ウイスキー造りに欠かせない工程といったら、やっぱり樽熟成!
そもそもウイスキーが、10年以上に渡って木の樽で寝かせて、独特の風味が生まれるということを知らなかった人も多いのではないでしょうか?
てことで!
これまで245本のウイスキーを飲んでレビューしてきた筆者が、
ウイスキーと樽の切っても切れない関係について、初心者の人にも一から分かるように解説してみようと思います!
で、
先にざっくり結論を言うと・・・
樽で味はこう変わる!
・バーボン樽 → バニラ・カラメルの甘さ(例:グレンリベット12年)
・シェリー樽 → レーズン・チョコの芳醇な甘み(例:マッカラン12年)
・ミズナラ樽 → お香・白檀の和風な香り(例:山崎)
・ワイン樽 → ベリーのフルーティな風味(例:グレンモーレンジィ キンタルバン)
樽を知るとウイスキー選びが10倍楽しくなる!

- そもそもなぜウイスキーは樽で熟成するのか?
- 樽熟成によるウイスキーへの3つの効果
- ウイスキーの樽の種類一覧
- ①バーボン樽|バニラとカラメルの甘い香り
- ②シェリー樽|レーズンとチョコレートの芳醇な甘み
- ③ミズナラ樽|日本が誇る唯一無二の香り
- ④ワイン樽|ベリーのフルーティな風味
- ⑤新樽(ヴァージンオーク)|ウッディで力強い味わい
- シェリー樽とバーボン樽の違いを比較
- ファーストフィルとセカンドフィルの違い
- ウッドフィニッシュとは?
- オーク材の種類|アメリカンオークとヨーロピアンオーク
- まとめ:樽を知るとウイスキー選びが変わる!
そもそもなぜウイスキーは樽で熟成するのか?
樽熟成前のウイスキーは無色透明!

製造工程の一番最後に、木の樽に詰められ、長い眠りにつくウイスキーですが、この樽に入れる直前のウイスキーって、実はほぼ無色透明!
無色透明でアルコール度数が65〜70%、味わいはとても荒々しいという、ウイスキーとは似ても似つかないお酒です!
え、あの琥珀色は樽のおかげなの!?
そう!
ウイスキーの味わいのほとんどは、樽熟成によって造られると言っても過言ではありません!
短いと数年、長いものでは数十年という期間を樽で過ごすウイスキー!
この長期間の熟成により、樽の木の成分がウイスキーに染み出し、色は無色透明から琥珀色へと変化!
また、味わいも荒々しさが消え、まろやかな風味へと変化します!
樽熟成は「密造酒」の偶然で生まれた!

そもそもウイスキーはなぜ、これほど長期間に渡り樽熟成を行うようになったのでしょうか?
実は、ウイスキーと樽の出会いは、「密造酒」をきっかけにした偶然で誕生しています!
13世紀ごろにアイルランドかスコットランドで生まれたと言われるウイスキー!
当時のウイスキーは、樽熟成を行っておらず、無色透明な荒々しい味わいでした!
そして、約500年ぐらい経った18世紀ごろ、スコットランドがイングランドに併合され、ウイスキーに対して超高額な税金を課されることになります!
これに対抗するべく、スコットランドのウイスキー業者は、次第に山や谷の合間など、イングランド政府の役人に見つからないような場所でウイスキー製造を行い、製造した原酒は木の樽に貯蔵!
もし政府の役人がやって来ても、すぐに樽を持ち出し移動できるという方法で、高額な課税を逃れました!
で、
当初はウイスキーの保管に便利ということで使っていた木の樽・・・
いざ開けてみたら、これまでのウイスキーとは全く異なる、まろやかで琥珀色の美味しい液体となっていた!
偶然の産物からウイスキーが生まれた!
この偶然の出会いこそが、現在のウイスキーの原型です!

ちなみに、樽熟成されたウイスキーがあまりにも美味しいという噂を聞きつけた当時のイギリス国王!
どうしても自分もウイスキーを飲んでみたいがために、1824年にグレンリベット蒸留所、マッカラン蒸留所を政府公認蒸留所として認めたという逸話が残るほど・・・
現在のウイスキーの味わいは、300年前のイギリス政府の不当な課税のおかげで生まれた
と言っても過言ではありませんね・・・(笑)
史上初のイギリス政府公認蒸留所「グレンリベット」についてはこちらの記事!
イギリス政府公認蒸留所2番目「マッカラン」についてはこちらの記事!
樽熟成によるウイスキーへの3つの効果

①美しい琥珀色に変化

熟成前はほぼ無色透明のウイスキー!
樽で熟成させることにより、美しい琥珀色の液体へと変化します!
これは、樽の材料の木に含まれるリグニンという成分が、液体に溶け出すことによって生まれています!
また、材料の木の種類によって、ウイスキーの色味も変化し、アメリカ産のオーク材を使った樽を使用すると黄色味が強い褐色に、ヨーロッパ産のオーク材を使うと赤みが強い色合いになると言われています!
②奥深い風味と香りが生まれる

ウイスキーの独特の芳醇な香りも樽熟成によるもの!
バニラや蜂蜜などと例えられる、ウイスキーの甘い香りは樽に使われる木の成分の影響を受けて生まれます!
また、樽熟成前の原酒と木の成分が化学反応して生まれる香りもあり、最近の蒸留所は、この化学反応をいかに引き出すかという、緻密な計算の下で原酒造りを行っています!
③味わいがまろやかでアルコール度数が落ちる

樽熟成前の原酒は、アルコール度数が65〜70%、味わいはとても荒々しいという特徴を持っていますが、熟成後は、アルコール度数50%程度、味わいは甘みを含んだまろやかなものへと変わっています!
これも樽の木の成分の影響が大きく、近年はより芳醇な香りを求めて、ワインやシェリー酒、ラム酒など他のお酒の製造に使われた樽を、あえてウイスキー造りに再利用するという手法も多く採用されています!
また、樽に詰められる前の原酒は、「ニューポット」と呼ばれ、蒸留所見学に行くと飲める機会も多いので、普段飲んでいるウイスキーと飲み比べてみると面白いと思います!
ウイスキーの樽の種類一覧

ウイスキーは、樽に使われる木の材質や以前に入っていたお酒によって大きく味が変化します!
まずは主要な樽の種類を一覧表でまとめます!
樽の種類と味の違い
バーボン樽:バニラ・カラメル・蜂蜜 → 代表銘柄:グレンリベット12年
シェリー樽:レーズン・ドライフルーツ・チョコ → 代表銘柄:マッカラン12年
ミズナラ樽:お香・白檀・スパイシー → 代表銘柄:山崎
ワイン樽:ベリー・フルーティ → 代表銘柄:グレンモーレンジィ キンタルバン
新樽(ヴァージンオーク):ウッディ・バニラ強め → 代表銘柄:バーボン全般
樽が変わると味が全然違う!
てことで、
ここからは各樽についておすすめ銘柄つきで詳しく紹介していきます!
①バーボン樽|バニラとカラメルの甘い香り

アメリカのウイスキーで最も多く使われるバーボン樽!
実は、スコッチウイスキーの約90%がこのバーボン樽で熟成されています!
え、なんでアメリカの樽がスコッチに?
これには理由があって、
アメリカの法律で、バーボンウイスキーは「新樽しか使ってはいけない」と決まっています!
つまり、バーボンを1回作ったら、その樽はもう使えない!
で、使用済みの樽がスコットランドやアイルランドに大量に輸出されて、
スコッチウイスキーの熟成に再利用されるっていう仕組み!
また、アメリカの法律で「樽の内側を火で炙り焦がすこと」という取り決めがあり、バーボン樽はもれなく火で炙る「チャーリング」という工程が行われています!
オーク樽に比べて味わいが濃く、熟成スピードが早いのが特徴で、強いバニラのような風味、カラメルのような甘さを楽しめます!
バーボン樽のおすすめ銘柄
・グレンリベット12年:バーボン樽の教科書みたいな味!バニラの甘さがストレートでもハイボールでも楽しめる
・グレングラント アルボラリス:軽やかでフルーティ。バーボン樽の入門に最適!
筆者個人的には、バーボン樽のウイスキーが一番飲みやすいと思います!
ウイスキー初心者はまずバーボン樽熟成の銘柄から入るのがおすすめ!
②シェリー樽|レーズンとチョコレートの芳醇な甘み
かつてスコッチウイスキーの主流だったのがシェリー樽!
スペインの酒精強化ワイン「シェリー酒」の空き樽を使ったもので、
レーズン、ドライフルーツ、チョコレート、紅茶のような芳醇な甘みが特徴!
マッカラン飲んだ瞬間に「これがシェリー樽か!」って分かる!
ただ!
現在はシェリー樽自体がかなり希少になってて、
シェリー樽熟成のウイスキーはバーボン樽より高いことが多い!
マッカラン12年が1本8,000円前後するのも、シェリー樽の希少性が一因です!
シェリー樽のおすすめ銘柄
・マッカラン12年:シェリー樽の王道!レーズンの甘さがすごい
・グレンファークラス12年:マッカランより安くてコスパ◎のシェリー系
・アベラワー12年:シェリーの甘みとスパイシーさのバランスが良い
筆者はシェリー樽のウイスキーが一番好き!
レーズンみたいな甘さがたまらないんだよね!
シェリー樽ウイスキーのおすすめ銘柄をもっと知りたい人はこちら!
③ミズナラ樽|日本が誇る唯一無二の香り

日本固有の木であるミズナラ(どんぐりの木)を使用したのがミズナラ樽!
世界的にはジャパニーズオークという名前でも知られており、アメリカやヨーロッパと同様のオーク材が採取できない日本で生まれた、日本独特の樽材です!
アメリカンオークやヨーロピアンオークに比べて、とても香りが強いことが特徴で、白檀や伽羅のような東洋独特の香りがすることで、近年急速に人気が高まっています!
お寺の中にいるような香りがする!
元々は、サントリーが世界で初めてミズナラ樽を使ったのが始まりで、「山崎」の人気により、世界中に人気が伝わったミズナラ樽!
最近はすっかり高級ウイスキーの代名詞的な香りとなっており、滅多にお目にかかれない香りです!
ただ!
ミズナラ樽を使った市販品はかなり高額!
山崎のミズナラ樽は1本数万円するので、気軽に手を出せるものではない・・・
ミズナラ樽、飲みたいけど高い・・・
ミズナラ樽を使ったおすすめウイスキー銘柄はこちら!
④ワイン樽|ベリーのフルーティな風味
赤ワインやポートワインの空き樽を使ったワイン樽!
赤ワイン樽だとベリーやプラムのような甘酸っぱさ、
ポートワイン樽だともっと濃厚なベリーの風味が加わります!
筆者が飲んだ中で一番印象的だったのが、
グレンモーレンジィ キンタルバン14年!
ポートワイン樽で追加熟成されたこのボトルは、
正直、ウイスキーというよりワインっぽい!
フルーティで甘酸っぱくて、ウイスキーの概念がひっくり返る感じ!
ワイン樽のおすすめ銘柄
・グレンモーレンジィ キンタルバン14年:ポートワイン樽のフルーティさが最高!
⑤新樽(ヴァージンオーク)|ウッディで力強い味わい
一度も使われていない新品の樽がヴァージンオーク!
さっきも書いたけど、バーボンは法律で新樽の使用が義務!
なので、バーボンウイスキーは全て新樽で熟成されています!
新樽は樽の成分がダイレクトに出るので、
色が濃く、ウッディで力強い味わいになります!
メーカーズマークやワイルドターキーなどのバーボンウイスキーを飲むと、
この新樽由来のガツンとした味わいがよく分かります!
シェリー樽とバーボン樽の違いを比較
ウイスキー選びで一番迷うのが、
シェリー樽とバーボン樽、どっちがいいの?
っていう問題!
ざっくり比較するとこんな感じ!
シェリー樽 vs バーボン樽
【味】
バーボン樽:バニラ・カラメル・蜂蜜
シェリー樽:レーズン・ドライフルーツ・チョコ
【色】
バーボン樽:淡い金色
シェリー樽:濃い琥珀色〜赤みがかった褐色
【価格】
バーボン樽:安い(入手しやすい)
シェリー樽:高い(樽自体が希少)
【代表銘柄】
バーボン樽:グレンリベット12年
シェリー樽:マッカラン12年
で、
筆者の結論としては・・・
初心者はまずバーボン樽から!
グレンリベット12年とか、バーボン樽熟成のスコッチは飲みやすくて万人受けする!
で、慣れてきたらシェリー樽に挑戦!
マッカラン12年を飲んだ瞬間に「うわっ、全然違う!」ってなるはず!
ファーストフィルとセカンドフィルの違い
同じ種類の樽でも、
何回目の使用かによって味がかなり変わります!
使用回数による違い
・ファーストフィル(1回目):樽の影響が強い。味が濃くて個性的
・セカンドフィル(2回目):樽の影響が穏やか。バランスが良い
・リフィル(3回目以降):樽の影響が弱い。原酒の個性が出る
ボトルに「First Fill Sherry Cask」とか書いてあったら、
「あ、シェリー樽の1回目だから味が濃いんだな」
って分かるようになる!
ラベルの見方が分かるとウイスキー選びが楽しくなる!
ウッドフィニッシュとは?
最近よく見かけるのが「ウッドフィニッシュ」!
これは、バーボン樽で熟成したウイスキーを、さらに別の樽で追加熟成するという手法!
例えば、グレンモーレンジィ ラサンタ12年は、
バーボン樽で熟成 → さらにシェリー樽で追加熟成!
つまり、2つの樽の良いとこ取り!
バーボン樽のバニラの甘さ+シェリー樽のレーズンの甘さが両方楽しめるという、
なんとも贅沢な製法です!
オーク材の種類|アメリカンオークとヨーロピアンオーク

ちなみに、樽の材料となるオーク(木材)にも種類があります!
オーク材の違い
・アメリカンオーク:バニラ・ココナッツの甘い香り。バーボン樽に使われる
・ヨーロピアンオーク:ドライフルーツ・スパイスの風味。シェリー樽に使われることが多い
・ジャパニーズオーク(ミズナラ):白檀・お香の東洋的な香り。日本固有
世界中の多くのウイスキーに使用される樽材がオーク!
アメリカンオークとヨーロピアンオークの大きく2種類が存在し、
バニラやトロピカルフルーツ、ドライフルーツを思わせるといった特徴があります!
また、ヨーロピアンオークは、ワインやシェリーの製造に使われた樽を再利用することも多く、ウイスキーの風味と同時にワインやシェリーの風味を楽しむこともできます!
まとめ:樽を知るとウイスキー選びが変わる!

そんな感じで、
ウイスキーの樽の種類とそれぞれの味の違いを紹介してみました!
イギリス政府の不当とも言える課税のおかげで誕生したウイスキーの樽熟成・・・
当時の人はたまったもんじゃなかったでしょうが、おかげで他のお酒では味わえない独特の風味と芳醇な味わいを楽しむことができる現代のウイスキー!
最後にもう一度、樽の種類×おすすめ銘柄をまとめておきます!
こんな味が好きならこの樽!
バニラ・甘い系が好き → バーボン樽 → グレンリベット12年
レーズン・リッチ系が好き → シェリー樽 → マッカラン12年
フルーティ・ベリー系が好き → ワイン樽 → グレンモーレンジィ キンタルバン
お香・和風が好き → ミズナラ樽 → 山崎
ウイスキー選びの際は、樽の材質に目を向けてみると、みるみる新しい発見ができて、きっと楽しいですよ!
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