ウイスキーの風味を最も左右すると言えるのが、樽による熟成
ウイスキーの独特の琥珀色、また複雑な風味は樽の成分が染み出すことにより生み出されています
そして、熟成のための木樽には様々な種類が使われていますが、特に多く使われているのがシェリー樽
ということで今回は、シェリー樽ウイスキーの歴史、特徴、おすすめボトルなどを紹介しようと思います!
【シェリー樽とは?】特徴・歴史・おすすめウイスキー銘柄を徹底紹介!
シェリー樽とは?
シェリー酒はスペインのアンダルシア地方、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ村発祥の酒精強化ワインです
酒精強化ワインとは、醸造過程でアルコールを添加した白ワインのことを指し、通常のワインよりもアルコール度数が高いものが多いです
また、「シェリー」という名前は、発祥のヘレス村を英語読みすると、「シェリー」となることから名付けられました
酒精強化ワインは、他にもポルトガルのポートワイン、マデイラワインなどが有名で、独特の辛口の飲み口は冷やした食前酒として世界中で人気があります
シェリー樽とウイスキーの関係
主にスペインのシェリー酒業者から、ウイスキー蒸留所が中古樽を買い取って熟成に使用しています
ここで中古樽と聞くと、なんだか安っぽいというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、シェリー酒の製造に使用した樽に染み付いたシェリーの香りは絶品!
ウイスキーに、芳醇な甘みとピリッとしたスパイシーな後味など、他の樽では生み出せない味わいをもたらします
ということで、様々な木材の樽、ラム樽、ワイン樽など多種多様な樽がウイスキーの熟成に使われていますが、中でもシェリー樽は特に人気!
最近では、ウイスキー熟成のためのシェリー樽需要が急増し、シェリー酒の製造量が間に合っていないため、ウイスキー蒸留所がシェリー酒業者に指示して、シェリー樽を増産させるという事態になっています
シェリー樽ウイスキーの歴史
シェリー樽がウイスキーの熟成に使われるようになったのは、18世紀ごろ
ウイスキーの誕生が、15世紀ごろと言われているので、意外とシェリー樽とウイスキーの歴史は浅いです
そんなシェリー樽とウイスキーの出会いのきっかけは、イギリス政府のウイスキーに対する重税
18世紀の初め頃に、スコットランドの特産品であったウイスキーの高額な税金を課したイギリス政府
そして、スコットランドの人々はこれに対抗するべく、大量に余っていたシェリーの空樽にウイスキーを詰めて、「これはシェリー酒です」と言い張り、役人から逃げまわりました
ということで、当初はシェリー酒に偽装する目的だったはずが、政府の目を逃げ回っているうちに、シェリー樽でウイスキーが熟成され、これまで見たこともないような味のウイスキーが誕生しました
これがシェリー樽熟成のウイスキーが造られるようになったきっかけで、美しい琥珀色の液体と、素晴らしい味わいと香りは、ウイスキー熟成にはなくてはならないものとなりました
シェリー樽の種類
シェリー樽と一言に言っても、造られるシェリー酒の特性、また樽に使われる木材の種類などで味はまるっきり変わります
特にシェリー酒の特性は樽の個性に大きな影響を与え、簡単に特徴を書くとこんな感じ!
このように造られる中身によって、シェリー樽の特性もまるっきり違います
また、これにシェリー樽の木材の種類の違いも影響を生み出し、レーズン・プルーン・お香・クローブのような香りを生み出すスパニッシュオーク材。バニラ・ココナッツ・甘いスパイス・キャラメルのような香りを生み出すアメリカンホワイトオーク材など、組み合わせは多種多様!
同じシェリー樽熟成のウイスキーと言っても、ペドロヒメネスとオロロソでは、まるっきり異なる味わいが生まれます
シェリー樽熟成ウイスキーのおすすめ銘柄!
芳醇な甘み、ダークチョコレートのような心地良い苦み、ピリッとしたスパイスのような後味・・・
といったように、ウイスキーにとても奥深い味わいを与えてくれるシェリー樽
ここからは、シェリー樽熟成のおすすめウイスキー銘柄を紹介しようと思います!
ザ・グレンリベット ナデューラ オロロソ
名前通り、オロロソシェリー樽を使用し、樽から取り出した後は加水をせずに、そのままボトル詰めを行うという、グレンリベットシリーズでも特にこだわりの製法で造られるナデューラ オロロソ
世界一売れているシングルモルトウイスキーブランドが造る、シェリー熟成ウイスキーなだけあって、初めてシェリーに触れる人にはおすすめ!
グレンリベットについてもっと詳しく知りたい人はこちら!
ザ・マッカラン
最近、どんどん値上げをしていて、ちょっとおいそれと買えるウイスキーではなくなってしまったけど、やっぱりシェリー熟成のスペシャリストと言える、納得の味わいを楽しめます
値段は高いけど、とりあえずマッカランを買っておけばハズレることはありません!
マッカランについてもっと詳しく知りたい人はこちら!
グレンドロナック
蒸留所の規模では、マッカランやグレンリベットには負けるけど、シェリー樽熟成といったら真っ先に思い浮かべる人も多いグレンドロナック
とにかくシェリー樽熟成にこだわっている蒸留所のひとつであり、ちまたでは、マッカランと同等の味わいが格安で飲めると話題の、コスパに優れた銘柄です
マッカランに比べたら、多少クセはあるけど、シェリー樽熟成ウイスキーの本質を知るには、安くておすすめ!
グレンドロナックについてもっと詳しく知りたい人はこちら!
グレンファークラス
マッカラン・グレンドロナック・グレンファークラス、この3つがおそらく誰もが思い浮かべるシェリー樽熟成を得意とする蒸留所
鉄の女と呼ばれたイギリス首相、サッチャーのお気に入りだった銘柄としても有名で、グレンファークラス 105は、破格の安さで本格的シェリーの味わいが堪能できると、昔から有名なボトルです
マッカランやグレンドロナックに比べて、かなり安いので、とにかくコスパを求める人にはおすすめ!
グレンファークラスについてもっと詳しく知りたい人はこちら!
まとめ
しかし、一言で「シェリー樽」と言っても、シェリー酒の特性、樽の材質などで、生まれるウイスキーは多種多様!
もし、シェリー樽熟成のウイスキーを飲む時は、この樽はどんなシェリー酒の製造に使われたのか?また樽の木材は何か?など調べてみると、普段の晩酌がもっと楽しくなるかもしれません