※本記事はプロモーションを含みます。
ウイスキーを245本飲んだあと、「ウイスキー 仕事」で検索した会社員です!
金曜の夜、ラフロイグを舐めながら、ふと思ったわけ。
これ、仕事にできないのかな、って。
検索する前の予想はこうでした。
「どうせ求人なんて無い。あっても新卒だけ。理系院卒だけ。」
ところが・・・
普通にあった。
しかも「業界未経験歓迎」で。
やった、と思って求人票を上から下まで読みました。
読み終わる頃には・・・
憧れが少し削れてた。
おい、夢を壊すなよ。人が気持ちよくウイスキー飲んでる横で。
いや、壊してない。削っただけ。
削れた分だけ、代わりに現実的な入り方が見えたので、そっちを書きます。
この記事は、ウイスキー好きが「業界に入るには」を検索したときに、
本当に知りたかったことだけを並べたつもりです。
ちなみに筆者は今も普通のメーカー勤めで、1社も応募してない。その理由も最後に正直に書くね。
- 【結論】ウイスキー業界に入る道は4つ。憧れが強い順に、入りにくい
- ③ 大手メーカーの製造職:求人はある。でも「ウイスキーを飲む仕事」ではない
- ④ ブレンダー:椅子は日本に十数個しかない
- ② クラフト蒸留所:10年で10倍に増えた。ただし「小さい会社で働く」ということ
- ① バー・酒販店・輸入商社:一番ウイスキーに近くて、一番入りやすい
- メーカーの中にいる筆者から、ひとつだけ言っておきたいこと
- で、動くならどこから? 20代かどうかで話が変わる
- まとめ:ウイスキー業界で働くには、憧れの逆から入るのが早い
【結論】ウイスキー業界に入る道は4つ。憧れが強い順に、入りにくい
先に全体像から。
ウイスキー業界への4つの入口
① バー・酒販店・輸入商社 → 一番ウイスキーに近い。給料は一番低い
② クラフト蒸留所 → 数は10年で10倍。ただし小さい会社で何でもやる
③ 大手メーカーの製造職 → 求人は普通にある。未経験可。ただし工場の交替勤務
④ ブレンダー → 憧れの頂点。椅子が日本に十数個しかない
気づきましたか。
憧れが強い順に、入口が狭くなってる。
「ウイスキーの味を決める人になりたい」が一番遠くて、
「毎日ウイスキーに触っていたい」なら明日からでも道はある。
で、自分がどれを狙うべきかは、この3つで決まります。
自分の入口を決める3つの質問
Q1. 機械・電気・設備の仕事を数年やった?(やった → ③が最短)
Q2. 接客が苦じゃない?(苦じゃない → ①が一番早い)
Q3. 地方に住める?(住める → ②が現実的)
全部ノーなら、正直この業界は遠い。理由は後で書きます。
ここから1つずつ、実際の求人に何が書いてあるかを並べていきます。
きれいごとは書きません。筆者が調べて、テンションが下がった部分もそのまま置いておきます。
③ 大手メーカーの製造職:求人はある。でも「ウイスキーを飲む仕事」ではない
順番を入れ替えます。一番びっくりしたのがここだったので。
大手の蒸溜所、中途採用をやってます。
しかも「業界未経験歓迎」で。
求人票に書いてある仕事の中身は、だいたいこんな感じ。
蒸溜所の製造職・実際の業務
・製麦、仕込み、発酵、蒸溜の各工程のオペレーション
・原酒の移送とブレンド作業
・品質確認(官能評価を含む)と品質管理
・貯蔵、樽の製造
・設備のメンテナンスと改善
・生産管理
ここで一度、深呼吸してください。
上から4つ目まではロマンがある。
問題は下2つ。
設備のメンテナンスと、生産管理。
これ、普通の工場の仕事です。
筆者もメーカー勤めなので分かるんですが、工場を回す仕事っていうのは
朝から晩まで「止まらないようにする」ことなんですよ。
ポンプが止まった、温度が上がらない、来週の出荷が間に合わない。
作ってるものが車だろうがウイスキーだろうが、その景色はあんまり変わらない。
年収と働き方は、思ったより「普通の会社」
気になる条件面も、求人サイトに出ている範囲で書いておきます。
大手蒸溜所・製造職の条件(公開されている求人票より)
・想定年収:400万円〜730万円
・月給ベース:23万円台〜36万円台
・勤務形態:交替勤務(2交替)
・残業:月10〜20時間程度
・年間休日120日以上、住宅補助あり
正直な感想を言います。
思ったより、ちゃんとしてる。
残業が月10〜20時間で年間休日120日って、日本の製造業としてはかなり良いほうです。
ただし2交替。夜勤があります。
ウイスキーの発酵と蒸溜は人間の都合で止まってくれないので、これは仕方ない。
そして夜勤明けに飲む酒は、たぶんウイスキーじゃない。
蒸溜所が本当に欲しがっているのは「設備を回せる人」
ここが今回一番の発見でした。
求人票を並べて読むと、「ウイスキーが好きな人」とはどこにも書いてない。
書いてあるのは設備、保全、生産管理、改善。
つまり蒸溜所が中途で欲しがってるのは、
ものづくりの現場を回せるエンジニア。
ウイスキー愛は加点にはなっても、応募資格にはならないってことです。
逆に言うと、機械や電気や設備の仕事を数年やってきた人にとっては、
この入口が4つの中で圧倒的に近い。
その手の求人をまとめて持ってるのは、製造業専門のエージェントです。
筆者が提携しているところだと、こういうやつ。
ものづくりエンジニア専門の転職エージェント(無料)
・対象:機械・電気・自動車など、製造業でエンジニア職の経験がある人
・扱う求人:製造業のエンジニア職を常時6,000件以上
・向いてない人:製造業の実務経験がない人/飲食・接客からの転身を狙う人(→①へ)
・申し込むと:会員登録のあと、面談の予約に進む二段階。ここまで無料
【PR】ものづくりエンジニア
先に断っておくと、ここにウイスキーの求人がある保証はしません。筆者は中の求人票まで見てない。
ただ、蒸溜所が募集してるのが設備と生産管理のエンジニアだというのは、公開されてる求人票を読めば分かる。
その職種の求人を一番たくさん持ってるのはどこか、という話です。
「ウイスキー」で探すか「生産技術」で探すかで、出てくる求人はけっこう変わる。検索語は複数試して。
④ ブレンダー:椅子は日本に十数個しかない
で、ここからが「憧れが削れた」本体です。
ウイスキー好きなら、一度は憧れるでしょう。ブレンダー。
何十種類もの原酒を利き分けて、あの1本の味を決める人。
筆者も検索しました。「ブレンダー なるには」って。
結果・・・
約10人。
大手1社のブレンダー室に所属しているブレンダーの人数が、公開されている情報でだいたいそのくらい。
日本代表のサッカーチームより少ない。
しかも中途採用で「ブレンダー職」という枠が開くことは、基本的にありません。
ブレンダーへの道は「異動の積み上げ」でできている
公開されている社員インタビューを読むと、キャリアの積み方はこんな順番でした。
あるブレンダーのキャリアの順番
1. 蒸溜所のブレンドグループで、原酒のブレンド・濾過・出荷を担当
2. 別の蒸溜所の貯蔵グループへ異動。濾過と需給の業務
3. ブレンダー室へ。中味設計と、官能検査員の育成
お分かりでしょうか。
全部、社内の話です。
外から「ブレンダーになりたいです」と言って入る扉ではなく、
会社に入って、原酒を運んで、濾過して、出荷して、何年もかけてたどり着く場所。
しかも数十年寝かせる酒の味を守る仕事なので、
会社側もいろんな世代を計画的に確保して技を継がせる、という育て方をしています。
ついでに言うと、ブレンダーは毎日同じリズムで生活しないといけない。
舌と鼻の精度を保つのが仕事だからです。
金曜の夜に「今日は3杯目いくか!」とかやってる筆者みたいな飲み方は、
たぶん一番向いてない。
好きだから向いてる、が一番通用しない職種かもしれない。ここが今回一番こたえた。
ただし救済もあります。
官能評価そのものは、品質管理・品質保証の仕事の中にあります。
入口としては③の製造職・品質管理職が正解ルートで、ブレンダーはその先の話。
順番を間違えなければ、道が消えてるわけじゃない。
② クラフト蒸留所:10年で10倍に増えた。ただし「小さい会社で働く」ということ
次。ここは完全に追い風が吹いてます。
国内で稼働しているウイスキー蒸留所の数は、100カ所を超えました。
10年ちょっとで10倍以上です。地図が塗り替わってる。
ということは、働く場所も10倍に増えたということでもある。
実際、初期投資1億円規模で開業できる時代になったと報じられていて、
地方の小さな蒸溜所が今も増え続けています。
ただし、小さい会社は「全部やる」
ここも正直に書きます。
10人前後で回している蒸溜所だと、仕事の分け方はこうなります。
クラフト蒸留所で実際にやること(小規模の場合)
・仕込みと蒸溜(ここは憧れどおり)
・樽の出し入れ、瓶詰め、ラベル貼り、梱包、出荷
・見学ツアーの案内と売店
・SNSとネット通販の運用
・繁忙期は全員で肉体労働
ロマンと段ボールが同じ日にやってくる仕事です。
あと、蒸溜所は水と土地がある場所にできます。
つまり基本は地方。都心からの通勤圏はほぼ無い。
「地方に住めるか」がここの最大の関門で、逆にそこさえクリアできるなら、
未経験からでも入りやすいのはこのルートです。
探し方は地味ですが確実な方法があります。
クラフト蒸留所の求人の探し方
1. 行きたい蒸溜所の公式サイトの「採用情報」を直接見る(求人サイトに出さない所が多い)
2. 求人サイトで「蒸溜所」「醸造」「酒造」でも検索する(「ウイスキー」だけだと販売職に埋もれる)
3. 自治体の移住支援ページを見る(蒸溜所を誘致した町は、たいてい人も募集している)
2番が地味に効きます。「ウイスキー」だけだと、売る側の求人に埋もれてしまうので。
① バー・酒販店・輸入商社:一番ウイスキーに近くて、一番入りやすい
最後に、一番現実的な入口。
ウイスキーに毎日触りたいだけなら、答えは簡単です。
売る側に回ればいい。
バーテンダー、酒販店、輸入商社の営業。
作る側より、触れる本数は圧倒的に多い。
特にバーは、245本どころじゃない本数が毎日目の前にあります。
ボトルの背中を眺めて暮らしたい人の最短ルートは、正直ここです。
給料の話を先にします
夢のある話のあとに現実を置きます。
飲食業の給与水準は、製造業より低いことが多い。
③で見た「年収400万〜730万円」と比べると、スタートラインはかなり下がります。
そして夜の仕事なので、生活のリズムが完全に反転する。
それでも入る価値があるとしたら、理由は1つだけ。
ウイスキーの話を、毎日誰かとできる。
筆者はそれをブログでやってるわけですが、店でやってる人は毎晩やってる。
羨ましくないと言ったら嘘になります。
で、この業界は求人の出方が独特で、正社員の募集がアルバイト求人に埋もれがちです。
そこだけ分けて集めてるサービスもあるので、条件を書いておきます。
飲食業界の正社員求人サイト(無料)
・対象:飲食業界で正社員として働きたい人(バー、レストラン、居酒屋など)
・特徴:アルバイトを含まず、正社員求人だけを集めている
・向いてない人:バイトから始めたい人/製造側に入りたい人(→③へ)
・申し込むと:気になった店を選んで、そのまま応募する形
【PR】グルスタ
ちなみにバーテンダーから酒類メーカーへ、という移り方も無くはない。
ただしその場合に評価されるのは「詳しさ」ではなく売った実績のほうです。
営業として何本動かしたか。そっちで戦う話になります。
メーカーの中にいる筆者から、ひとつだけ言っておきたいこと
ここまで4つの入口を書いてきて、最後に個人的な話をします。
筆者は結局、1社も応募しませんでした。
調べた結論として「行ける」と思ったのに、です。
理由は1つ。
ウイスキーが逃げ場じゃなくなるのが怖かった。
筆者にとってウイスキーは、会社で消耗した日の夜に開ける「戻ってくる場所」です。
このブログも、そういう気持ちで7年書いてきた。
それを仕事にしたら、ポンプが止まった夜も、出荷が間に合わない週も、
ラフロイグの香りは「仕事の匂い」になる。
筆者は今の会社で、まさにそれをやってます。
入社前に憧れていたものが、5年で「日常業務」になった経験があるので、
同じことをウイスキーでやる勇気が出なかった。情けない話ですが、事実です。
26歳で「しがみつく」と決めた日の記事。この情けなさは今も更新されてない。
だから、この記事は「やめとけ」で終わる記事じゃありません。
逆です。
筆者みたいに怖くて動けなかった人間の分まで、行ける人には行ってほしい。
好きなものが仕事の匂いになる覚悟があるなら、それは強い。
「好きを仕事に」の本当の中身は、好きなものと24時間逃げ場なしで暮らすこと。それでも良いなら向いてる。
で、動くならどこから? 20代かどうかで話が変わる
最後に手順の話をします。
ここまでの4ルートのうち、③と①はエージェントやサイトが使えます。
②のクラフト蒸留所は、公式サイトを直接見るのが一番早い。
問題は「そもそも自分がどの業界に行けるのか分からない」場合です。
その場合の相談先は年齢で変わります。ここは正直に書きます。
無料で使える転職エージェントの多くは、対象が20代。
30代以降は「実務経験の中身」で勝負するしかなくなって、選択肢がはっきり減ります。
だから20代の人は、使えるうちに無料の範囲で使ったほうがいい。
転職エージェントナビ(無料)
・対象:20〜29歳/転職回数2回以内/3ヶ月以内に転職したい人
・勤務地:東京23区・大阪都心・名古屋都心で正社員希望の人
・向いてない人:30代以上/地方勤務を希望する人/「いつか転職したい」段階の人
・申し込むと:WEB登録のあと、14日以内に電話で申込内容の確認が入る(出ないと登録が無効になる)
【PR】転職エージェントナビ
見てのとおり、条件がけっこう厳しい。
都心勤務希望の20代限定です。地方の蒸溜所を狙う人には、ここは合いません。
その場合は②の探し方(公式サイト直・自治体の移住ページ)に戻ってください。
あと、そもそも「今の会社をどう辞めるか」で止まってる人は、順番が逆です。
先にそっちを片付けたほうがいい。筆者が4択に整理した記事があります。
辞め方は4種類、向いてる人が全然違う。転職エージェントが20代限定という不都合な話もそのまま書いた記事。
まとめ:ウイスキー業界で働くには、憧れの逆から入るのが早い
ということで! ウイスキー業界の入口を4つ調べてみました。
最後にもう一度並べます。
① バー・酒販・輸入商社:一番ウイスキーに近い。給料は下がる。接客が平気ならここが最速
② クラフト蒸留所:数は100カ所超え。地方に住めるなら未経験でも現実的。仕事は全部やる
③ 大手メーカーの製造職:未経験歓迎の求人が実在。年収400〜730万円。ただし2交替と設備保全
④ ブレンダー:椅子は十数個。中途の窓口は無い。③から社内で登るしかない
調べる前の筆者は、④しか見えてませんでした。
ウイスキー業界=ウイスキーの味を決める人、みたいな雑な認識だった。
実際に求人票を読んだら、業界を支えてるのは
設備を回す人と、売る人。
そして、その2つにはいま普通に入口が開いてる。
憧れの逆から入るのが、たぶん一番早い。これが今回の結論です。
筆者は行きませんでした。怖かったので。
でも、この記事を読んで1人でも蒸溜所に入ったら、
そのうちその人が作った酒を、筆者がここでレビューする日が来るかもしれない。
それはけっこう、良いなと思ってます。
読んでくれてありがとう! 業界に行く前に、まず245本の格付けでも眺めてって!
245本飲んだ筆者が、アイラ島の全16蒸留所を解説した記事。行きたくなる蒸溜所がきっとある。