だけなら、軽さと重心の低さがそのまま加速に変わります。
【ゼロヨン編】風見潤|ホンダ バラードスポーツCR-X「CR-Xミッド」
風見の2台目。
この車は、この漫画で一番有名なマシンかもしれません。
FF車のCR-Xを、エンジンを真ん中に積むミッドシップ後輪駆動へ作り替えた車です。
ボアアップとターボに加え、ターボの遅れを抑える独自の仕組みも組んでいます。
外装はシルエットフォーミュラ風で、レース中にタイヤ径とギア比まで変えます。
【開発職の見どころ】
ベースのCR-Xは1.5リッターで110馬力、車重は800kgです。
FFをMRにするというのは、エンジン・駆動系・サスペンションを全部作り直すということ。
この発想を、ホンダ自身が後にビートで「最初からMRとして」実現しています。
漫画のほうが先だった、というのが面白いところです。
【ゼロヨン編】紫電改|トヨタ ソアラ「ハイパーソアラ」(Z10系)
露崎武士のショップ「紫電改」が仕上げた、ゼロヨン仕様のソアラ。
ドライバーは池田奏です。
作中の最高出力は375馬力とされています。
【開発職の見どころ】
初代ソアラの2.8リッター、5M-GEU型はカタログで170馬力。
つまり作中では、素の2倍以上まで引き上げていることになります。
風見のセリカXXと同じエンジンなので、「同じ土台で誰が一番出せるか」の勝負でもあります。
【ゼロヨン編】デッド・スクランブル|三菱 スタリオン
チーム名がそのまま呼び名になっている、デッド・スクランブルのスタリオン。
作中の出力は、参加車両の中で最高の390馬力とされています。
搭載エンジンの排気量は資料で割れているので、数字は書きません。
【開発職の見どころ】
作中でこの車が積むG54B型は、チューニングのベースとしてはあまり使われなかったエンジンです。
「誰もいじらないエンジンで一番の数字を出す」というのが、このチームの見せ場。
開発の現場でも、王道のエンジンより変わり種のほうがノウハウが少なくて苦労します。
【ゼロヨン編】兵藤千里|夢幻RX-7(オリジナル車)
謎のチーム「夢幻」の兵藤千里。
見た目はRX-7ですが、中身は市販車と別物。
作中設定はセラミックエンジンに、レーシングカー並みの足回りです。
【開発職の見どころ】
セラミックエンジンは、連載当時に本当に研究されていた技術です。
いすゞが試作車まで作りましたが、エンジン自体が高温になって吸気の効率が落ちるなどの理由で、実用化には至りませんでした。
ここでも「熱」が壁になっている。
漫画の架空技術に、現実の答え合わせが存在するのがこの作品の贅沢なところです。
【サーキットGP編】風見潤|日産 フェアレディZ 300ZX「グレーサーZ」(Z31)
最終レース、東日本サーキットGPでの風見のマシン。
ベースはZ31型フェアレディZ。
3リッターV6ターボのVG30ET型をツインターボ化し、インタークーラーを装備。
さらにスバル レオーネの機構を移植して、フルタイム4WDにしています。
【開発職の見どころ】
「V6ツインターボ+フルタイム4WD」という組み合わせは、後に三菱GTOや日産GT-Rで現実になります。
1985年の漫画が、1990年前後の国産ハイパワー車の型をそのまま描いていた。
そしてセリカXXには無かったインタークーラーが、ここでは最初から入っています。
2年分の学習が、風見の車の中に積み上がっているわけです。
【サーキットGP編】那智渡|マツダ サバンナRX-7(SA22C)・第3形態
那智のRX-7、最終形態。
3ローターはそのままに、エアロパーツでワイドボディ化。
直線番長だったゼロヨン仕様から、コーナーを曲がるための車に戻しています。
【開発職の見どころ】
ワイドボディは見た目のためではなく、太いタイヤを収めてトレッドを広げるため。
直線用と周回用で車の作り方が変わる、というレースの基本がそのまま描かれています。
【サーキットGP編】中村一路|ホンダ シティターボII「ブルドッグ」
中村一路のシティターボII。
1.2リッターターボで110馬力、車重は700kg前後の小さな車です。
作中では富士フレッシュマン仕様にボアアップを加えています。
【開発職の見どころ】
本物のシティターボIIは1.2リッターで110馬力、車重は655〜745kgしかありません。
小さい車に小さいターボ、というのは1980年代のホンダが得意だった作り方です。
【サーキットGP編】東條誠|トヨタ MR2(AW11)
ピアッツァでリタイアした東條の、再挑戦の1台。
初代MR2は1.6リッター直4の4A-G型で130馬力、車重は1トン前後。
今度は馬力ではなく、コーナリング重視で仕上げています。
【開発職の見どころ】
ツインエンジンで「重さ」に負けた人が、次に軽いミッドシップを選ぶ。
この乗り換えの流れ自体が、開発職から見ると一番の教訓です。
【サーキットGP編】小野麗子|トヨタ 2000GT(MF10)
麗子がサーキットGPで乗るのは、トヨタ 2000GT。
南条久子から借り受けた車です。
2リッター直6の3M型で150馬力、1967年から1970年に作られた日本の名車。
【開発職の見どころ】
2000GTは、当時のトヨタがヤマハと組んで「世界に見せるため」に作った車です。
これを漫画でサーキットに出す時点で、作者の車好きが隠しきれていません。
【サーキットGP編】南条久子|フェラーリ 308GTB
チームMDMの南条久子。
アニメ版では早坂優がこの役回りを担います。
愛車はフェラーリ 308GTBで、レースのために自分で買った車です。
3リッターV8で255馬力、車重は1,090kg。
【開発職の見どころ】
国産チューニングカーの中に1台だけ本物のミッドシップ・スーパーカーが混ざる構図。
MFゴーストの「86 対 スーパーカー」を、30年以上前にやっていたわけです。
【サーキットGP編】松桐坊主|トヨタ セリカ1600GTV(TA22)
読切の頃から登場する、松桐坊主のセリカ。
1.6リッターのヤマハ製DOHC、2T-G型で115馬力。
ルーフに大きな初心者マークが描かれているのが目印です。
【開発職の見どころ】
1600GTVは、サスを固めて装備を削った競技ベースのグレード。
1970年代の時点で「走るための素の車」を用意していたトヨタは、やっぱり抜かりがない。
【日常編】早坂優|スズキ セルボ(SS20)ミニパト/ホンダ S800
交通巡視員の早坂優。
仕事の車はセルボのミニパトで、539ccの2ストローク3気筒、28馬力。
原作ではその後、ホンダ S800にも乗ります。
791ccの直4で70馬力、8,000回転まで回るエンジンです。
【開発職の見どころ】
ヨタハチとスバル360を入れると、800cc以下の車が4台も出てくる漫画です。
軽い車の楽しさを、ちゃんとレース以外の場面で描いているのがこの作品の懐の深さです。
【アニメ版】メカドック|スバル 360
アニメ版のマスコット的存在、ピンク色のスバル360。
本物は356ccの2ストローク2気筒で、初期型は16馬力。
アニメの設定では、これにロータリーエンジンとターボを載せています。
【開発職の見どころ】
車重385kgの車にロータリー。
子ども向けのお遊び設定に見えて、「軽い車に小さくて強いエンジン」という筋は通っています。
一覧表:キャラクター×車種×型式×劇中チューニング
ここまでの車を1つの表にまとめます。
| キャラクター | 車種 | 型式 | カタログ出力 | 劇中出力 | 劇中チューニング |
|---|---|---|---|---|---|
| 風見潤 | トヨタ セリカXX 2800GT | MA61 | 170PS | — | ツインターボ・ボアアップ・NOS |
| 風見潤 | ホンダ CR-X「CR-Xミッド」 | AS | 110PS | — | MR化・ターボ・ボアアップ |
| 風見潤 | 日産 フェアレディZ「グレーサーZ」 | Z31 | 230PS | — | ツインターボ・IC・フルタイム4WD |
| 那智渡 | マツダ サバンナRX-7 | SA22C | 130PS | — | 13B換装 → 3ローター+3ターボ → ワイドボディ |
| 那智徹 | 日産 シルビア パトカー | S110 | — | — | 圧縮比アップ |
| 渡辺俊光 | 日産 フェアレディ240Z | S30 | 150PS | — | パイプフレーム・FRPカウル・低重心化 |
| 東條誠 | いすゞ ピアッツァ | JR130 | 135PS | — | ツインエンジン |
| 東條誠 | トヨタ MR2 | AW11 | 130PS | — | コーナリング重視 |
| 二階堂 | 日産 スカイライン2000GT-R | KPGC110 | 160PS | — | L28換装・3.5L化・ツインSU |
| 紫電改(池田奏) | トヨタ ソアラ「ハイパーソアラ」 | Z10系 | 170PS | 375PS | ゼロヨン仕様 |
| デッド・スクランブル | 三菱 スタリオン | A18#系 | — | 390PS | ゼロヨン仕様 |
| 中村一路 | ホンダ シティターボII「ブルドッグ」 | AA | 110PS | — | 富士フレッシュマン仕様・ボアアップ |
| 小野麗子 | トヨタ スポーツ800 | UP15 | 45PS | — | — |
| 小野麗子 | トヨタ 2000GT | MF10 | 150PS | — | — |
| 南条久子 | フェラーリ 308GTB | — | 255PS | — | — |
| 松桐坊主 | トヨタ セリカ1600GTV | TA22 | 115PS | — | 強化サス・ラジアルタイヤ |
| 早坂優 | スズキ セルボ ミニパト | SS20 | 28PS | — | ワイドタイヤ・軽量化 |
| 早坂優 | ホンダ S800 | AS800 | 70PS | — | — |
| 兵藤千里 | 夢幻RX-7 | — | — | — | セラミックエンジン(架空) |
| 伊宝貴志 | 日産 パルサーEXA | N12 | 115PS | — | —(資料で割れる) |
| メカドック(アニメ) | スバル 360 | K111 | 16PS | — | ロータリー+ターボ |
カタログ出力は、その車の代表グレードの当時の公称値です。
「—」は資料で確認できなかったか、資料同士で食い違っていた項目です。
表を見て気づいた?カタログ100馬力台の車ばかりなのに、作中は300馬力超えがゴロゴロいる!
開発職の視点|ボアアップ+ツインターボで最初に壁になるのは「熱」
ここが、この漫画を今読んで一番面白いところだと思います。
風見のセリカXXは、ツインターボとボアアップとナイトラスの足し算でした。
結論から言うと・・・
足し算の最初の壁は、馬力ではなく熱。
ターボは空気を圧縮しますが、圧縮した空気は温度が上がります。
熱い空気は密度が薄いので、同じ体積でも燃やせる量が減る。
さらに熱い空気は、ノッキングという異常燃焼を起こしやすい。
ノッキングが出ると衝撃波でピストンを守っている熱の層が壊れ、最悪はエンジンが壊れます。
だから開発では、ターボを付けたら圧縮比を下げ、点火時期を遅らせ、吸気を冷やします。
この「冷やす」担当がインタークーラーです。
セリカXXのメニューにはそれが無く、2年後のグレーサーZには最初から入っている。
作中の風見が、同じ壁に当たって学んだ順番だと読むと、この漫画は技術の成長物語に見えてきます。
開発職の視点|ツインエンジンのピアッツァは現実に成立するのか
成立します。
前後に2基エンジンを積んだ市販車、シトロエン2CVサハラは実在しました。
前だけで走るか、2基で4WDとして走るかを切り替えられる車です。
ただ、作中の東條が負けた理由をもう一度見てください。
速くなったのに、止まれなかった。
ピアッツァの車重は1,250kg。
そこにエンジンをもう1基積めば、重さも、熱も、止めるための仕事も全部増えます。
開発の現場で「馬力を上げる企画」が通っても、ブレーキと冷却の予算が付かないと車になりません。
漫画の敗因が、そのまま開発の教科書です。
開発職の視点|ロータリーの13B換装が「重い」と言われない理由
レシプロエンジンで排気量を上げると、たいてい鼻先が重くなります。
那智のRX-7が12Aから13Bに載せ替えても、そう言われないのはなぜか。
12Aと13Bは同じ2ローターで、違いはローター1つあたりの容積だけ。
形がほとんど同じなので、載せ替えても置き場所と重さの配分が崩れにくいんです。
そしてロータリーは、同じ馬力のレシプロより小さく軽いエンジン。
この小ささが、ゼロヨン編の「フロントミッドシップ化」を可能にしています。
ただし正直に書くと、何kg違うかという数字は資料に無いので、ここでは書きません。
弱点もあって、燃焼室が動き回るぶん熱が逃げやすく、冷却は大掛かりになります。
ここでもやっぱり、最後は熱です。
1984年の漫画が描いた技術は、その後どれだけ現実になったか
この漫画の一番の贅沢は、架空の技術に現実の答え合わせがあること。
グレーサーZの「V6ツインターボ+フルタイム4WD」は、三菱GTOと日産GT-Rで現実になりました。
那智の3ローターは、ユーノスコスモで市販されました。
風見のCR-Xミッドが目指した「小さなミッドシップ」は、ホンダ自身がビートで作りました。
そして夢幻のセラミックエンジンは、いすゞが試作して、熱に負けて終わりました。
当たった技術も外れた技術も、全部この1本の漫画の中にあります。
頭文字Dの峠は全部実在するよ!聖地巡礼するなら、こっちの記事から!
メカドックの車は、いま中古でいくらなのか
この記事の車は、ほぼ全部が1980年代かそれ以前の車です。
つまり、今買うなら旧車です。
旧車の値段は「年式」ではなく「残っている台数」と「人気」で決まります。
2000GTやケンメリGT-Rのように生産台数が数百台の車は、もう投資の世界。
一方でAW11のMR2や初代CR-Xは、筆者の感覚ではまだ現実的な値段の個体を見かけます。
相場は動くので、実際に探すときは下の中古記事と最新の販売情報で確かめてください。
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あの車を自分でも作ってみたい。
模型なら、完成品を眺めるか、プラモデルを組み立てるかも選べます。
まとめ:メカドックの車は「足し算」と「熱」の物語だった
ということで、よろしくメカドックの登場車を、実在の20車種と架空の夢幻RX-7までまとめました!
顔ぶれを見返すと、カタログ100馬力台の国産車を、力技で300馬力超えまで持っていく車ばかり。
そしてどの車も、最後に突き当たるのは熱と重さです。
頭文字Dが「走る腕」の漫画、MFゴーストが「軽さ」の漫画なら、メカドックは「作る手」の漫画。
開発職の立場で言わせてもらうと、この漫画の一番のリアリティは・・・
速くする話より、壊れる話のほうが正確なこと。
ブレーキが足りなくてリタイア、熱に負けて実用化できず。
1980年代の少年漫画が、そこを誤魔化さずに描いていたのは正直すごい。
湾岸ミッドナイトの「悪魔のZ」も、同じS30だよ!こっちも読んでみて!
湾岸ミッドナイト登場車一覧|原作漫画の名車をキャラクター別に型式つきで解説
車好きにもいろんなタイプがいるよね、って話はこっち!