245本のウイスキーをレビューしてきて、
「熟成年数」とか「シェリー樽」とか、
知った風に書いてるんですけど、
「そもそもウイスキーってどうやって作られてるの?」って聞かれると、答えに詰まってました(正直)
麦を発酵させて、蒸留して、樽に入れる。
くらいのフワッとした理解のまま、
245本分もレビューを書いてきたわけです。
さすがにこれはマズいと思って、
ちゃんと製造工程を1本の流れで整理してみました
ということで今回は、
麦から瓶詰めまでの製造工程を、
難しい専門用語をなるべく使わずに解説します。
結論:製麦→糖化→発酵→蒸留→熟成の5工程。時間がかかるのは「熟成」だけ
この工程を知ってると、ラベルの「〇年熟成」を見る目が変わるよ!
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ウイスキーができるまで。工程は全部で5つ
まずは全体の流れから!迷子にならないようにここだけ覚えて
製麦 → 糖化 → 発酵 → 蒸留 → 熟成
① 製麦(モルティング):大麦を発芽させる
② 糖化(マッシング):麦芽をお湯と混ぜて糖の液にする
③ 発酵:酵母が糖をアルコールに変える
④ 蒸留:アルコール度数を一気に上げる
⑤ 熟成:樽の中で何年も寝かせる
この5つ、実は最初の4つは、
だいたい1〜2週間で終わります。
ビールと近い工程なので、意外と早いんですよね。
時間がかかるのは、最後の「熟成」だけ。
18年熟成のボトルが高いのは、単純に18年間倉庫代がかかってるからなんですよ
① 製麦(モルティング):大麦を発芽させて糖化しやすくする
まずは原料の大麦を、
水に浸けて、わざと発芽させます。
芽が出ると、大麦の中にあるデンプンが
糖に変わりやすい状態になるからです。
頃合いを見て、熱風や
ピート(泥炭)を焚いた煙で発芽を止めます。
ここでピート由来の煙をたっぷり浴びせた麦芽が、
いわゆる「スモーキー」なウイスキーの正体です。
レビューでよく書く「正露丸っぽい香り」の出どころ、実はこの工程だったんですよね(今更知った)
糖化と発酵。麦が「お酒」に変わるまで
ここから化学反応っぽくなってきます!でも大丈夫、そんなに難しくないので
② 糖化(マッシング):麦芽を砕いてお湯と混ぜ、麦汁を作る
発芽が止まった麦芽を細かく砕いて、
温かいお湯と混ぜて、お粥みたいな状態にします。
すると、麦芽の中のデンプンが糖に分解されて、
甘い麦汁が出来上がる。
これ、麦茶みたいな色と匂いで、
この時点ではまだアルコール0%です。
③ 発酵:酵母が糖をアルコールに変える。ビールとほぼ同じ状態に
この麦汁に酵母を加えて、
2〜3日待つと、アルコール度数7〜9%くらいの液体になります。
これ、専門的には「もろみ」と呼ぶんですが、
味も見た目もほぼビールです。
この状態でそのまま飲んでみたいような、飲みたくないような・・・
ちなみにこの発酵の時に生まれる香り成分が、
のちのちフルーティーな香りの元にもなるので、
地味に重要な工程だったりします。
蒸留。ここでやっと「ウイスキー」になる
ビールみたいな「もろみ」が、ここで強いお酒に変わります
④ 蒸留:アルコールを気化させて度数を一気に上げる
アルコール7〜9%の「もろみ」を加熱すると、
水より先にアルコールが蒸発します。
その蒸気を冷やして液体に戻すと、
度数60〜70%くらいの、透明な原酒が出来上がります。
この時点だと、色は無色透明で、
樽由来の琥珀色はまだ一切ついてません。
蒸留の方式には「単式蒸留」と「連続式蒸留」の2種類があって、
どっちを使うかで味の個性がガラッと変わります。
この違いだけで記事1本分あるので、
気になる人はこちらもどうぞ。
シングルモルトの蒸留所ごとの味の違いは、だいたいこの装置の形の違いから来てる!
熟成と瓶詰め。時間とお金がかかる最後の工程
ここが一番長くて、一番お金がかかる工程です
⑤ 熟成:樽の中で最低3年。琥珀色も香りも、ほぼ樽から
透明な原酒を木の樽に詰めて、
倉庫でひたすら寝かせます。
スコッチだと法律で「最低3年」と決まっていて、
3年未満はそもそも「ウイスキー」を名乗れません。
で、この熟成中に、
あの琥珀色も、バニラや樽っぽい香りも、ほぼ全部この樽由来です。
樽の材質・使用回数・前に何を入れてた樽か(シェリー酒とか)で、
同じ原酒でも味が全然違う仕上がりになります。
特にミズナラ樽なんかは、樽の種類だけで1記事書けるくらい個性が強いので、
興味ある人はこちらもチェックしてみてください。
樽の種類ごとの香りの違い(バーボン樽・シェリー樽・ミズナラ樽など)を1本にまとめた記事もある。
「18年」とか「25年」のボトルが高いのは、その年数ぶん倉庫を占領してるからなんですよね・・・
ちなみに熟成中、樽の中身は蒸発でちょっとずつ減っていきます。
これがいわゆる「天使の分け前」という有名な現象です。
瓶詰め:加水して度数を40〜46%に調整して完成
樽出しした原酒はまだ度数が60%前後あるので、
水を加えて40〜46%くらいまで薄めてから瓶詰めします。
この加水の塩梅も蒸留所ごとの腕の見せどころで、
樽出しのまま薄めずに瓶詰めしたのが、
いわゆる「カスクストレングス」です。
カスクストレングスの銘柄をまとめて知りたい人はこちら。
「加水してない原酒そのまま」って考えると、カスクストレングスの度数の高さにも納得!
まとめ:工程を知ると、ラベルの見え方が変わる
ということで今回は、
ウイスキーができるまでの5工程を紹介しました!
あらためて整理すると、
・製麦:大麦を発芽させて糖化しやすくする
・糖化:麦芽をお湯と混ぜて甘い麦汁にする
・発酵:酵母がアルコール7〜9%の「もろみ」に変える
・蒸留:加熱して度数60〜70%の原酒にする
・熟成:樽の中で最低3年、色と香りをつける
最初の4つは1〜2週間で終わるのに、
最後の熟成だけ、平気で10年20年かかる。
ウイスキーの値段の大半は、実質「時間」の値段なんだと思うと、
高いボトルにも少し納得できませんか。
次にボトルを開ける時は、
ラベルの「〇年」の数字が、
倉庫で寝てた年数だと思って見てみてください。
味の感じ方、ちょっと変わると思います。
「単式蒸留と連続式蒸留の違いをもっと詳しく知りたい」って人はこちらもどうぞ。
読んでくれてありがとう!筆者おすすめのウイスキーもどうぞ!
同じ工程でも、複数の原酒をブレンドするかどうかで別物になるのが面白いところ!
せっかく何年もかけて熟成させた原酒、開封後の保存で台無しにしないように!