約200年前に、医師であり化学博士であったジェイムズ・クロウという人物が、化学的で体系的なバーボンウイスキーの製法を追求し生み出されたオールドクロウ
かつては、バーボンの中でも屈指の味わいを誇る絶品ウイスキーとして、絶大な知名度とプレミア価格を付けた、右に出るものはいないブランドでした
しかし、クロウの生み出したオリジナルレシピが消失するなどして、徐々に味を落とし始めたオールドクロウ
現在は、かつての面影はない1本1500円程度の安いボトルとして販売されています
ということで今回は、そんなオールドクロウの特徴、歴史、ラインナップごとの違いを初心者の人にも一から分かるように解説してみようと思います!
オールドクロウの味や種類/ボンデッド・トラベラー・リザーブ・ローリングKの違いを解説
オールドクロウの歴史
オールドクロウを生み出したジェイムズ・クロウはスコットランド生まれの化学博士で医師でもあった人物
1820年代頃からバーボンの本場であるケンタッキー州に住み始め、医師の仕事の合間にケンタッキー州の複数の蒸留所で働いていたという、ちょっと風変わりな肩書きを持っていました
そして当時のバーボンウイスキーの製法は、職人の長年の経験による勘に基づくものばかり。味も品質も、その年によって安定しないという致命的な欠陥を抱えていました
そんな1830年代のバーボンウイスキー業界に新しい風を吹かせたのがクロウ
化学博士の知識を活かして、発酵、蒸溜、温度に関する実験を幾度となく行い、現在は多くの蒸留所が採用する「サワーマッシュ製法」という方法を生み出しました
クロウが造るバーボンウイスキーは、いつでも品質が安定しているのはもちろんのこと、深みのある味わいと香ばしく爽やかな香りが評判で、相場の倍以上の値段でも飛ぶように売れました
しかし、1856年にこの世を去ったクロウ。確立したウイスキーレシピを誰にも引き継がずに亡くなってしまったため、飛ぶように売れたクロウのウイスキーの味は失われてしまいました
その後、ゲインズ社という企業に蒸留所が買収され、多くの職人を集めてクロウが造ったウイスキーの味わいが再現され、一時は再び軌道に乗ったように思えたオールドクロウ
しかし、1960年代頃から製法が簡素化され、味が変わってしまったという悪評が飛び回り、消費者も徐々に離れていってしまいます
また、蒸留所はこの消費者離れについて特に改善策を打たなかったため、さらに味は改悪。結果的に1980年代には致命的な顧客離れを引き起こし、ついに、1987年にかつてのライバルであり、当時世界一売れていたバーボンウイスキーブランドであったビーム社に買収されてしまいます
ビーム社はオールドクロウの蒸留所を取得してすぐに閉鎖。現在のオールドクロウ蒸留所は、ビーム社の原酒熟成庫として使われており、かつてのオールドクロウの味わいは完全に失われたと言われています
1本1500円ほどと、バーボンウイスキーの中でも格安の部類に入ってしまった現在のオールドクロウ。あまりおすすめはできないけど、もしも1960年代以前のオールドクロウを目にしたら、現在のオールドクロウとは天と地ほどの差がある絶品なので、ぜひ飲んでおきたいです
オールドクロウの種類
オールドクロウ
現在のオールドクロウのラインナップの中心的ボトルで、1本1500円ほどとかなり安いボトルがこれ!
アルコールの刺激がとにかく強く、お世辞にも飲みやすいとは言えない代物・・・
かつて松田優作が愛飲し、映画「処刑遊戯」で美味しそうに飲んでいたイメージで飲むと拍子抜けするかも・・・
また、バーボン特有の接着剤のような香りのえぐみも強く、クセのある味わい。人によってはメロンのようなフルーティな香りに感じる人もいるようです
ということで、1本1500円ほどの格安ウイスキーとしてはおすすめのオールドクロウ。コーラや炭酸水で割ってハイボールで飲む晩酌用には、結構コスパよく飲めるかも?
オールドクロウを実際に飲んでみたレビューはこちら!