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ベンリアックの味や種類/10年・12年・20年・キュオリアシタスの違いを解説

30種類以上の樽を使い分け、通常のウイスキー樽だけではなく、ラム酒や赤ワインの製造に使用した樽なども使って、ちょっと面白い味わいのウイスキー造りを得意とするベンリアック 

同じ蒸留所で造られるウイスキーでありながら、ラインナップによって全く異なる個性を味わうことができる変幻自在の蒸留所でもあります

ということで今回は、そんなベンリアック の特徴、歴史、ラインナップごとの違いを初心者の人にも一から分かるように解説してみようと思います!

 

 

ベンリアックの味や種類/10年・12年・20年・キュオリアシタスの違いを解説

 

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引用元:http://www.ryanbenink.com/whiskyworld/2017/12/new-benriach-21-years-old-matured-four-types-casks/

 

ベンリアックとは?

 

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引用元:https://foodanddrink.scotsman.com/drink/benriach-distillery-reintroduces-sherry-wood-aged-12-years-to-core-range/

 

ベンリアックはスコットランドのスペイサイド地方で造られるウイスキー

ウイスキーの熟成に使用する樽を30種類以上も使い分ける蒸留所として有名なベンリアック

ほとんどの蒸留所が使用するバーボン樽、シェリー樽はもちろんこと、赤ワイン樽、ラム酒樽など珍しい樽での香り付けも行っています

長らくブレンデッドウイスキー製造用の原酒を提供する蒸留所として活躍していましたが、1994年からシングルモルトウイスキーも発売し、多種多様な樽による多彩なウイスキーが人気を集めています

 

ベンリアックの歴史

 

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引用元:https://www.insider.co.uk/news/benriach-distillery-triple-distillation-speyside-12506547

 

1898年に創業したベンリアック蒸留所

しかし、ちょうどスコッチウイスキー不況期に蒸留所をオープンしてしまったベンリアック・・・

創業からわずか1年で、約50年近い製造停止の困難を経験してしまいます・・・

ちなみに、製造停止中は、お隣にある老舗蒸留所のロングモーン蒸留所のモルティング作業を担当して、なんとか営業をつないでいました

このモルティング作業は、現在のベンリアックでも引き継がれており、現代のウイスキー造りにおいては、珍しいフロアモルティングという手作業を行う数少ない蒸留所となっています

そして、1960年代に世界一の販売数を誇るグレンリベット蒸留所に買収されたベンリアック

1965年に、やっと操業を再開し、現在に至ります

また2004年ごろからは、攻めの経営を始めたベンリアック

ベンリアックよりも歴史ある蒸留所である、グレンドロナックとグレングラッサを買収し、現在も3蒸留所はベンリアックファミリーとして、ウイスキー造りを行っています

 

ベンリアックの製法

 

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引用元:https://www.callmewine.com/en/winery/benriach-B532.htm

 

ベンリアックの創業者であるジョン・ダフは、蒸留所建設前に各地を旅して、それぞれのウイスキー蒸留所の強みを独自で調べ上げました

その結果、ノンピート、ピート、三回蒸留という3タイプのモルトウイスキーを造り分けるという、なかなかに革新的アイデアを思いついたジョン

こうして華やかな香り・二回蒸留を特徴とするスペイサイド地方ではかなり異端なベンリアック蒸留所が生まれました

しかし、前述の通り、オープンからたった1年で停止に追い込まれたベンリアック蒸留所。停止中は、お隣の蒸留所であるロングモーン蒸留所の精麦作業を、せっせと行っていました

その時に行っていたフロアモルティング(床式製麦: 床の上で大麦を発芽させる) という精麦法は、現在のベンリアックのウイスキー造りを象徴する特徴ともなっています

ということで、このような歴史もあり、現在のベンリアックも、ノンピート、またフェノール値55ppmの2種類の麦を使い分けています

また、伝統的なフロアモルティング、そして、30種類以上の樽を使い分けるなど、現代でも他の蒸留所は真似できない、なかなかに面白い特徴を持った蒸留所となっています

 

ベンリアックの種類

 

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引用元:https://fortune.com/longform/benriach-scotch-whisky/

 

ベンリアック 10年

 

 

ベンリアックで最もお手頃なボトルがベンリアック 10年

お手頃なボトルながら、バーボン樽とシェリー樽の原酒を中心に、アメリカンオークやフレンチオークの新樽など様々な樽を使い分けて組み合わせています

りんご、桃、バナナ、レモン、シトラスなど様々なフルーツの甘酸っぱさを中心に、バニラやクッキーのような甘い香ばしさが後を追います

また、シナモンのようなスパイシーさやミントのような香りも漂い、とにかく複雑!

1本4000円程度の10年ものウイスキーには思えない奥深い味わいを楽しめます!

とにかく華やかで、デザートのような味わいなので、食後や寝る前のくつろぎの一杯にはもってこいです!

 

ベンリアック キュオリアシタス10年

 

 

上で紹介したベンリアック 10年と一見同じに見えるけど、中身はまるっきり別物なのがキュオリアシタス10年

ピートのレベル55ppmの本場アイラ島ウイスキーに負けないヘビーピートモルトを使用した、とても煙くさいウイスキーです

ただ、アイラ島ウイスキーが、煙の奥に潮の香りを感じるものが多いのに対して、こちらキュオリアシタス10年は、海の香りは無縁

純粋なピートの煙の香りを楽しむことができる、なかなかに珍しいウイスキーです

バーボン樽由来の甘い味わいが中心で、アイラ島の煙くさいウイスキーとは一味違う味わいは、ウイスキー通なら必見!

また、ピートのレベル55ppmと、アイラ島最強のアードベッグに並ぶ煙くささなので、スモーキーなウイスキー好きにもおすすめ!

 

ベンリアック 12年

 

 

オロロソシェリー樽、ペドロヒメネスシェリー樽の2種類のシェリー樽を使い分けた、シェリーの香りにこれでもか!と特化したのがベンリアック 12年

一時、販売が休止されていましたが、2018年から復活した大人気商品です

ベンリアックのシェリー樽熟成ボトルの代表とも言える看板商品で、味わいはダークチョコのような苦みが中心

意外にも、他の蒸留所のシェリー樽ウイスキーのようなフルーツやお花のような甘みや酸味はそれほど強くありません

シェリー樽熟成のウイスキーが好きな人が飲むと、あれ?って思うかも

 

ベンリアック 20年

 

 

バーボン樽をメインに20年以上の長期熟成をした原酒を贅沢に使用したボトル

蜂蜜、洋ナシ、バニラ、カスタード、バターのような濃厚な甘みや香りが中心

一口飲んだだけで、バーボン樽のウイスキーだと分かるぐらい、バーボンの甘い特徴が詰まっている1本です!

ただただ甘いだけではなく、ほんのりとピートの煙の香りも隠されており、この隠し味がこれまた絶妙!

しかも1本1万円ぐらいと、20年もののウイスキーにしてはかなり安価な部類に入るので、ちょっとでも気になる人はおすすめ!

良いウイスキーとバーボン樽の甘みを知るのにぴったりな、とても優秀なウイスキーです!

 

ベンリアック ハート・オブ・スペイサイド

 

 

8年から12年ぐらいの原酒を使用したボトル。一応、ノンエイジのボトルということになっています

名前通り、スペイサイド地方の華やかなウイスキーの特徴がこれでもか!というぐらい詰め込まれています

辛口のオロロソ樽と極甘口のペドロヒメネス樽の2種類を絶妙に組み合わせており、

フルーツとお花の香りが混じり合った軽やかなのに、奥深い華やかな香りを楽しめます

1本3000円程度とかなり安価ながら、ベンリアックの真価とスペイサイド地方ウイスキーの特徴を知るのにはもってこいのおすすめウイスキーです!

 

まとめ

 

30種類以上の樽を使い分けることを得意とし、またピートとノンピートの大麦すらも使い分けるベンリアック蒸留所

おそらく100以上あるスコッチウイスキー蒸留所の中でも、これほど多くの顔を持った蒸留所は他にはないと思います

またウイスキーでは一般的なシェリー樽熟成にも定評があり、マッカランやグレンドロナックなど有名どころにも負けない華やかなウイスキーは、ウイスキー通の間でも人気です!

ということで、華やかな香りのベンリアック 12年。また、一度飲んだら忘れないぐらい強烈な煙の香りのベンリアック キュオリアシタス10年。ぜひ2本並べて飲み比べてみたいです!

おそらく同じ蒸留所が造ったウイスキーとは思えない、真逆の味わいが楽しめますよ!