頭文字Dの峠を、群馬から神奈川まで17箇所ぜんぶ記事にまとめた筆者が、次に手を出した漫画といえば・・・
そう!
MFゴースト
頭文字Dの作者しげの秀一先生が描く、いわば「頭文字Dの続編」です。
舞台は近未来の日本で、公道を封鎖して現行スポーツカーがガチで競う「MFG」というレースが題材。
で、頭文字Dを読んでた人がこの漫画を開いて最初に思うのは・・・
ハチロクがGT-RとかポルシェGT3と戦ってるんだけど!?どういうこと!?
ということで今回は、MFゴーストに登場する車を、ドライバー別に型式つきで全部まとめてみました!
筆者は自動車メーカーの開発職なので、各車には「開発側から見た見どころ」も1〜2行ずつ添えてます。
【早見表】MFゴースト登場車・ドライバー別
カナタ・リヴィントン:トヨタ 86 GT(ZN6)
相葉瞬:日産 GT-R NISMO(R35)
石神風神:ポルシェ 911 GT3(991)
赤羽海人:フェラーリ 488GTB
大石代吾:ランボルギーニ ウラカン LP610-4
坂本雄大:アウディ R8 V10 plus → V10 パフォーマンス
柳田拓也:BMW M6クーペ → M4 DTMチャンピオンエディション
八潮翔:ロータス エキシージ(シリーズ3)
北原望:アルファロメオ 4C
諸星瀬名:トヨタ GRスープラ
沢渡光輝:アルピーヌ A110
ミハイル・ベッケンバウアー:ポルシェ 718ケイマン S → GTS
この記事は、単行本12巻(第3戦・真鶴)までに登場した車をまとめています。
作中で乗り換えるドライバーもいるので、乗り換えは確認できた分だけ矢印で書きました。
頭文字Dの方の登場車が知りたい人は、こっちの記事が担当!
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MFゴーストの登場車は「現行スポーツカーの見本市」
頭文字Dの車は、80〜90年代の中古で買える国産スポーツカーが中心でした。
それに対してMFゴーストの車は・・・
半分以上が、新車で1000万円を超える現行モデル。
フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、アウディ、BMW。
2010年代のスポーツカーカタログをそのまま切り抜いたような顔ぶれです。
その中に1台だけ、新車300万円で買えた国産車が混ざっている。
それが主人公カナタの、トヨタ86です。
この「1台だけ格下」という構図が、頭文字Dの豆腐屋ハチロクとそのまま重なるわけですね。
ここから1台ずつ、ドライバー別に見ていくよ!
MFGの車が気になったら、頭文字Dとの読む順番と、車漫画4作品の違い →もどうぞ。
カナタ・リヴィントン|トヨタ 86 GT(ZN6)
主人公。
イギリスで育った日英ハーフの青年で、レースでは父方の姓を借りて「片桐夏向」の名前で走ります。
愛車は2012年に発売された初代トヨタ86の、GTグレード。
エンジンはスバルと共同開発したFA20型、2リッターの水平対向4気筒、自然吸気で200馬力。
参戦マシンの中では、馬力が文字通り3分の1です。
第3戦(真鶴)からはターボを装着して300馬力級になりますが、それでも参戦マシンの中では最少馬力です。
【開発職の見どころ】
FA20は、直噴とポート噴射を併用する「D-4S」という燃料噴射方式を採用しています。
水平対向エンジンは背が低いので、86は当時の量産スポーツカーとしてかなり重心が低く作れていました。
作中でカナタの86が速い理由は、この「軽くて低い」を土台にしないと成立しないんですよね。
相葉瞬|日産 GT-R NISMO(R35)
おしゃべりでナンパで、でも腕は一流という国産勢のエース。
前年のMFGでは国産車で唯一トップ10入りを果たしています。
愛車はR35 GT-Rの最強グレード、NISMO。
3.8リッターV6ツインターボの600馬力を、4WDで路面に叩きつける車です。
【開発職の見どころ】
GT-Rの4WDシステム「アテーサE-TS」は、普段は後輪駆動で、前輪が必要なときだけトルクを前に送る方式です。
1.7トン超えの重さを、電子制御の駆動配分で「感じさせない」方向に振った車で、ここが軽い86と真逆の思想になっています。
石神風神|ポルシェ 911 GT3(991)
MFGを2年連続で制しているディフェンディングチャンピオン。
愛車は911の中でも「サーキットのために作った」グレード、GT3。
自然吸気の水平対向6気筒をリアに積む、いわゆるRR(リアエンジン・後輪駆動)です。
【開発職の見どころ】
RRは後輪に荷重が乗るので、立ち上がりのトラクションが物理的に有利。
その代わりブレーキングでの安定は、セッティングで作り込む必要があります。
ポルシェは、それを半世紀以上やり続けてきたメーカーです。
「エンジンが後ろにある車」の理屈は、こっちの記事で改造入門として書いてるよ!
赤羽海人|フェラーリ 488GTB
愛車はフェラーリのV8ミッドシップ、488GTB。
3.9リッターV8ツインターボで670馬力。
フェラーリの主力V8が、自然吸気からターボに切り替わった世代の車です。
【開発職の見どころ】
ターボ化で難しいのは、アクセルを踏んでから力が出るまでの「遅れ」を消すこと。
488は回転数ごとにトルクの出方を変える制御で、あえて自然吸気っぽい伸び方を演出しているのが有名です。
大石代吾|ランボルギーニ ウラカン LP610-4
愛車はランボルギーニのV10ミッドシップ、ウラカン。
名前の「LP610-4」は、縦置きミッドシップ(LP)・610馬力・4WD、という意味です。
5.2リッターV10の自然吸気を、4輪で受け止める車。
【開発職の見どころ】
ウラカンは次に出てくるアウディR8と、エンジンも骨格も基本を共有しています。
同じ中身でも、味付けとボディで別の車に仕立てるのがグループ内開発のリアルで、作中で2台が並ぶとそこが面白い。
坂本雄大|アウディ R8 V10 plus → V10 パフォーマンス
愛車はアウディのスーパーカー、R8の上位グレード。
5.2リッターV10自然吸気で610馬力、駆動はアウディお家芸のクワトロ(4WD)。
第2戦からは、マイナーチェンジで名前が変わった後継の「R8 V10 パフォーマンス」に乗り換えています。
【開発職の見どころ】
R8はアウディの中で数少ないミッドシップで、量産ラインではなく専用工場で組み立てられていた車です。
ウラカンと兄弟なのに「乗りやすい方」に振ってあるのが、アウディらしい割り切り。
柳田拓也|BMW M6クーペ → M4 DTMチャンピオンエディション
愛車は当初がBMWのM6クーペで、第3戦からM4 DTMチャンピオンエディションに乗り換えます。
M6は4.4リッターV8ツインターボの大型クーペ。
M4 DTMチャンピオンエディションは、BMWがDTM(ドイツツーリングカー選手権)の王座を記念して作った車。
世界で200台だけの限定車です。
【開発職の見どころ】
このM4は3リッター直6ターボで500馬力を出すために「水噴射」を使っています。
吸気に霧状の水を吹いて温度を下げ、ノッキングを抑える技術で、量産車に載せたのはこれがかなり早い例。
大排気量V8から、小さくて賢いエンジンに乗り換えるという流れが、そのまま2010年代の開発トレンドです。
八潮翔|ロータス エキシージ(シリーズ3)
愛車はイギリスの軽量スポーツ、ロータス・エキシージ。
3.5リッターV6スーパーチャージャーをミッドシップに積みつつ、車重は1.1〜1.2トンしかありません。
【開発職の見どころ】
ロータスは「軽さは全ての性能を上げる」を社是にしているメーカー。
エキシージのシャシーは、アルミの押し出し材を接着して作られています。
溶接ではなく接着、というところが自動車開発の人間からするとゾクゾクするポイント(変人)。
北原望|アルファロメオ 4C
愛車はアルファロメオの小型ミッドシップ、4C。
1.75リッター直4ターボで240馬力、そして乾燥重量は900kgを切る軽さ。
【開発職の見どころ】
4Cの骨格は、この価格帯ではほぼ例のないカーボン製モノコック。
スーパーカーの作り方を1000万円以下に持ち込んだ、開発視点だとかなり無茶をしている車です。
諸星瀬名|トヨタ GRスープラ
第3戦から参戦してくる若手。
愛車は2019年に復活した5代目スープラ、GRスープラ。
初参戦時のグレードはSZ-Rで、こちらは2リッターの直4ターボです。
【開発職の見どころ】
GRスープラはBMWのZ4と共同開発で、エンジンや骨格の基本はBMW製。
「トヨタの看板をどこに残すか」を突き詰めた車です。
86とスープラを同じレースに並べると、トヨタの共同開発の2つの形が見えます。
沢渡光輝|アルピーヌ A110
愛車はフランスの軽量ミッドシップ、アルピーヌA110。
1.8リッター直4ターボで250馬力ほど、車重は約1.1トン。
【開発職の見どころ】
A110はボディもシャシーもアルミで、「馬力より軽さ」に振り切った現代では珍しい設計です。
作中で86の思想に一番近い車は、実はこのA110だと筆者は思ってます。
ミハイル・ベッケンバウアー|ポルシェ 718ケイマン S → GTS
ドイツ人ドライバー。
愛車はポルシェのミッドシップ、718ケイマン。
初参戦のSグレードは2.5リッター水平対向4気筒ターボで、第2戦からは上位のGTSに乗り換えています。
【開発職の見どころ】
ポルシェが911で頑なに守っている水平対向6気筒を、718世代のケイマンでは4気筒ターボにしました。
燃費規制と性能の板挟みを「気筒を減らして過給する」で解いた、これも2010年代の開発では王道の判断です。
一覧表:ドライバー×車種×型式×駆動方式×エンジン
ここまでの12台を1つの表にまとめます。
| ドライバー | 車種 | 型式 | 駆動 | エンジン |
|---|---|---|---|---|
| カナタ・リヴィントン | トヨタ 86 GT | ZN6 | FR | 2.0L 水平対向4気筒 NA(第3戦からターボ) |
| 相葉瞬 | 日産 GT-R NISMO | R35 | 4WD | 3.8L V6 ツインターボ |
| 石神風神 | ポルシェ 911 GT3 | 991 | RR | 水平対向6気筒 NA |
| 赤羽海人 | フェラーリ 488GTB | — | MR | 3.9L V8 ツインターボ |
| 大石代吾 | ランボルギーニ ウラカン LP610-4 | — | 4WD(MR) | 5.2L V10 NA |
| 坂本雄大 | アウディ R8 V10 plus → V10 パフォーマンス | — | 4WD(MR) | 5.2L V10 NA |
| 柳田拓也 | BMW M6クーペ → M4 DTMチャンピオンエディション | — | FR | 4.4L V8 ターボ → 3.0L 直6 ターボ |
| 八潮翔 | ロータス エキシージ(シリーズ3) | — | MR | 3.5L V6 スーパーチャージャー |
| 北原望 | アルファロメオ 4C | — | MR | 1.75L 直4 ターボ |
| 諸星瀬名 | トヨタ GRスープラ(SZ-R) | DB系 | FR | 2.0L 直4 ターボ |
| 沢渡光輝 | アルピーヌ A110 | — | MR | 1.8L 直4 ターボ |
| ミハイル・ベッケンバウアー | ポルシェ 718ケイマン S → GTS | 982 | MR | 2.5L 水平対向4気筒 ターボ |
型式の欄が「—」の車は、資料ごとに表記が揺れていたので、確認できたものだけ載せています。
表を見て気づいた?FRが3台しかいなくて、ミッドシップだらけなんだよね。
開発職の視点|なぜ自然吸気200馬力の86がスーパーカーと戦えるのか
ここが、頭文字Dを読んだ人が一番気になるところだと思います。
ここでは、ターボを付ける前の第1戦・第2戦の仕様を前提に話します。
結論から言うと・・・
馬力が効くのは、直線だけ。
公道コースには直線が少なくて、コーナーとブレーキングが大半を占めます。
そこで効いてくるのが、重さ・重心の高さ・前後の重量配分・タイヤの温度管理の4つ。
86は1.2トン台で、水平対向エンジンで重心が低く、FRで前後配分もそこそこ整っています。
対して600馬力級の車は、重い・タイヤが太い・ブレーキも巨大で、コーナーの手前で「止めるための仕事」が物理的に大きい。
それに太いタイヤは、温まるまではグリップが出ないし、酷使すると今度は熱でダレます。
軽い車は、タイヤに優しい。
この「軽さが1周まるごとタイヤを守る」という理屈は、作中の展開そのままです。
もちろん現実のサーキットで86がGT3に勝つことはまず無いんですが(真顔)。
ただ、「重い600馬力より軽い200馬力が速くなる領域」は、開発の現場でも普通に存在します。
この漫画は、そこを極端に膨らませた作品なんですよね。
頭文字Dから続けて読むなら:拓海のハチロクとカナタの86は何が違う?
同じ「ハチロク」でも、AE86とZN6は生まれた時代が30年近く違います。
AE86は1.6リッター直4で130馬力、車重は1トン弱。
ZN6は2リッター水平対向4気筒で200馬力、車重は1.2トン台。
数字で見ると全然別の車なんですが、「軽くて、FRで、馬力が足りない」という立ち位置だけが受け継がれています。
この「足りない車で勝つ」構図を、しげの先生は2作連続で描いてるわけです。
頭文字Dの舞台になった峠は全部実在するよ!聖地巡礼するなら、この2本を読んでから!
MFゴーストの登場車で「実際に買える」のはどれか
12台のうち、サラリーマンが現実的に狙える車は・・・
86、ただ1台。
初代86は新車で約300万円、中古は年式次第で100万円台からあります。
次に近いのがA110と4Cですが、どちらも中古でも新車価格に近い値段を維持している車です。
ケイマンとGRスープラは中古で500万円前後から、GT-R NISMOは中古でも1000万円をゆうに超えます。
フェラーリ・ランボルギーニ・R8・GT3は、もう「買えるか」ではなく「維持できるか」の世界(遠い目)。
手が届くスポーツカーを探すなら、こっちの記事が実用的だよ!
人気がないスポーツカー一覧!中古価格安いし意外とお買い得かも!?
国産車から輸入車まで庶民が買えるスポーツカー一覧【100万以下】
初代86を日常でも使うなら、4人乗りスポーツカーの後席と使い勝手 →も見比べてみよう。
候補が決まったら、支払総額とローンから乗り換え予算を計算 →。
まとめ:MFゴーストの登場車は「軽さ」と「馬力」の対決だった
ということで、MFゴーストの登場車をドライバー別に12台まとめました!
顔ぶれを見返すと、600馬力級の重量級と、軽さで戦う軽量級にきれいに分かれます。
そして主人公の86は、その軽量級の中でも一番非力。
頭文字Dが「古い車で勝つ」話だったなら、MFゴーストは「安い車で勝つ」話です。
開発職の立場で言わせてもらうと、この漫画の一番のリアリティは・・・
「馬力の数字は直線でしか効かない」を、作品の骨にしているところ。
車好きなら、まず1巻を読んでみてほしい!
最後まで読んでくれてありがとう!車好きなら、こっちの記事もどうぞ!
【車好き必見】東京近郊の車のテーマパーク一覧【無料試乗あり】
出典
しげの秀一『MFゴースト』(講談社・週刊ヤングマガジン)単行本1〜12巻
頭文字D・MFゴースト公式ポータル(ベストカーWeb内 initiald.bestcarweb.jp)
Wikipedia「MFゴースト」
トヨタ 86 主要諸元表(toyota.jp)/GAZOO「86 商品概要」(2012年2月)
日産 GT-R NISMO 主要諸元(nissan.co.jp)
各車の排気量・出力は各メーカー公表のカタログ値を丸めて記載。