昔、バーで恥をかいたことがあります。
ウイスキーを知り始めたばかりの頃です。
覚えたての知識を、カウンターでドヤ顔で語っていたんですよ。
そしたら、見かねたバーテンダーが・・・
優しく教えてくれました。
優しさが、いちばん刺さる。(真顔)
あのとき教わった中身はシングルモルトとブレンデッドの違いにまとめてあります。
で、この経験から学んだことがひとつあります。
バーで恥をかく原因は、知識が足りないことじゃない。
足りない知識で背伸びすることのほうです。
そして、そもそもメニューが読めない。
横文字がびっしり並んでいて、値段が書いてあるかどうかも怪しい。
隣の常連は3文字くらいで注文を済ませているのに、こっちは上から下まで3周して・・・
なんだあれは。呪文か。
245本も飲んでるくせに、まだそんなこと言ってんのか。
いや、家で飲むぶんには単語なんて要らないんですよ。
スーパーで手に取って、レジに出せばそれで終わりなので。
店で困るのは、飲むために言葉がいるから。ここが家飲みと違うところ。
ただ、実際に整理してみたら・・・拍子抜けしました。
覚える単語、たった8つでした。
この記事は「バーで恥をかかないための最低限」を、その8つに絞ったものです。
逆に言うと、ここに書いていないことは覚えなくていい。
マニアの知識と、店で必要な知識はぜんぜん違うからね。今日はぜんぶ後者だけ。
- 【結論】バーで必要な言葉は「種類3つ・飲み方4つ・水1つ」だけ
- 種類の話:メニューが3つに割れているだけ
- 飲み方の話:4つ言えれば、注文で詰まることはない
- チェイサーの話:これを頼めるかどうかで、夜の長さが変わる
- もう一段ラクをしたいなら「産地」で選ぶ
- バーテンダーに聞いていい質問リスト
- 実は覚えなくていいこと
- 注文をまるごと真似できる、3つの型
- まとめ:8語覚えれば、メニューは読める
【結論】バーで必要な言葉は「種類3つ・飲み方4つ・水1つ」だけ
先に全部出します。これが今日のゴールです。
これだけで注文は完結する
種類:シングルモルト/ブレンデッド/バーボン
飲み方:ストレート/ロック/ハイボール/トワイスアップ
水:チェイサー
この8語です。
これを組み合わせると、注文はこうなります。
「シングルモルトで、あまりクセのないやつを、ロックで」
以上。呪文でもなんでもない。
順番に、何を意味しているのか説明します。
種類の話:メニューが3つに割れているだけ
まずメニューの構造から。
ずらっと並んだ名前は、だいたいこの3グループに分かれています。
① シングルモルト=ひとつの蒸留所だけで作ったやつ
ひとつの蒸留所の、大麦麦芽(モルト)だけで作ったウイスキー。
個性が強く、蒸留所ごとに味がはっきり違います。
「山崎」「白州」「マッカラン」「ラフロイグ」あたりが全部これ。
バーで飲む価値がいちばん高いのも、このグループです。
家で1本買うと5,000円〜1万円コースの銘柄が、1杯から試せるので。
② ブレンデッド=複数を混ぜてバランスを取ったやつ
モルト原酒とグレーン原酒を混ぜて作るウイスキー。
「バランタイン」「シーバスリーガル」「ジョニーウォーカー」「角瓶」など。
クセが少なく、値段も抑えめ。ハイボールにするならこっちです。
③ バーボン=アメリカの、とうもろこしのやつ
原料の主役がとうもろこしで、新品の樽で熟成させたアメリカのウイスキー。
「ジムビーム」「メーカーズマーク」「ワイルドターキー」など。
甘い香りが強く、コーラで割っても強いのが特徴です。
この3つの違いをもう一段知りたいなら、スコッチの種類一覧とバーボンの種類と銘柄一覧、ブレンデッドとは何かに全部書いてある。予習はここまでで十分。
飲み方の話:4つ言えれば、注文で詰まることはない
ここがいちばん実戦的です。
銘柄を決めたあと、必ず聞かれるのが「飲み方どうします?」だから。
ストレート=そのまま
何も足さずに、小さいグラスで出てきます。
量は30mlくらい。少なく見えますが、度数40%なのでこれで十分です。
味を確かめたいときの正解はこれ。
ロック=でかい氷ひとつ
グラスに大きな氷を入れて、上から注ぐスタイル。
時間とともに溶けて、味がゆっくり変わっていきます。
迷ったらロックでいい。失敗が少なく、見た目もいい。
ハイボール=ソーダ割り
説明不要ですが、1つだけ。
バーのハイボールは家のものと別物です。
氷とグラスを冷やし、炭酸を逃がさないように注ぐ手間がかかっているから。
1杯目にこれを頼むのは、まったく恥ずかしくありません。
トワイスアップ=同量の水で割る
ウイスキーと常温の水を1対1。
これ、知っていると一気に「わかってる人」になる飲み方です。
水を加えると香りが開き、度数も20%程度に落ちる。
強い酒が苦手な人ほど、この頼み方が効きます。
「トワイスアップでお願いします」
これが言えたら、初心者の顔はしていません。
家でも試せるよ。同じ銘柄がストレートと別物になるから、飲み方の実験は家のほうが向いてる。飲み方9種類の基本と飲みやすい割り方10選にまとめてある。
チェイサーの話:これを頼めるかどうかで、夜の長さが変わる
最後の1語です。
チェイサー=追いかけて飲む水のこと。
ウイスキーを一口飲んで、水を一口飲む。この繰り返しです。
これを知らない人が、いちばん最初に潰れます。
頼み方も簡単です。
「チェイサーもください」
ほとんどの店で、無料か安価で出てきます。
恥ずかしいことではなく、むしろ慣れた人ほど頼みます。
味覚がリセットされて、2杯目がちゃんと味わえるので。
水以外の選択肢もあるので、詳しくはチェイサーとは何かにまとめてあります。
もう一段ラクをしたいなら「産地」で選ぶ
銘柄名を覚えるのがしんどい人へ、抜け道があります。
産地で頼む。
スコットランドのウイスキーは、地域ごとに味の傾向がかなり違います。
この3つだけ知っていれば足ります。
地域=味の方向
スペイサイド:甘い・フルーティー。迷ったらここ
アイラ:煙たい・磯っぽい。好き嫌いが激しく割れる
ハイランド:バランス型。無難で外さない
これを使うと、注文がこうなります。
「スペイサイドの、甘めのを1杯」
銘柄名をひとつも言わずに、狙った方向の1杯が出てきます。
逆に、覚悟がある人だけアイラを頼んでください。
正露丸とか、焚き火とか、そういう方向の香りがします。
ハマる人は一生ハマるし、無理な人は一口で無理です。(真顔)
バーテンダーに聞いていい質問リスト
「質問したら知識のなさがバレる」と思っていませんか。
逆です。聞ける客のほうが良い1杯にたどり着きます。
実用的な質問を3つ挙げておきます。
質問①「今日のおすすめはありますか」
最強にして万能。
開けたてのボトルや、その日に推したい1本を出してくれます。
質問②「これと似た系統で、もう少し手頃なのはありますか」
値段の話を、失礼にならない形で切り出せる言い方です。
予算を守りたい夜には、これを覚えておくと効きます。
質問③「これ、家で買うといくらくらいですか」
これは、家飲み派にいちばん効く質問だと思っています。
気に入った1杯をそのまま家の1本に持ち帰れるから。
店で試して、家で買う。この順番なら、高い買い物で外しません。
1杯1,500円で試してから5,000円のボトルを買う。この順番なら、家の棚に「開けたけど飲まない酒」が並ばずに済む。
ちなみに「シングル」と「ダブル」は量の話
メニューで見かけるこの2語、意味は単純です。
シングルが約30ml、ダブルがその倍。
何も言わなければシングルで出てくるので、初回はそのままで大丈夫です。
実は覚えなくていいこと
ここが本題かもしれません。
「バーの作法」で検索すると、やたら細かい話が出てきます。
先に言っておくと、その大半は要りません。
気にしなくていいこと
・蒸留所の歴史や創業年:聞かれません
・テイスティング用語で感想を言う:「うまい」で十分
・グラスの持ち方:好きに持っていい
・3杯以上飲まないと悪い:1杯で帰る客はいくらでもいる
知識でマウントを取り合う場所ではありません。
むしろ、慣れた人ほど静かに飲んで静かに帰ります。
唯一、気をつけたほうがいいこと
強いて挙げるなら1つだけあります。
香りの強い香水をつけていかない。
ウイスキーは香りが7割の飲み物です。
隣の席の人の1杯まで台無しにしてしまうので、ここだけは実用的な配慮として覚えておくといいです。
注文をまるごと真似できる、3つの型
最後に、コピーして使える注文文を置いておきます。
型①:知識ゼロを隠さない
「あまり詳しくないんですが、飲みやすいものをおまかせで」
いちばん強い。バーテンダーが全部やってくれます。
型②:方向だけ指定する
「甘めのシングルモルトを、ロックで」
今日の記事の単語だけで組み立てられる型です。
「甘め」「軽め」「煙たいの」「フルーティーなの」あたりを入れ替えれば無限に使えます。
型③:家で飲んだ銘柄から広げる
「家でグレンフィディック飲んでるんですが、それより濃いのありますか」
実はこれがいちばん良い1杯にたどり着きます。
基準点を渡しているので、外しようがないから。
そしてこの型を使うには、家で何本か飲んでおく必要がある。
結局、バーで恥をかかない最短ルートは家飲みだったりします。
そもそもウイスキー自体がまだ手探りなら、ウイスキーの始め方完全ガイドから入るのが最短。何から飲むかの答えが全部書いてある。
まとめ:8語覚えれば、メニューは読める
今日の持ち帰りは、これだけです。
バーで恥をかかない最低限
① 種類はシングルモルト/ブレンデッド/バーボンの3つ
② 飲み方はストレート/ロック/ハイボール/トワイスアップ
③ チェイサーを頼めれば、夜が長持ちする
冒頭で「呪文か」と言ったメニューの話に戻ります。
あれは呪文ではなくて、3つの棚に商品が並んでいるだけでした。
棚の名前を知っていれば、あとは「甘いの」「軽いの」で会話が通じる。
知識が要るんじゃなくて、単語が8個要るだけだった。
そして単語は、家で1本開けながらでも覚えられます。
予習して、堂々と座ってください。
そもそも一人でバーに入るのが怖い、という段階の人は一人でバーに行くのは怖い?を先に読んで。値段と滞在時間の話はそっちに書いてある。