245本のウイスキーを飲みながら、いつの間にか蒸留器の形まで気になり始めた筆者です!
ウイスキー好きの間で、
たまに話題に出る専門用語・・・
単式蒸留器(ポットスチル)

引用元:https://www.piroriro.com/entry/glenmorangie
ウイスキーを勉強してると、
いろんな解説記事で目にする言葉なんだけど・・・
単式蒸留器って結局何なの?味にどう関係するの?
って思ってる人、多いはず!
【ざっくり結論】
・単式蒸留器(ポットスチル)=銅でできた大きなやかん型の装置
・シングルモルトはぜんぶこの装置で造られてる
・形・大きさ・銅の量で味がガラッと変わる
・蒸留所の個性の9割はポットスチルが握ってると言っても過言じゃない
実はこの単式蒸留器、
シングルモルトの個性をほぼ決めているといっても過言ではないぐらい、
大事な装置なんです!
ということで今回は、
「単式蒸留器って何?」
「連続式と何が違うの?」
「なぜシングルモルトはあんなに個性が強いの?」
このあたりを、
これまで245本のウイスキーを飲んできた筆者の視点で、
できるだけわかりやすく解説しようと思います!
目次はここだよ!読みたいとこだけ飛んでもOK!
- 単式蒸留器(ポットスチル)とは?一言でいうと「銅製の大きなやかん」
- 単式蒸留器の仕組み|連続式蒸留器との違い
- 単式蒸留器が味に与える影響|なぜシングルモルトは個性が出るのか
- 単式蒸留器は「形」で味が全く変わる!
- 単式蒸留器の個性が光る!代表的な蒸留所と銘柄
- まとめ:単式蒸留器はシングルモルトの「魂」
単式蒸留器(ポットスチル)とは?一言でいうと「銅製の大きなやかん」

まず結論から書くと・・・
単式蒸留器(ポットスチル)とは、
銅でできた大きなやかんのような装置!
英語ではpot stillと呼ばれていて、
直訳すると「壺の蒸留器」!
その名の通り、
丸っこい壺のような形をした銅の釜に、
発酵させたもろみを入れて、
下から火で熱する・・・
こんな感じで、
やかんのお湯が沸くのと同じように、
アルコールを含んだ蒸気を取り出して、冷やして液体に戻す
っていう、
原始的といえば原始的な装置なんです!
そして、
この単式蒸留器でつくられるウイスキーが、
モルトウイスキー!
つまり、
筆者が普段レビューしてるシングルモルトウイスキーは、
全部この単式蒸留器で作られているってこと!
逆にグレーンウイスキーは連続式で造られてるよ!
【単式蒸留器まとめ】
・材質:銅(コッパー)100%
・形:やかん型・丸型・くびれ型など蒸留所ごとに千差万別
・加熱方式:直火 or 間接蒸気
・用途:モルトウイスキーの蒸留専用
・蒸留所の個性はこの1台で半分以上決まる
スコッチウイスキーの全体像を知りたい人はこちらの記事もチェック!
日本のウイスキーもほぼ全部この単式蒸留器でできてるよ!
単式蒸留器の仕組み|連続式蒸留器との違い

次に、
単式蒸留器が実際にどうやって動いてるのか、
そして連続式蒸留器との違いについて書いていきます!
単式蒸留器は「1回ずつ」蒸留する
単式蒸留器の最大の特徴は、
1バッチごとに蒸留する
という点!
流れをざっくり書くと、
① ポットにもろみを入れる
② 下から加熱してアルコール蒸気を発生させる
③ 蒸気はネック(首)を上がっていく
④ ラインアームを通って冷却装置へ
⑤ 冷やして液体になったものを回収
⑥ 空になったら中を洗ってまた次のバッチを仕込む
こんな感じで、
毎回ポットの中身を入れ替える必要があるので、
とにかく手間と時間がかかる方式!
ちなみに、スコッチウイスキーの場合、
1回蒸留だけだとアルコール度数が20%台にしかならず、
これをさらに別のポットでもう1回蒸留して70%前後まで上げていきます!
(ローランド地方やアイルランドでは3回蒸留する蒸留所もあるよ!)
3回蒸留するとアルコール度数は80%超え!もはや燃料・・・
ポットスチルの部位の名前|頭・首・腕・凝縮器

蒸留所見学に行くと、
案内のお兄さんが部位の名前をポンポン出してくるんだけど・・・
え、今なんて言った?ラインなんとか?
ってなりがち!
ポットスチルを構成する主要な部位は5つ!
覚えておくと蒸留所見学が10倍楽しくなります!
【ポットスチルの主要5部位】
・ポット(ボディ):もろみを入れる丸い本体部分
・ヘッド:ポットの上のドーム状の天井部分
・スワンネック:白鳥の首みたいに伸びる細長い部分
・ラインアーム:スワンネックから横に伸びる腕の部分
・コンデンサー:蒸気を冷やして液体に戻す冷却装置
この5つの部位の中で、
特に味に影響を与えるのが、
スワンネックとラインアーム!
スワンネックは、
蒸気が通る時に重い成分が自然に落ちる通り道で、
ここが太いか細いか、長いか短いかで味がガラッと変わる!
ラインアームは、
冷却装置に向かう最後の通路で、
上向きだと重い成分が落ちて軽やかな味わい、
下向きだと重い成分もそのまま流れてどっしり濃厚な味わいになります!
見学で「ラインアームの角度」に気づけたらもうウイスキー通!
ポットスチルのバリエーションが凄い山崎の解説はこちら!
地域によって蒸留回数が違う|スコッチは2回・アイリッシュは3回

引用元:https://www.piroriro.com/entry/glenmorangie
ここも知っておくと面白いポイント!
単式蒸留器を使う地域ごとに、
蒸留回数のルールがぜんぜん違うんです!
【産地別ざっくり蒸留回数】
・スコッチ(スコットランド):基本2回蒸留
・アイリッシュ(アイルランド):基本3回蒸留
・ジャパニーズ:基本2回蒸留(スコッチを踏襲)
・アメリカン(バーボン):単式ではなく連続式メイン
スコッチは基本的に2回蒸留で、
アルコール度数は70%前後に収まります!
これぐらいの度数だと、
原料の個性や樽の影響がしっかり残るので、
蒸留所ごとの個性が強く出るのが特徴!
一方、
アイリッシュは3回蒸留が伝統で、
アルコール度数は80%超えまで一気に上がります!
3回も蒸留するので、
雑味が徹底的に取り除かれて、
クリアで飲みやすい軽やかな味わい
になるのがアイリッシュの最大の個性!
ジェムソンなんかを飲むと、
スコッチとは全然違うスルッとした飲みやすさがあって、
これが3回蒸留の効果を体感できる1本!
ちなみにローランド地方のスコッチも3回蒸留を採用してる蒸留所があるよ!
3回蒸留の代表格、ジェムソンの解説はこちら!
アイリッシュウイスキー全体の解説はこちら!
連続式蒸留器は「止まらずに動き続ける」
一方、
もう一つの蒸留方式が連続式蒸留器(パテントスチル)!
こちらは単式と違って、
一度動かし始めたらひたすら動き続ける工場型!
円筒形のタワーの中に、
上から発酵したもろみを流し込みつつ、
下から蒸気を送り込んで、
連続的にアルコールを取り出していく
って方式で、
1回でアルコール度数を90%以上まで一気に上げられるのが強み!
なので、
連続式は大量生産に向いてて、
グレーンウイスキーやバーボンはこの方式で造られることが多いです!
【単式 vs 連続式ざっくり比較】
・単式:1バッチずつ、モルトウイスキー用、個性が強い
・連続式:24時間連続運転、グレーン・バーボン用、クリアで軽い
・単式=手仕事、連続式=工場、と覚えるとわかりやすい!
単式蒸留と連続式蒸留の違いを完全に理解したい人はこちら!
連続式で造られるグレーンウイスキーの解説はこちら!
モルトとグレーンをブレンドしたのがブレンデッド!こちらもチェック!
単式蒸留器が味に与える影響|なぜシングルモルトは個性が出るのか

ここからが本題!
単式蒸留器を使うと、
なぜシングルモルトはあんなに蒸留所ごとの個性が出るのか?
理由は大きく3つあります!
① 銅が「雑味」を取り除いてくれる
単式蒸留器はほぼ全部銅でできてるんだけど、
この銅には面白い性質があって・・・
硫黄系の嫌な匂いを吸着してくれる
んです!
発酵したもろみの中には、
硫黄化合物のような「そのままじゃ飲めないエグ味」がいろいろ含まれてるんだけど、
蒸気が銅の内壁に触れている間に、
これらが化学反応で分解・吸着されて、
飲みやすいフルーティな成分だけが残る!
だから単式蒸留器はステンレスじゃダメで、
必ず銅で作られてるんです!
銅の量が多いほどクリアでフルーティな味になるよ!
② バッチ式だから「個性」が残る
1回1回ポットに入れて手作業で蒸留する方式なので、
その蒸留所の麦・水・酵母・樽の個性がそのまま液体に残ります!
連続式だと、
大量のアルコールを一気に取り出すので、
個性がどうしてもすり潰されて平均化しちゃう・・・
んだけど、
単式は少量をゆっくり蒸留するので、
蒸留所ごとの風味がバッチリ残るんです!
③ 「中取り」で香りの美味しいとこ取りができる
蒸留が進むと、
最初と最後は雑味成分が多くて、
真ん中あたりが一番いい香りが出るゾーンになります。
この美味しい部分だけを切り取る作業を、
「中取り(ハート)」と呼ぶんだけど、
バッチごとに切り取る場所を調整できるのも、
単式蒸留器の大きな強み!
蒸留所ごとに中取りの基準が秘伝のレシピみたいになってて、
これが「蒸留所らしさ」を生む最大の秘密だったりします!
【味への影響まとめ】
・銅が硫黄をキャッチ → フルーティになる
・バッチ式だから 原料の個性がそのまま残る
・中取りで美味しい部分だけ抽出 → 蒸留所の指紋になる
ウイスキーの樽熟成の話もセットで覚えるとわかりやすい!
単式蒸留器は「形」で味が全く変わる!

ここからがちょっと面白い話!
単式蒸留器って、
蒸留所ごとに形が全然違うんです!
で、
この形の違いで、
できあがるウイスキーの味まで驚くほど変わる!
代表的な3つの形を紹介します!
①ストレートヘッド型|重厚・パワフル系
ネックがまっすぐで、背が低めの形。
この形だと、
重い成分がそのまま上まで届いてしまうので、
できあがるウイスキーは、
骨太・重厚・オイリー
な味わいになりやすい!
アイラ島の重ためのピート系ウイスキー、
たとえばラフロイグやアードベッグなんかは、
このタイプの蒸留器が使われていることが多いです!
ストレート型の代表格、ラフロイグの解説記事はこちら!
ラフロイグ10年を実際に飲んでみたレビューはこちら!
同じくアイラの雄、アードベッグの解説記事はこちら!
②ボール型(バルジ型)|華やか・フルーティ系
ネックの途中に、ボールのような膨らみがついている形!
蒸気がこの膨らみにぶつかると、
重い成分は逆流してポットに戻り、
軽い成分だけが上まで抜けていく・・・
こんな感じのふるい分けが自然に起きるので、
できあがるウイスキーは、
華やか・フルーティ・軽やか
という方向性になりやすい!
グレンフィディックなどのスペイサイド系の華やかな銘柄は、
このボール型が使われていることが多いです!
ボール型の代表、グレンフィディックの解説記事はこちら!
グレンフィディック12年のレビューはこちら!
同じスペイサイドならアベラワーも華やかで超おすすめ!
③ランタン型|いいとこ取りの中間派
ネックの中間がぐっとくびれて、
上がまた広がるランタンのような形!
①と②の中間ぐらいの性質で、
重すぎず軽すぎない、
バランスのとれた味わい
を生み出します!
マッカランなどの「甘みと複雑さを両立したい」タイプの蒸留所に、
このランタン型が多い印象!
ランタン型はシェリー樽との相性が最高!
ランタン型の代表、グレンリベットの解説記事はこちら!
グレンリベット12年レビューはこちら!
背の高さも味に効いてくる

引用元:https://www.piroriro.com/entry/glenmorangie
さらに、
ポットスチルの背の高さによっても味は変わります!
背が高いほど、
蒸気が上まで登る途中で重い成分が落ちて、
軽やかでフルーティな味わいになります!
スコットランドで一番背の高いポットスチルを持っているのが、
グレンモーレンジィ蒸留所(約5.14m)
グレンモーレンジィ 10年を飲むと、
あの華やかな花の香りと軽やかさがすっと鼻を抜けるんだけど、
あれはもう完全に、
あの背の高さが生み出してる味と言って良いです!
逆にマッカランは小さめのポットスチルで重厚さを出してる!
【ポットスチルの形と味の早見表】
・ストレート型 → 骨太・オイリー(ラフロイグ/アードベッグ)
・ボール型 → 華やか・フルーティ(グレンフィディック/アベラワー)
・ランタン型 → バランス型(マッカラン/グレンリベット)
・背が高い → 軽やかで花の香り(グレンモーレンジィ)
・背が低い → 濃厚で重厚(マッカラン)
グレンモーレンジィの味と種類の記事はこちら!
マッカランの味と種類の記事はこちら!
単式蒸留器の個性が光る!代表的な蒸留所と銘柄
最後に、
筆者が実際に飲んできた中から、
ポットスチルの個性がわかりやすい蒸留所を紹介します!
グレンモーレンジィ|背の高いポットスチル代表

さっきも書いた、
スコットランドで一番背の高いポットスチルを持つ蒸留所!
背が高い分だけ、
軽やかで花のような香りが前面に出てきて、
え、これってウイスキーなの?というレベルに華やか!
初めて飲んだ時の驚きはすごかった・・・
グレンモーレンジィの味と種類の記事はこちら!
入門に最適なグレンモーレンジィオリジナル10年のレビューはこちら!
グレンモーレンジィ18年のレビューはこちら!
マッカラン|小型ポットスチルの重厚さ

マッカランのポットスチルは、
スコットランドの主要蒸留所の中でかなり小型な部類!
小型だと蒸気が銅に触れる時間が短くて、
重い成分が残りやすいので、
マッカラン特有の濃厚でどっしりしたシェリー感は、
このポットスチルの小ささが一因と言われています!
マッカランの味と種類の記事はこちら!
マッカラン12年のレビューはこちら!
ラガヴーリン|ランタン型でピートが映える

アイラ島の雄、ラガヴーリン!
ランタン型のポットスチルを使っていて、
重いピートの風味をバランスよく残しつつ、
飲みやすさも維持する独特の仕上がり!
同じアイラでも、
ラフロイグやアードベッグとはまた違うまろやかさがあって、
これもポットスチルの形が効いてるのがわかる1本です!
ラガヴーリンの味や種類の記事はこちら!
ラガヴーリン16年の実飲レビューはこちら!
山崎|ポットスチルのバリエーション数がすごい

日本が誇る山崎蒸留所は、
形もサイズも違う10種類以上のポットスチルを所有!
これは世界的に見てもかなり珍しくて、
1つの蒸留所で、
軽やかな原酒から重厚な原酒まで何種類も作り分け、
それをブレンドして最終的な山崎を完成させるんです!
山崎 12年・18年のあの何層にも重なる味わいは、
このポットスチルの多様さが源泉と言っても過言じゃないです!
ちなみに白州もサントリーで多種多様なポットスチルを持ってるよ!
ウイスキー山崎の味や種類の記事はこちら!
山崎2020の実飲レビューはこちら!
同じサントリーなら白州もチェック!
スプリングバンク|手作業2.5回蒸留の変わり種

最後にちょっと変わり種!
キャンベルタウン地方のスプリングバンク蒸留所は、
2.5回蒸留という特殊な方法を使っています!
1回目の蒸留液と2回目の蒸留液を一部ブレンドしてから3回目に回すという、
世界でもかなり珍しい製法!
おかげで、
重厚さと繊細さが同時に味わえる独特の仕上がりになってます!
スプリングバンクの味や種類の記事はこちら!
アードベッグ|ストレート型の重厚ピート

アイラ島南岸のアードベッグは、
ストレート型に近いポットスチルを使っていて、
重いピート香とオイリーさがそのまま残るタイプ!
一度飲むと忘れられない強烈なスモーキー!
ちなみにアードベッグは蒸気が早く抜ける「パリフィケーター」という逆流装置も付けていて、
軽さと重さの両方を持つ独特な設計になっています!
アードベッグの味や種類の記事はこちら!
アードベッグ10年の実飲レビューはこちら!
まとめ:単式蒸留器はシングルモルトの「魂」

引用元:https://www.piroriro.com/entry/yamazaki
ということで!
単式蒸留器(ポットスチル)について解説してきました!
もう一度ざっくりまとめると、
・単式蒸留器=銅でできた大きなやかん型の装置
・1バッチずつ蒸留するのでシングルモルトの個性が濃く残る
・銅が雑味を取り除きフルーティさだけ残してくれる
・ネックの形と背の高さで味が大きく変わる
・ストレート型=重厚/ボール型=華やか/ランタン型=バランス
こんな感じ!
普段何気なく飲んでるシングルモルトが、
あの複雑な個性を持っているのは全部ポットスチルのおかげ!
なので、
お気に入りの蒸留所が見つかったら、
あの蒸留所のポットスチルってどんな形なんだろう?
って調べてみると、
その蒸留所を好きになった理由が見えてきて、
かなり面白いと思います!
ここまで読んでくれてありがとう!単式蒸留器の沼へようこそ!
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