「開拓時代=アーリータイムズ」という名前が示すように、アメリカの歴史に常に寄り添ってきたウイスキーであるアーリータイムズ
1860年、アメリカ南北戦争の前年にケンタッキー州で誕生したバーボンウイスキーは、フロンティアスピリッツの象徴として常にアメリカ開拓者たちに愛されてきたウイスキーです
ということで今回は、そんなアーリータイムズの特徴、歴史、ラインナップごとの違いを初心者の人にも一から分かるように解説してみようと思います!
アーリータイムズの味や種類/イエローラベル・ブラウンラベルの違いを解説
アーリータイムズとは?
アメリカの歴史に何かと登場するウイスキーであるアーリータイムズ
おそらく一番有名なエピソードは、アメリカ国内で1920年から13年間に渡って酒類の販売が禁止された禁酒法時代に、政府の特別許可を受けて販売を独占したこと
ジャックダニエルをはじめとする多くの有名蒸留所が休業や閉鎖に追い込まれる困難の中、アーリータイムズは「医療用ウイスキー」という裏技を発見し、困難な時代をむしろ利用してシェアを一気に拡大します
アーリータイムズの歴史
1860年に、ケンタッキー州のアーリータイムズ・ステーションという村で誕生したアーリータイムズ
「開拓時代=アーリータイムズ」という名前通り、開拓者が数多く住む村で、ウイスキー造りの本場であるイギリスからの移民開拓者がこの地でウイスキーを造ったのが発祥と言われています
また、事業拡大後はケンタッキー州最大の都市であるルイピルを拠点としているアーリータイムズ
ルイピルはアーリータイムズだけでなく、多くのウイスキー蒸留所が集まるバーボンの聖地として有名な都市です
このように創業に「フロンティアスピリット」が息づくウイスキーであることから、現在もアメリカ国内では根強い人気を誇るブランドとして在り続けています
また、アーリータイムズの転機となったのが、1920年から13年間に渡って施行された禁酒法
酒類業者にとっては存亡の危機とも言える禁酒法、しかしアーリータイムズはこの困難を上手く利用して乗り切ってしまいます
まず、ジャックダニエルをはじめとした他のアメリカの大手ウイスキーメーカーと同様に、禁酒法施行直後は蒸留所存続の危機に立たされたアーリータイムズ
しかし、アーリータイムズの従業員であったサールズ・ルイス・ガスリーという人物が私財を投げ打って、アーリータイムズの商標権と在庫ウイスキーを買い取ります
そして、隠れ家に買い取ったウイスキーを隠し、いつかアーリータイムズが再び販売できるチャンスを待ったルイス
そして禁酒法実施から3年後の1923年、医師が処方する薬用酒は政府から販売が許可されることに目を付けたアーリータイムズは、医師が処方する薬用ウイスキーとして政府から許可を取り、禁酒法時代の中、堂々と販売を開始します
そして、飲酒すら禁止されている禁酒法時代に堂々とウイスキーを販売することに可能性を見出したブラウン・フォーマン社がアーリータイムズを買収
アーリータイムズは、一気にアメリカ国内トップの販売数を誇るバーボンウイスキーとなり、その後30年間に渡ってアメリカのトップシェアを守り続けることとなります
アーリータイムズの製法
数あるバーボンウイスキーブランドの中でもかなり異質なウイスキー造りを行っているアーリータイムズ
簡単にポイントをまとめるとこんな感じ!
順番に見ていこうと思います!
実は"バーボンウイスキー"の基準を満たしていない
実は「バーボンウイスキー」を名乗るためには、厳格な基準が政府により定められています
そんなルールの一つに「内側を強く焦がしたホワイトオークの新樽に入れて熟成させる」というものがあります
しかし、アーリータイムズは伝統的に、新樽だけではなく、一度使用した中古の樽であるリフィル樽の使用も行っており、その比率は政府の基準である20%を超えています
ということで、新樽の使用率が低いために「バーボンウイスキー」と名乗れないアーリータイムズ
アメリカ国内では「ケンタッキー・ウイスキー」という独自の名称で販売されています
ちなみに、中古の樽というと、なんだかコスト削減のためのケチな印象を持ちますが、ウイスキーの熟成においては、実は中古樽の方が味わいに深みが出ることも多く、世界中多くの蒸留所があえて中古のリフィル樽を使用しています
おそらくアーリータイムズもウイスキーの風味を優先して、「バーボンウイスキー」という肩書きを捨ててでも、中古樽の使用にこだわっていると思われます
アメリカ国内用と輸出用で製法・味わいが異なる
しかし、さすがにアメリカの特産品で絶大な知名度を誇る「バーボン」を輸出で名乗れないのは、販売戦略上かなりの不利を被るので、輸出用のアーリータイムズは、製法を変えて"本物の"バーボンウイスキーにしています
- アメリカ国内用 → 新樽80%以下・リフィル樽20%以上
- 輸出用 → 新樽80%以上・リフィル樽20%以下
このように、海外向けのアーリータイムズは新樽の使用率を上げているのが製法の違い!
ということで、海外向けアーリータイムズの方が、 バニラの甘みが強くなめらかな味わい、また甘口のシェリーのような華やかな香りがすると言われています
一概にどちらが良いかは判断できないけど、アメリカ旅行行ったら現地のアーリータイムズ飲んでみると面白いと思います!
自社で樽の製造を行う数少ない蒸留所
たいていのバーボンウイスキーメーカーは樽の製造は、樽専門の業者に依頼しています
というのも、バーボン樽は「内側を火で炙り焦がすこと」というチャーリングと呼ばれる製法を行うことが、政府のルールにより定められており、これが意外と面倒・・・
多くの蒸留所は、樽の焦げ具合をこと細かに外注業者に指示しているのが通例です
ちなみに、同じくバーボンウイスキーの有名メーカーであるメーカーズマークが販売する「メーカーズマーク 46」の"46"はこの業者への焦げ具合の発注番号に由来しています
メーカーズマーク 46を実際に飲んでみたレビューはこちら!
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一方、アーリータイムズは自社で製造した樽を100%使用
ケンタッキー州で自社製の樽工場を所有する唯一の蒸留所です
これにより、樽の焦げ具合も自由自在に調整できるアーリータイムズ、実は他のバーボンメーカーにはない強みだったりします
アーリータイムズの種類
アーリータイムズ イエローラベル
アーリータイムズの最も主力のボトルで、150年以上の伝統を受け継ぐボトルがイエローラベル!
1本1600円程度と比較的お手頃で、バーボン特有のバニラやエステル香を楽しめる、世界中で人気のボトルです
アーリータイムズ イエローラベルを実際に飲んでみたレビューはこちら!
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アーリータイムズ ブラウンラベル
イエローラベルをベースに、さらに専用の原酒をブレンドしているのがブラウンラベル!
日本市場向けに1996年から販売されているボトルです
イエローラベルに比べて、原料比率が変わっており、とうもろこしの割合が下げられ、代わりにライ麦の使用率が高くなっているのが特徴のブラウンラベル
また、通常は1回だけのろ過作業を、ピートを使用した活性炭でもう一度行っており、少し焦げくさい濃厚な味わいを楽しめます
ちなみに筆者は実際に飲んでみたけど、大して濃くなってないし、イエローの旨味が消えてえぐみが増してるし、
イエローラベルの改悪品としか思わなかった・・・
アーリータイムズ ブラウンラベルを実際に飲んでみたレビューはこちら!
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アーリータイムズ ミントジュレップ
ミントジュレップという、ミントの葉とバーボンを中心にしたカクテルを家でも手軽に味わえるように造られたのがこれ!
アーリータイムズのウイスキーに、ミントの香り付けがされており、ソーダで割ると、かなり絶品のハイボールが出来上がります!
ちなみにミントジュレップは、ケンタッキー州の1年に1回の一大イベントである、ケンタッキーダービー観戦のための公式飲料に認定されており、競馬場ではアーリータイムズを使用したミントジュレップを手にした人がそこら中で観戦を楽しんでいます
アーリータイムズ イエローラベルを実際に飲んでみたレビューはこちら!
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アーリータイムズ飲むならやっぱりこれ一択!強めの接着剤の香りがおいしい!
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ぶっちゃけイエローラベルの改悪品・・・筆者はあまりおすすめしません・・・
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だいたい1本3行ぐらいで簡単にまとめてみたのでレビュー読むの面倒な人におすすめ!