このブログを書いている筆者には小さい頃から夢があった。
それは
パイロット
そう!子供の頃からずっとパイロットになりたかった筆者。現在はパイロットとは全く関係のない自動車メーカーで普通のサラリーマンとして働いているけれど、就職してもなお諦めきれず、つい去年までパイロットの試験を受けていた。
ということで、パイロットにはなれなかったけど、パイロットになるための方法については日本一詳しいと自負している筆者。今回はそんな筆者のようにパイロットに憧れを持つ人のために、年齢別にパイロットになる方法をご紹介したいと思います。
パイロット志望だった筆者が語る!日本でパイロットになるための方法まとめ
パイロットになるために一番大切なのってなんだと思いますか?
視力?学力?体力?適性?
どれもパイロットの試験を通過するためには必要ですが、一番大事なのは・・・
年齢
そう!自衛隊のパイロットも航空会社のパイロットもある一定以上の年齢の人は、たとえどんなに優秀でも採用しない「年齢制限」があります。
今年、26歳になった筆者はほぼ全てのパイロットの道が閉ざされてしまいました。しかし!逆に言うと、若ければ若いほどパイロットになれるチャンスは多い!
ということで今から日本でパイロットになるための方法全てを年齢別に紹介します!
18歳以上21歳未満の人:自衛隊の「航空学生」
日本人が一番最初にパイロットになれるチャンスが来るのは18歳の高校卒業の時。自衛隊の「航空学生」の試験が受験できるようになります。
「航空学生」とは一言で言うと、自衛隊のパイロットを養成するための制度。合格すると、約4年間の訓練の後、航空自衛隊の戦闘機や海上自衛隊のヘリコプターパイロットなどとして活躍します。
年齢制限がかなり厳しく、航空自衛隊の場合は18歳以上21歳未満、海上自衛隊の場合は18歳以上23歳未満となっており、もし現在26歳の筆者が、「戦闘機パイロットになりたい!」と思っても絶対になることはできません。
毎年秋に試験があり、高校修了見込の方も受験できるため、高校3年生の夏に願書を提出し、試験を受けるのが一般的です。
自衛隊に限らず、パイロットの訓練期間中は、訓練の失敗や健康問題などで「適性なし」と判断されると、その時点でパイロットになる資格を失います(エリミネート)。もし航空学生でエリミネートを受けた場合、戦闘機パイロットになるための直前の訓練まで進めた場合は輸送機や救難機のパイロットに異動できる特例もありますが、大抵はパイロット以外の自衛官として勤務することになります。
これが航空学生の最大のデメリットで、自衛隊以外のパイロットの受験資格が大卒以上となっているため、もし航空学生の訓練期間中にエリミネートを受けると、他のパイロットになるためのチャンスもほぼなくなってしまいます。
筆者はどちらかと言うと航空会社のパイロットになりたかったことと、大学に進学したかったため、航空学生の試験は受けませんでした。
18歳以上21歳未満の人:防衛大学校の「航空要員」
自衛隊のパイロットになるためのもう一つ主要ルートとして、防衛大学校の「航空要員」があります。ただ、このルートは運の要素がかなり強いので、確実にパイロットになりたい人にはおすすめしません。
一応参考に説明します。
まず、高校卒業後、防衛大学校を受験し合格する必要があります。防衛大学校の難易度としては、私立大学で例えるとMARCHレベル、国立大学で例えると旧帝大のちょっと下レベルと結構難易度が高いので、この時点でおすすめしません。
そして晴れて防衛大学校に合格した半年後、パイロット適性有無の調査が行われます。ここで適性ありと判断された学生のみが「航空要員」として選ばれ、パイロットの訓練コースに進めます。しかしこの要員選定、当たり前ですが自分の希望通りにいくとは限らず、パイロット志望だったのに「陸上要員」になることも十分にありえます。ということで、パイロットを目指して防衛大学校に入ることはあまりにも不確実性が高いので、筆者はおすすめしません。
自衛隊のパイロットは一般の大学を卒業してから採用されるルートもありますので、そちらをおすすめします。
2000万円の学費払える人:私立大学の「パイロット養成コース」
高校卒業時にパイロットになるためのイレギュラーなルートがこれ。東海大学、法政大学、桜美林大学など私立大学のパイロット養成コースに入学すること。
ただ学費が4年間で約2000万円かかるので、おそらく多くの人は選択肢にないかと思います。また以前は卒業後の進路としてLCCが主流で、「割りに合わない」という意見が多かったですが、ここ最近のパイロット不足問題を受けて、ANAやJALなど大手からの採用も目立ち始めたので、人によってはもしかしたらおすすめルートになるかもしれません。
ただ筆者は現在の日本のパイロットの主流コースである、「航空大学校」か「自社養成」をおすすめします。航空大学校と自社養成については下で詳しく書いていますので、あわせてご覧ください。
22歳以上26歳未満の人:自衛隊の「一般幹部候補生飛行要員」
防衛大学校の欄でちょっと書きましたが、自衛隊のパイロットになるための最後のルートがこの「一般幹部候補生飛行要員」です。航空会社のパイロットと併願して受験できるので、どうしてもパイロットになりたい人は受験をおすすめします。
一般幹部候補生飛行要員とは、一言で言うと、大学を卒業した人が自衛隊に入隊するための試験となります。この試験、防衛大学校ルートとは違って、受験の段階でパイロット希望者専用の試験を受けるため、「パイロットになりたかったのに陸上自衛隊に配属された」ということは起きないので、パイロット志望の方にはぜひおすすめのルートです。
募集はちょうど就活が始まる頃の3〜5月ぐらいに行われるので、就活と並行しながら受験することをおすすめします。
自衛隊の戦闘機パイロットやヘリコプターパイロットになりたい人は、この一般幹部候補生試験が人生最後のチャンスなので、忘れずに受けるようにしてください。
25歳未満の人:航空大学校
筆者がパイロットになるために、一番目指していたルートがこの「航空大学校」です。ちょっと年齢と学歴条件がややこしいので表にまとめます。
- 大学2年以上在学
- 取得単位62単位以上
- 25歳未満
ポイントは大学を卒業していなくても受験資格が発生することです。
大学に2年在学していて、取得単位が62単位あれば誰でも受験できます。ちなみに大学名や学歴は一切関係なく、試験の点数が全てなので、パイロットになりたい人は臆することなく受験することをおすすめします。(航空大学生に早慶の理系がやたらと多いので「学歴フィルターがあるのでは?」って某掲示板では書かれていたりしますが、受験内容がセンター試験レベルなので必然的に受験に強い早慶出身者が多いだけです。地方の聞いたことない大学の航空大学生もいるので、学歴フィルターは絶対にありません。)
試験内容は、一次試験が筆記試験で、
英語・物理・数学
就活のSPI
が出題されます。
英語・物理・数学に関してはセンター試験とほぼ同じレベルなので、センター試験満点取れる対策をすれば、間違いなく合格できます。(頭をひねって考える問題よりもスピード重視の簡単な問題ばかりです)また航空大学校のHPで過去5年分の試験問題が公開されているので、しっかり対策しましょう。(試験内容は過去10年以上変わっておらず、過去問を制限時間の7割程度の時間で解けるぐらい対策すれば、間違いなく合格できます)
そして総合Ⅰという試験では、「頭の体操」的な問題が出題されます。こちらは過去問が公開されておらず、一番内容の近い試験をあげるなら、就活のSPIが該当します。しかし、周りの人もどうせ対策が十分に出来ておらず、大して差がつかないのであまり気にしないことをおすすめします。英語・物理・数学でセンター満点レベルの実力であれば、総合Ⅰで大きく失敗しようが十分にカバーできるので、とにかく英語・物理・数学対策に時間をかけるのが筆者のおすすめです。
そして一次試験の筆記試験に合格すると、4ヶ月後に二次試験の身体検査があります。年にもよりますが大体50〜70%の一次試験合格者がここで落とされます。筆者も二次試験で不合格になりました。対策は生まれ持った身体と長年の健康習慣が影響しますので、数ヶ月で対策することは不可能です。パイロットになりたい人は、大学入学した直後ぐらいから、健康管理に励みましょう。
航空大学校の受験については別の記事で詳しく書きますので、そちらもあわせてご覧ください。
参考記事
※後日アップしますので、少々お待ちください※
大卒〜25歳以上の人:航空会社自社養成パイロット
パイロットになるための最後のチャンスがこれ。筆者もつい去年まで受験していました。
現在日本で自社養成制度を設けている航空会社は以下の4つになります。
航空会社としては5社ありますが、PeachとANAウイングスは共同で採用試験を行っているため、自社養成試験の受験のチャンスは全部で4回になります。
ちなみに2019年時点では、年齢制限があり、JALとANAは新卒3年以内(いわゆる第二新卒)という条件がありましたが、2020年から年齢制限が完全に撤廃されました。ということで、今この記事を書いている26歳の筆者も今年も自社養成試験を受けるチャンスが巡ってきたみたいです。(もう受けませんが・・・(笑))
自社養成試験も各社対策していた筆者、合格の一番のポイントは「就活の面接が得意であること」です。
航空大学校が筆記試験など学力重視なのに対し、SPI以外は特に筆記試験を課されない自社養成試験。3〜5回に渡る採用面接をミスなく突破することが何より重要です。また学歴を全く見ない航空大学校に対し、自社養成試験は例えるなら「就活の難しいバージョン」みたいな採用試験なので、まず間違いなく学歴は見ていると思います。昨年、自社養成試験を受けていた筆者、面接までの待機時間で他の志望者と談笑したり、グループ面接の自己紹介を聞いていると、MARCH以上の学歴がほとんどでした。ただ、あくまで「就活の試験の延長」なので、”とびっきり光る何か”を持っている人はきっと通過できるので、諦めずに受験する価値はあると思います。
自社養成試験の受験についても別の記事で詳しく書きますので、そちらもあわせてご覧ください。
参考記事
※後日アップしますので、少々お待ちください※
【余談】1500万円持っている人:自費ライセンス取得
パイロットにどうしてもなりたい人の最後のチャンス。自腹で免許取得して航空会社に採用される方法。
ただ、2020年から自社養成試験の年齢制限が撤廃されたので、自費でライセンスを取得してまでパイロットになるメリットがないかと思います。
また自費ライセンス取得で一般的なアメリカで免許を取得しても、JALやANAなど日本の航空会社のパイロットとして採用されるためには、JCABライセンスという日本独自のパイロットライセンスを取得する必要があります。色々と壁が高く、多くの人は海外の航空会社のパイロットとして落ち着くのが一般的ルートとなっており、1500万円の訓練費用をその後のパイロットの給料で回収することは難しいのが現状です。筆者含め、熱烈なパイロット志望者でもあまりこのルートを選択する人は少ないかと思います。
まとめ
以上、日本でパイロットになるための方法を7つあげてみました。
昔は男の子なら誰もが一度は憧れる花形職業だったパイロット。昨今のパイロット不足問題で、年々敷居が下がっており、一般の人の想像よりもかなり門戸が開かれています。
現に25歳で自社養成試験に落ちて「もうパイロットになるための道は閉ざされた・・・」と思っていた筆者も、この記事書くために募集要項調べてみたら、今後しばらく受験できることが分かったぐらい、航空業界は幅広い人材を求めています。
ということで、これを読んでいる方で、
「私は目が悪いから無理」
「パイロットって頭良くないとダメでしょ?」
「もう就職して新卒じゃないしなー」
「女性はパイロットなれないよね・・・」
「なんか試験難しそう・・・」
なんて思ってパイロットになる道を諦めている人がいたらもったいない!
ここ数年で試験内容も倍率も状況はまるっきり変わっています。年齢さえ引っかからないならぜひ受験してみるべきです!
努力次第で誰もがチャンスを掴める2020年のパイロット事情。もしかしたらこの記事を書いている筆者も隣で採用試験受けているかもしれません(笑)!